6分の5(2)
「過去に…戻ることができる…?」
思わず聞き返してしまったが自分も能力を持っているので信じるしかなかった。
「うん。覚えてる?一昨日の夜私が言ったこと。」
「良いことと悪いことの総和は一定になるでしたっけ?」
「そう。まさにそれなの。私は両親に離婚をしてほしくないという理由で過去に戻り続けてきた。これは自分にとって都合の良いことを繰り返してきたということ。その分悪いことが降りかかる。」
「つまり、過去に戻るという自分にとって良いことをしてきた分自分にとって悪いことが起こると言うことですか?」
「うん。結局離婚はしちゃった。それだけなら良かったんだけど。過去に戻る前までは離婚後も二人とも普通に暮らしてたのに過去に戻ることを繰り返しているうちに父親の心が壊れていったの。」
「それって…」
「そう。通り魔になるほどに。ちなみに私の母親も父に殺されてるわ。父親はもう死刑が執行された。これが私が一人暮らしで、そしてこの街からいなくならなければいけなかった理由。」
言葉を僕は発することができなかった。
「私が何もしなければこんな残酷で悲しい事件は起こらなかったのに、私が将太君の両親を殺してしまったようなものなのよ。」
ようやく僕の両親の仏壇の前で悲しそうな顔をすることの意味がわかった。他にも『死』に関わること全般を色々な形で見てきているからこその悲しみを含んだ笑みだったのだと理解した。
僕はやっと口を動かすことができるようになり
「色々思うところはありますが今日はもう休みましょう。かなりの時間がたったので。」
気づけばもう夜になっている。明日は美咲さんが事件に合うはずなので家から出す気が無いしまたゆっくり話せるだろう。




