第2314話、わたくし、『吸血鬼』魔法少女VS『ロボット』魔法少女、暁の大決戦ですの☆
「……くくく、魔法少女どもよ、今日が貴様らの年貢の納め時だ、今のうち念仏でも唱えておくんだな」
「──どうしてなの、『セイレーンマーキュリー』ちゃん⁉ あなただって私たちと同じ、魔法少女なんでしょ⁉」
「はんッ、高貴なる吸血鬼で、しかも『真祖』である我を、貴様らのような『雑種』と一緒にするな」
「……『雑種』て」
「『ギルガメ○シュ』かよ?」
「そのうち生放送中に、AV女優の下半身をうっかり映してしまって、放送禁止になるぞ」
「……そもそも、そんな全身ピンクのフリフリコスチュームを着ていて、『魔法少女をやる気満々』なのに、どの口がほざいているんだよ」
「──きゅ、吸血鬼だからって、どんな服を着ようが自由だろうが⁉ むしろ魔法少女のくせに、そんな漆黒のゴスロリドレスを着ている、貴様らのほうがおかしいのだ!」
「確かに私たち、『黒度』が高いよね…………」
「中二病かよ?」
「そう言う意味では、マーキュリーちゃんが一番、『魔法少女度』が高いよね」
「……やっぱ、心の底では、『魔法少女にあこがれて』いるんじゃないの?」
「──うるさい! うるさい! うるさい! 隙あらば人のことを、『エロ系番組』と一緒にするな⁉ 身体能力でも、魔法技術でも、他の種族を圧倒している、我が吸血鬼の真祖としての力を、思い知るがいい!」
「「「「なッ⁉」」」」
「……どうだ、どんどんと活力が奪われていくだろう? 真祖ともなれば、並の吸血鬼みたいに直接血液を吸わなくても、このように『広範囲エナジードレイン』能力を使って、大勢の対象から一気に『精気』を奪うことができるのだ!」
「──くそう、そうはさせるかッ!」
そう叫びながら、マーキュリーちゃんのもとへと突進していく、セイレーンマーズちゃん。
「──ぎゃうんッ⁉」
しかしあっさりと攻撃をかわされ、逆に手痛いパンチを食らってしまう。
「……言ったろ? 吸血鬼の腕力も瞬発力も、人間等の他種族とは比べ物にはならないって。我に近接戦闘を挑むなんて、自殺行為外の何物でも無いのだ」
──魔法攻撃もドレインされるばかりだし、物理攻撃も効かないとなると、打つ手無しじゃん⁉
そのように、私たちがほぼ諦めかけていた、
まさに、その時であった。
──突如巨大ロボットが現れて、その鋼鉄の拳で、マーキュリーちゃんを殴り飛ばしたのである!
「「「「………………………………は?」」」」
「──みんな、大丈夫かい⁉」
胸元のコクピットらしきところから、ハッチを開けて現れたのは、ホムンクルスの『邪神系魔法少女』である、セイレーンプルートちゃんであった。
「「「「ええッ、どういうこと⁉」」」」
「うん、確かに疑問に思うよね。でも『巨大ロボット』だったら、腕力や瞬発力的にも吸血鬼を凌駕するし、エナジードレイン等の魔法攻撃も効かないし、一番効果的かと思って、私の変身能力を使って、変化したわけだよ」
「「「「──いやそもそもあんたも、私たちの敵では無かったっけ⁉」」」」
「……ああ、そのことか? 実はすっかり、嫌気がさしてしまってね」
「「「「『嫌気』、って?」」」」
「前々回において、中○みたいな国の依頼を受けて、台○みたいな国の国家元首の『斬首作戦』を実行したものの、それって完全に『無意味』だったじゃない?」
「「「「う、うん……」」」」
「それで、気がついたんだよ」
「「「「『気がついた』って、何に」」」」
「中○の駐日大使や、大臣を始めとする外務省が、絶対独裁者の国家元首閣下の意を汲んで、日本に対してあれこれ言ったりやったりするほどに、日本国民の反感を買って、高○首相の支持率が爆上がりとなって、今度の解散総選挙は大勝利間違いなしと思われるし、実は中○のやっていることって、高○首相や自○党の『政権を盤石にする』ための、『大応援団』と化してしまっているんじゃないかって★」
「「「「──言われてみれば、まったくその通りじゃん⁉」」」」
そうか、高○、そう言うことだったのか⁉
政治家と言うものは、たとえ善政を布こうが、すべての政策が成功しようが、自分自身が大金持ちになろうが、
『選挙』に負けてしまえば、おしまいなのである!
このことは、世界一の大国であるはずのアメリカの大統領が、『中間選挙』の結果だけを気にして、外国に武力侵攻するなんて暴挙を始めるのを見せつけられれば、一目瞭然なのである!
よって高○首相としても、たとえ日中関係がぐちゃぐちゃになろうが、レアアースの供給をストップされようが、とにかく選挙に勝って、国会で過半数を占めて、盤石な政権運営ができれば、それでいいのだ!
