プロローグ
―幼い頃から、アイツは頭が良かった。
テストはいつも100点で、塾に行く必要も無いから英語塾へ通ってたし、そこでも成績は良かったらしい。
授業だってしっかり聞くフリをしつつ、他の宿題をやっても、先生からの信頼が厚いからバレてなかったし。
私がチマチマと万遍なくステータスを上げてたRPGも、アイツはステータス極振り、最短ルートで攻略してた。
所謂、要領の良い奴だ。
一方私は、テストの成績も悪くて塾通い、そこでもなかなか成績が伸びないから、授業もしっかり聞いていたのにサボり疑惑。
手伝いをしてどうにか信頼を得ようと頑張ったら時間が無くなり、毎日泣きながら必死に宿題をこなす日々だった。
これだけ馬鹿で要領の悪い私でも、どうにかやってこれたのは友人であるアイツが居てくれたからだろう。
親同士が友人で、0歳からの仲だからと何かと手伝ってくれるアイツ。
宿題は苦手な部分を教えてくれたし、ゲームは攻略法を横から教えてくれたし、悪戯のアリバイ作りをしてくれたこともあったっけ?
私にとってアイツは、友人であり、保護者であり、私を導いてくれる先生だった。
だからこんな事になっても、まあ何とかなるかなと思えたのはアイツ
―学が居てくれたからだ。
それだけは、ハッキリわかる。