ウイルステクノロジーバイオハザード
「最近流行のこのゲーム!好太郎!早速やってみようぜ!」
「おっ!お前から誘うのは珍しいな。泰明。まぁ、暇だしやってみてもいいかなー」
「よし、じゃ始めるか。」
「ところでなんていうゲームなんだ?」
「ジンセイゲームだ。おもしろそうだろ?」
最近流行のこのゲームってのは泰明が面白そうだと思ったゲームに対する決まりセリフだ。
「ジンセイゲーム?あの人生ゲームとはちがうのか?」
「やってみないとわからねえ。」
「へぇ~、でも見る限りおもしろそうだな。開けてみようぜ。」
好太郎はほこりをかぶった箱をあけた。中にはサイコロやボードなどが袋にはいったままになっていた。
「なんだ?未開封品か?」
「とりあえず出してみようぜ。」
好太郎と泰明はカードを切りそれぞれのフィギュアを手に取った。そしてじゃんけんをしてルーレットをまわす。しかし、ルーレットはびくともしない。
「なんだこれ壊れてんのか?」
「そんなはずないだろう。だって未開封品だぞ?」
「そんなこと言われても動かないんだよ」
「説明書になにか書かれてないのか?」
二人は中に入っていた説明書を見た。
「これ大人数じゃないと遊べないようだな」
「え、なんだよそれ。楽しみにしてたのに。」
「明日、学校に持って行ってクラスのみんなでやろうぜ。」
「それナイスアイデア!」
「よし、じゃあまた明日学校でな!」
こうして学校のクラスメイトですることになったジンセイゲーム。しかし、それが地獄のゲームになるということをまだ誰も知らなかった・・・
次の日・・・
「あっ!好太郎、泰明、おはよーー!!」
高い声で話しかけてきたのはクラスメイトの愛梨だった。愛梨は好太郎の彼女である。
「泰明なに?その紙袋。」
「ジンセイゲームだよ。クラスのみんなでやろうと思って。愛梨もするだろ?」
「へぇ、おもしろそう!やるやる!」
「ほかの女子も誘っといて~」
「了解了解」
昼休み、床にジンセイゲームのボードを広げた。
「よし、じゃあ始めるか。」
「最初は俺からだな。」
強引にそう言い張るのは、クラスの大将的存在の圭吾だ。
「なんでだよ。こういうのはじゃんけんするのに限るよ。」
そうやってみんなを仕切るのはクラスの級長の太一である。そのほか四十名の参加者、計四十五名ですることになった。すると、端っこのほうで熱心に説明書を読んでいたクラスではおとなしい沙紀が口をひらいた。
「ねぇ...これってスマホと連動できるらしいわ。」
「そんなはずないだろ。だってこれ四十年前のゲームだって書いてあるぜ?」
「でもここにQRコードが...」
そこには確かにスマホと連動できると書かれている紙とQRコードがあった。
「なんだか知らないけどとりあえずやってみようぜ。」
そして全員が連動を終わらせた時だった。
「え、なにこれ。足が...動かない!?」
「俺もだ!」
と咄嗟に声を上げる愛梨と翔真。それに続いてほかの人の足も動かすことができなくなった。
「なんだよこれ...」
「おい、みんなこれを見てみろ!」
みんなが説明書のほうに目を向ける。そこには、
注意 このゲームは誰か一人がゴールするまで終われません。
ただしこのゲームは六時には一時終了し、すごろく内で起こったことが
実際におこります。
と、そう書かれていた。
「冗談だろ?え、ほんとなのか?だったらどうするんだよ!!」
みんなの罵声が飛び交う中、好太郎が咄嗟に口を開いた。
「とりあえずゲームを進めよう。そうしないと始まらないよ!」
「でもこの後授業もあるのよ!?」
声があがったのは亜加梨だった。しかし、今の状況ではどうすることもできなかった。
そしてチャイムが鳴った。しかし、先生はいつになっても来ない。ましてや人の気配すら感じなくなった
この時、好太郎は悟ったのだ。この世界はパラレルワールド。現実とは違う世界だということを。
説明書のとおり六時に一時終了するまでは終われないと。
「とりあえずゲームを進めよう。そうしないと何が起こるかわからない!」
この言葉でほかの人も状況を悟ったのか、ゲームをすることに賛成した。
「じゃあ、じゃんけんからはじめよう。じゃんけん...」
けっかはクラス一イケメンの健からだった。そしてルーレットを回す。
「4か。よし、1,2,3,4っと..ん?なになに?大切なものを失う?なんだこれ」
意味がわからないまま、ゲームは進む。次は美月の番だ
