-1章- 「目覚め」 1
なろう初投稿となります!
初めての小説投稿で稚拙な文が目立つとは思いますが、少しずつ勉強しながら良い文章が書けるように努力してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします!
「これで私の人生も終わりですか」
木漏れ日の漏れる窓から暖かく優しい風が頬を撫でる。
白く清掃の行き届いた部屋で屋敷に使える者々のすすり泣く声が聞こえる。
「お前の忠心、大義であった」
気丈な振る舞いでいながらも声を震わせるのは、私の主人であるお方。
「私もあなたに仕えてこのかた80年、非常に幸せでした」
掠れた声で返事をすると、ふと糸が切れたように手をベッドの上で落とした。
享年92歳 バトラー ファー レオン 衰弱死
私の人生はここで終わった。
闇のような漆黒に後頭部からゆっくりと落ちていくような感覚。心地の良い感覚に身を任せていると、まぶたに眩しい光が差し込む。
「起きなさいレオン」
身の前に現れたのは両の肩甲骨から生えているのだろうか4翼の翼を持つ男。
「我が名は大天使 カリステラ、神の命によりそなたの願いを聞き入れに来た」
「なぜ私なんぞにそのような」
「汝は、生あるあいだに非常に徳を積んでその生を全うした、である汝に褒美としてどんな願いも一つ叶えて次の生へと送り出してやろう」
そう言い放つと、天使と名乗る男は優しく微笑み手を差し伸べる。
「さあ、願いを言うが良い」
暫く考えた後。顔を上げ。
「私の願いは -」
馬車が行き交い、せわしなく商人たちが声を張り上げる。水が豊富で街中を行く水路は。多くの船が貿易に使用し。あらゆる見た目の男女が闊歩する。ここは王都ヨルド。俺の生まれた街だ。
りんごの入った紙袋を抱え、珍しい白髪の青年が街中を歩いていると、後ろから赤髪の女性が大声で駆け寄ってくる。
「待ちなさいよマルス!!」
「なんだよオリビア」
俺の名はマルス、文字通り第二の人生を生きる平凡な青年である。といっても前世の記憶などほとんど覚えてなく、体に身についた癖や身振りなどがとっさに出るくらいだが。今は没落してしまった【元】名家の剣士の家に生まれ、この世界の教養をそれなりに学びながらそれなりに生きている。この話しかけてきた赤髪の女はオリビア。花屋の生まれでお節介焼きのオリビアといえばこの街で有名である。
「あんたまた学校休んでたくせに出歩いて!」
「あそこの空気は俺には合わないんだよー、みんな俺を色物みたいな目で見てきやがって」
「だからってあんた能力あるんだからもったいないじゃない、そんなんで評価落とされたらたまったものじゃないでしょ」
「まぁそれなりのところつけなかったらその辺の門番にでもなるからいいんだよ」
そんな掛け合いをしながら歩いていると。レンガ造りの味のある建物が見えてくる。
「ほら、もう俺んちだからそろそろ帰れよ」
「むう!明日は絶対来なさいよね!絶対よ!」
「はいはい」
俺はこんな会話は嫌いじゃない、色物に見てくる世界で気軽に声を掛け、厄介を焼いてくれる彼女にとても居心地のいいものを感じていた。門をくぐり庭師に軽く挨拶をすると
「坊ちゃん今日もモテモテですなぁ」
「そんなんじゃないですよ、あいつは人の世話がやくのが好きなだけですって」
「そうですかい?ワシにはそうは見えませんけどね!」
ワハハと大声で笑いかけてくるのは庭師のオルタ。大声でガタイのいい中年ほどの男である。なんでもない世話話を終え、ドアをくぐる。居間を通りグツグツと音を立てる鍋の音に鼻をくすぐるスパイスの匂い。机にリンゴを置くと。奥から髪の長く恰幅の良い笑顔ジワの出来た母マイアが歩いてきた
「あらお帰りなさいマルス、時間がかかったじゃない」
「ただいま母さん、ちょっとオリビアに話しかけられて遅れちゃってさ」
「そうかい、あの子もあんたが心配なんだよ。あまり邪険にしてあげなさんな」
「わかってるよ、明日は学校に行こうと思ってる」
夕食ができるまで、部屋に置いてある小剣で庭にある木人形で汗を流す。剣士の家系のものである以上この修練は父の教えでもあり、日課である。その父は今遠征中で家を空けている。
一通り汗を流していると。部屋から
「料理ができたよーそろそろ切り上げて戻っておいで」
「わかったよ母さん」
汗をぬぐい、部屋に入る。なんでもない日常なんでもない人生。そこに差し込む非日常など俺は知る由もなかった。
読んでいただきありがとうございました!
次バトルありますので、もう少しお付き合いいただければ幸いです!
感想、指摘等ございましたらよろしくお願いいたします。




