6分の6(2)
その声に聞き覚えがあった。
「やっぱり言ってるじゃないですか、『来ちゃったんだね』と。」
すると彼女はまた悲しげに笑って
「うん。言ったよ。」
と答えた。
「どうしてこんなことをしたのか…説明してもらえますよね?」
「うん。もちろん。全部話すよ。」
彼女は諦めるように手を上げて話し出した。
「私はね、君がここに来ること、いや、君が私の前に現れて事件が起こると発言すること。それがもう何回目かわからないぐらい繰り返してるんだよ。」
僕はその言葉を聞いたとたん恐怖心で心が満たされた。それでも水野さんは続ける。
「あなたの能力を信じて自分が死なないようにしても、なぜか危険が必ず訪れるの。家にあなたといても殺人犯が入ってくるし。」
やめろ。
「殺されないように人気の無いとこを歩いていてもどこからか現れたトラックに引かれそうになる。」
やめてくれ。
「そのたびに、あなたがいつも私を守ってくれて助かるの。代わりにあなたがいつも亡くなってしまう。」
もうそれ以上言わないでくれ。
「だから私はあなたたちに会わないようにお昼ご飯の食べる場所を変えてみたり、色々方法を模索してみたわ。でも、無理だった。あなたは私がどんなことをしても私の前に現れる。そしてあなたが代わりに犠牲になる。そんなことにならないために私は過去に戻り続けたの。私はずっと足掻き続けていたの。」
もうそれ以降は聞きたくなかった。ようやく言葉に出来るようになってきて
「やっぱり、僕のせいじゃないですか…」
「違う。」
「僕のせいだ…僕がこんな能力であなたに関わったからあなたは過去に戻り続けて辛い思いをしている…全部僕のせいじゃないですか…」
「違うよ。将太君。」
彼女の優しい言葉が僕を落ち着かせる。
「将太くんは自分の能力で私を救おうとしてくれていただけ。何も悪くない。悪いのは私。過去に戻る能力を昔使いすぎたせいで今罰が当たっている。それだけなの。そして、それを終わらすにはあなたの能力にある事件を書き換えなきゃいけない。」
そう言って彼女は自分の胸に隠し持っていた包丁を突き刺した。