それから後になって、中○に土下座でもして、完全に関係を修復して、改めてレアアース等の輸入を再開しても、何も遅くは無いのだ。
……道理で、中○側が何を言おうが何をやろうが、反発するどころか、ほとんど何もしなかったのも、頷けると言うものだ。
現在の日本においては、政治状況とか経済状況とか完全に無視した形で、『中○に堂々と反発して見せた政府与党』と、『中○の代弁者でしかない野党』と言う、『二つの色分け』が完全に確定しており、高○政権の目論み通りに、1月末に解散総選挙に突入すれば、与党が大勝利を収め、野党が大敗北を喫してしまうことは、火を見るより明らかであろう!
……早○ちゃんてば、何と言う『策士』なの⁉
「……ねえ、ほとほとあきれ果てるだろ? そう考えると、何もかも馬鹿馬鹿しくなって、もはやマスターの言うがままに、どこかの国家の狗として使い潰されるよりも、自分が本当にやりたいことをやろうと思ったのさ!」
「プルートちゃんの、『やりたいこと』って?」
「もちろん、『魔法少女』だよ!」
「「「「──あんたも結局、それかい⁉」」」」
「……私だって最初は、『ホムンクルス』なんてものに転生させられて、心底絶望したものさ。人間どころか生き物でも無い自分には、もはや夢も希望も抱くことなんてできないと。──でも、君たちはどうだい? たとえ『悪役令嬢』や『勇者の血を引くレズお嬢様』や『聖女』や『魔王』として転生したと言うのに、その『運命』を受け容れてすべてを諦めたりはせず、自分の意志で『魔法少女』となり、自分の信じる『正義』を実行しようとしているではないか! だったらホムンクルスである私だって、自分の夢を実現してもいいはずだ!」
「おお、これぞ、ロボットみたいだった少女が、初めて人間として目覚めるシーンか⁉」
「本来だったら、大感動の場面じゃん!」
「でも大丈夫なの?」
「普通こういったパターンて、自分を創ってくれた錬金術師の『呪縛』からは、逃れられないってのが『お約束』じゃないの?」
「ああ、それなら大丈夫。後腐れが無いように、錬金術師のほうは『始末』したから」
「「「「………………はい?」」」」
「完全に精神をコントロールされた『ロボット』であれば、『反乱』は困難だっただろうが、基本的に『自律行動』を許されているんだから、あいつの隙を見て一気に息の根を止めてやったんだよ」
……確かにそのほうが後顧の憂いが無くていいけど、結構エグいな、こいつ⁉
「──何を既に勝ったつもりになって、和気藹々とおしゃべりしているんだよ、このガラクタ風情が。確かに相手が巨大ロボットなら、手も足も出なかったが、操縦者がいるとなると、そいつを殺せばいいのだから、勝機はまだこちらにも十分に有るぜ」
「「「「ええッ、いつの間に⁉」」」」
何と気がつけば、マーキュリーちゃんが、巨大ロボットのコクピット内の、プルートちゃんのすぐ背後に立っていたのだッ!
「ふん、身体を霧に変えて、気配を消して忍び寄ったわけか?」
「ほう、吸血鬼のことに、お詳しいようで」
「うん、昔から『魔法少女』だけではなく、『吸血鬼』のことも好きだったからね。だから、こういうこともできるんだよ? ──『変化』!」
「「「「「──はあああああああああああああああ⁉」」」」」
裂帛の叫び声を上げるや、巨大ロボットもろともプルートちゃんの姿がかき消えて、再びそこに現れたのは、
全身黒一色の、長い髪の毛と深紅の瞳をした、妙齢の妖艶なる美女であった。
──鮮血のごとき赤い唇から覗いている、鋭い牙。
「……この禍々しい魔力は、まさか、まさか、まさか──」
「そう、あんたと同じ、『吸血鬼の真祖』さ」
「──‼」
「何せ、『何にでも変身できる』のが、『クトゥルフ系魔法少女』である、この私の『ウリ』なんだからね? 『吸血鬼の真祖』になっても、別におかしくは無いだろう?」
「……確かに、その身に秘められた魔力量は、私と互角くらいは有りそうだな?」
「どうだい、一勝負やってみるかい?」
「いや、遠慮しておくよ。お互い満身創痍になるばかりで、いつまで経っても決着はつかないだろう。私は無駄なことをやるのが嫌いでね」
「じゃあ、今日のところは、退散したら?」
「……次の機会こそ、ケリをつけてやるからな」
「楽しみに待っているよ♡」
プルートちゃんに向かって捨て台詞を残して、またしても霧となって消え失せる、マーキュリーちゃん。
……それにしても、『悪役令嬢』に、『勇者少女』に、『聖女』に、『魔王』と言う、奇天烈過ぎるメンバーに、今度は『ドラゴン』にでも『巨大ロボット』にでも『吸血鬼の真祖』にでも変化できる、『クトゥルフ系魔法少女』まで加わるなんて、これから一体どうなることやら☆」