「次は私ね。えっと、2ね。1,2っと。業火にに包まれる...どういう意味かしら」
そして、一時間ほどたったとき最初のターンが終了した。この時大切なものを失う。が12名、業火に包まれる。が4名、あとは全員なにも書かれていなかった。
「意味の分からないゲームだな。」
そう口々に話していると。六時になった。すると全員の足が動くようになった。
「とりあえず一日目終了ってことだな。」
「あの意味どういうことかしら。」
しかし、それは誰にもわからなかった。好太郎は嫌な気をかんじていた。
「とりあえずみんな帰りましょう。」
そういって解散した。家に帰った後好太郎はいろいろ考え事をしていた。あのすごろくの意味がなんなのだろうかと。その時だった。
ピロリン
スマホの通知が鳴った。
「なんだ?今日の結果は明日以内に実行する。なお、つぎのゲームの日は明後日とする。なんだこれ」
不思議に思いながらも、そのまま放置していた。すると愛梨から電話がかかってきた。
「もしもし、好太郎?メール届いてる?」
「なんでそのことを?まさか、そっちにも届いてるのか?」
「ええ、泰明や沙紀に電話してもみんなメールがきたって言ってるの」
「どうなってるんだ一体...」
「とりあえず明日学校で話しましょう」
「そうだな。それじゃまた明日な。おやすみ」
「おやすみ。」
その日好太郎は寝れなかった。聞こえるのは救急車やパトカーなどのサイレンだけだった。
次の日、学校に来ると美月やそのほかにも何人か来ていない人がいた。なかには泣いてる人が多数いる。
「どうしたんだみんな?」
「それが、みんな大切にしていたものが壊れたり、愛犬が突然死んだなどの不幸がおきたって言うの」
好太郎は心当たりがあった。すると先生が入ってきた。その顔は悲しんでいた。
「みんな落ち着いて聞いてくれ...昨日美月と康平が火事で亡くなったそうだ。そのほかにも二人がコンロなどでやけどして病院で手当てを受けているそうだ。二人の葬式にはそれぞれ男女で別れていくことにしよう。」
それを聞いた瞬間、その場にいた全員が凍りついた。昨日のすごろくの結果がすべて当てはまっている。
これはただのジンセイゲームではない。地獄のゲームだということを全員が悟ったのであった。
「おい、まじかよ。まさか本当に起きるなんてありえないだろ!」
みんなの顔が愕然としている。中には、恐怖で笑っている人もいた。
「みんな。二人のことはとても遺憾だが出来れば、いや絶対に忘れないでいでくれ。先生からは以上だ。みんなもくれぐれも気を付けてくれ。日直頼む。」
「きりつ、きをつけ・・・れい・・・」
「「「「ありがとうございました・・・」」」」
いつもは、はちゃらけている日直の吉野のテンションがすごく落ちていた。クラスメイトのみんなも落ち込んでいた。そして、ジンセイゲームはつづき、気づけば一年経とうとしていた。この時、残りのメンバーは残り五人を切っていた。残るは好太郎、愛梨、泰明、沙紀、健だった。ある日好太郎は愛梨と二人歩いて学校から帰っていた。
「あれ、泰明と健じゃない?」
「ほんとだ。倉庫?みたいなところでなにやってんだろ。ちょっとついて行ってみるか」
「え、大丈夫なの?」
「見つからなければ平気だよ。」
正直、愛梨は行く気になれなかったが仕方なかった。その間に泰明と健は倉庫の中にはいってゆく。
中は薄暗かった。使われている感じはなく、言わば廃墟のようなものだった。蜘蛛の巣はあちこちに張り巡らされている。床の板が腐って穴が開いていた。その時だった。
「うわっ!!」
「きゃっ!!」
背後から何者かによってスプレーのようなものをかけられた。と同時に意識が遠のいていく。
二人はその場に倒れこんだ。
「ん、ここは...」
好太郎は不思議な空間にいた。歪んでいる。すると、目の前に死んだはずの圭吾や亜加梨、太一があらわれた。しかし、その顔は徐々に崩れていく...溶けて溶けてなくなる...ハッと我に返った好太郎は目を覚ました。となりには愛梨がいる。うなされているのだろうか苦しそうな顔をしている。
「ここは...?どこだ?」
あたりには、見慣れない生物が載った本が散乱している。好太郎はそのなかのP-23αと書かれた本を見つけた。聞いたこともない名前だったが違和感を感じた。そのとき愛梨が目を覚ました。
「ここは...?」
「わからない。目を覚ましたらここにいた。」
愛梨はとてもこわがっていた。すると暗闇の奥のほうから足音がきこえてきた。こちらへ向かってきている。
「おまえは....」
そこに現れたのは泰明だった。
「やっと目を覚ましたんだね。君たちはここの秘密を知ってしまった。だから捕まえたんだ。」
「泰明...どういうことだ!説明しろよ!」
泰明は冷静な顔をして口を開いた。
「わかったよ。君たちはこの秘密を知ってしまった。いずれかは殺さなければならない。どうせ死ぬ運命なわけだし話してあげよう。今回このジンセイゲームをはじめた張本人は僕。要するに、支配者というわけさ。クラスのやつらが死んだのも不幸をおこしたのもすべては僕と健の仕業さ。」
「なぜ...なぜそんなことをしたんだ!」
「理由はそのうちわかるさ。今は話せない」
「でもあんなに大人数をどうやって支配したんだ。」
「君はもう忘れたのか?P-23αの存在を」
「一体それはなんなんだよ!」
「P-23αは一種のウイルステクノロジーさ。やつの感染力は半端じゃない。その場にいるだけで一人の感染者から感染する。今回はそのウイルステクノロジーをあのゲームで放出させたのさ。」
「でも、なんでお前らは感染してないんだよ!」
「簡単なことさ。P-23αウイルスを直接感染させただけさ。このウイルスはそんな力も持っているウイルスの遺伝子を組み替えることで設定はいくらでも変えられる。今回は君たちを実験台として適用したのさ。」
「それをして何の意味がある!」
「面白いじゃないか。人間をウイルスに感染させて支配する。君たちだけじゃない。これを日本中に広げればどうなるのか。想像しただけでわくわくしてくるよ。」
泰明は変わってしまった。もう自分たちの知っている泰明じゃないってことを。
「さて、そろそろショータイムだ。君たちも見るがいい。この世界が変わる瞬間を」
そういうと泰明はモニターを操作し始めた。愛梨は泣いていた。もはや防ぎようがなかった。
そしてモニターに映る赤いボタンが点滅しやがて青に変わった。まさにウイルスが放出されたことを意味していた。もはやジンセイゲームどころではない。終わりを告げていた。その時だった。
「うわあああああああああああああああああ」
泰明が声を上げて倒れた。皮膚が腐ってゆく。泰明は感染してしまった。支配するはずの本人が感染してしまった。
「ど、どうすんだよこれ...」
出ようにもロックされてでることができない。その時だった。
「大丈夫!?!?」
沙紀だった。
「なんでお前がいるんだよ!?」
「好太郎たちが倉庫の中に入っていくのを見て不審に思ったからついてきたの」
「よくやった!!!」
好太郎と愛梨は喜んだ。沙紀はモニターを操作し牢屋のカギをあけた。
しかし、なにも解決していなかった。外にはウイルスが大量にいる。それをなんとかしなければならない。なにかいい策はないか考えたが何も思いつかない。その時だった。
「ああああああああああああああああ」
ウイルスに感染したはずの泰明が動き出した。
「このウイルス、それぞれ個体としてうごくことができるのか?」
泰明の姿はまさにゾンビそのものだった。するといきなり襲いかかってきた。
「まずい!」
ゾンビ化した泰明は愛梨のほうへ向かった。
「あぶない!!!!」
パアアアアン
銃声が鳴り響いた。沙紀だった。
「これそこにあった。。」
ライフルだった。
「この際仕方ない。これはゲームでもなんでもない。サバイバルだ。」
好太郎はそう言い放った。覚悟はすでにできていた。ゆっくりと扉をあける。
「まずいな完全に包囲されている。なにかいい方法は...」
「あれ使えるんじゃない??」
愛梨が指をさしたところにあったのは貨物列車だった。
「つかえるかもしれない。おれが見てくるその間にこれで食い止めておいてくれ!!」
「わかったわ!」
銃声が鳴り響く中好太郎は貨物と電気機関車の連結部分をはずし運転席へ乗り込んだ
「頼む。動いてくれ」
動力スイッチを押すとエンジンが動き出した。
「準備が整った。早く乗れ!!!」
好太郎がゆっくりと列車を走らせる。それを走っておいかける二人。ゾンビとの距離は近かった。
愛梨は無事に乗ることができたが沙紀が乗れていない。すると沙紀がこちらにライフルを投げ飛ばしてきた。沙紀は好太郎が投げたロープにからまっている。
「このままじゃ追いつかれる。おとりになるから二人は逃げて!」
「そんなことできるわけないだろ!」
「そうしないと全員つかまってしまう!だからもうおいて逃げて!」
「俺にはできない!!!!!!」
「はやく!!!!!!!」
好太郎は涙をながしながら、ロープを切った。沙紀は転がりながらゾンビの餌食となってしまった。
愛梨はその様子をずっとみつめていた。
列車は朝まで走り続けた。
「今どの辺?」
「わからない。」
ゾンビは追ってきてはいなかった。おとといから何も口にしていない。限界だった。
「いつになったらおわるのかな。好太郎」
もう好太郎は答えることができなくなった。生き延びたのはよいものの、日本中の人々が感染した現在なにをすればよいのかもわからなかった。列車はそのうち最終地点に到着した。場所は北海道だった。
「たぶん、ここの人たちもみな感染しているにちがいない。」
「そうね。とりあえずおりましょう。」
好太郎と愛梨はライフル片手に歩き出した。人の気配はない。町は荒らされている。
「壊滅的状況だな。」
そう好太郎が言い放ったときだった。
「動くな。」
振り返ると防護服をまとった人だった。その人は好太郎たちがウイルスに感染していないことをかくにんすると
「こちらB班、生存者二名を確認。捜索圏内の基地へ輸送する。」
そのまま二人は輸送された。基地のような場所に着くと消毒を受け応接室のような場所に案内された。
「君たち、大丈夫かね?」
「はい、なんとか...」
「君たちが望むのなら今の状況を説明しよう。」
「ぜひおねがいします!」
好太郎と愛梨の目に迷いはなかった。
「わかった。今北海道を除くすべての地方は完全にウイルスの感染を確認した。ウイルスの名はP-23α。」
それは好太郎たちが聞いたのと同じだった。
「それ知っています!」
「そうか。なら話は早い。申し遅れたが私の名は真一だ。ここでウイルスの緊急研究、その他生存者の保護、護衛隊の指揮をしている。話をもどそう。現在P23-αは徐々に拡大している。しかし、そのウイルスは気温が低いと感染していないことがわかったんだ。だから私たちは感染していない。一方のP23-ウイルスは気温が高ければ活発になる。沖縄ではウイルスが別のものに変化することも確認している。そのウイルスを我々はケブロアブトウイルスと名付けた。そいつは獰猛でな感染したものを死に至らせる能力を持つ。さらにケブトアブトウイルスは分裂することによりさらに変化をする。これをケブトアブトウイルスzxasと呼んでいる。これもまた厄介なんだ。詳しくはこの報告書をみてくれ。話はこれまでにしておこう。今日はゆっくりと休むんだ。」
そう言い残して去って行った。
「私たちこれからどうなるのかしら。」
「今のところめどは立たないな。明日真一さんにきいてみよう。」
二人は個室でその日を終えた。
次の日の朝、なんだか外が慌ただしかった。
「真一さん!どうしたんですか?」
「おお、君たち。実はねウイルスの新たな事実がわかってね。昔の文章から見つけたんだ」
好太郎たちはその文書を見た。
ウイルスについて
このウイルスは1967年に発見された新型ウイルスである。
このウイルスは感染力が強く多くの人を化け物と化した。
発見から2年後感染してからの生存を果たした人を確認した。
その人によれば不思議な体験をしたという。
記憶に残っていた限りではそれを{ジンセイゲーム}と
呼んだという。いまだにこの正体は不明だがウイルスによるものだと
結論づけている。
「これって....まさか!!」
「あの時の!?」
二人は確信した。自分たちもウイルスに感染していたことを。このことをすべて真一に話した。
「そうか君たちも体験したのか...ますます謎だな。今後これを研究結果として使わせてもらおう。それと今から重要なミッションをすることになった本州を征服しているウイルスを排除するんだ。弱点は低気温だということがわかったから、これをライフルに充填して打つんだ。最善のことをするつもりさ。」
「それ俺らにも手伝わせてください!」
「だめだ。危険だ。ここにいるんだ。」
「僕にもできることがあると思う。それをやらせてください!!」
愛梨も同じ考えだった。
「わかった。ただし、危険なマネは絶対にするな。命最優先だからな。そして、危険だと感じたらすぐ逃げろ。わかったな?」
「わかりました。」
「じゃあ準備をしよう。」
好太郎たちは完全なる防護スーツ防護ヘルメット、医療キットを身につけ、ライフルを握りしめた。
これから闘うのだ。クラスメイトを死なせたウイルスに復讐するため、そして、ジンセイゲームを終わらせるために覚悟を決めたのだった。
つづく




