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2311/2320

第2311話、わたくし、『魔王』様が『魔法少女』になっても構わないと思いますの⁉

『──フハハハハハハハ! 魔法少女ごときが束になってかかろうが、地獄の番犬であるこの我、「ケルベロス」に敵うとでも思ったか⁉』




 巨大な三つ首の犬のモンスターが、魔導大陸の山岳部の岩山の頂上て、勝ち誇るように吠え立てた。




 それに対して、既に満身創痍となっている、わたくしこと『セイレーンムーン』を始めとする、総勢四名の魔法少女たちは、もはや言い返す気力すら残っていなかった。




「……くそう、まさかあっしの超特大『爆裂魔法』が、効かないなんて」


 さも悔しそうにうめくのは、『戦闘狂バーサーカー』な魔法少女の『セイレーンマーズ』ちゃん。


「……だから、宗教の何たるかもわからない犬っころは、嫌いなのよ」


 さも憎々しげに吐き捨てるのは、『大量虐殺者』な魔法少女の『セイレーンサターン』ちゃん。


「………」


 そんな中で、みんなと同じくらい深手を負いながらも、最初からずっと沈黙を守り続けているのは、今回初めて私たちと行動を共にしている、ピッカピカの新参者ニューフェイスの魔法少女だった。


「……『セイレーンヴィーナス』ちゃん、ごめんね。最初の『魔物討伐』が、よりによってケルベロスなんかになっちゃうなんて。ここは私たち先輩魔法少女三人で食い止めるから、ヴィーナスちゃんだけは逃げてちょうだい!」


「おうっ! あっしが最後の力を振り絞れば、十分くらいは、時間を稼げるぜ!」


「……我らの体内の魔力回路を暴走させて自爆すれば、ケルベロスと相討ちも可能だろう。──もっとも、この魔導大陸の半分は消滅してしまうがな★」


「「──駄目じゃん⁉」」


 この絶体絶命の状況においても、相も変わらず姦しい三人娘の馬鹿騒ぎを見ていて、とうとうあきれ果てたのか、ヴィーナスちゃんが初めて桃花の蕾のような唇を開いた。


「……仕方ありません、奥の手を使いましょう。──召喚サモン




「──お呼びですか、我があるじ




「「「なッ⁉」」」


 突然ヴィーナスちゃんの目の前の虚空に現れる、全身黒ずくめの青年。


 恐ろしいまでに整ったかんばせに、痩せぎすの長身と言う、思わず目を奪われる見目麗しさだが、


 ──全身から漏れいずる魔力の禍々しさは、地獄の番犬すらも遙かに凌駕していた。


『……き、貴様は、「四天王」きっての魔導剣士、「風将」! どうしてこんなところに⁉ 我ら「地獄の軍団」と、貴様らとは、「中立協定」を結んでいたはずッ!』


「実は我があるじが『新しい遊戯』に夢中でして、そのためには申し訳ございませんが、『協定』を破棄させていただきます」


『「遊戯」だと? そんなことのために、千年続いた「血の盟約」を、破棄するとでも言うのか⁉』




「……『そんなこと』? 貴様、我があるじがなされることは、例え『遊戯』であろうとも、この世で最も尊重されるべきであり、それを批判すると言うことは、『大罪』以外の何物でも無いわ! ──あの世で後悔しろ! この痴れ者めがッ!」




『──グギャアアアアアアアアアアアア!!!』




 他称『風将』の裂帛の怒声とともに抜き放たれた、大剣からほとばしった『斬撃』が、ケルベロスの首を三つとも切り飛ばして、あっけなく勝負がついたのであった。


 ……何、この人、『剣聖』とか『チート勇者』とかなの?


「──わがあるじ、『処理』が終了しました」


「うむ、大義であった。後ほど帰城の折には、改めて褒めてつかわす」


「ハッ、ありがたき幸せ」


 そう言うや、虚空に溶け込むように姿を消す、黒ずくめの男性。


 ……いや、『帰城』って。ヴィーナスちゃんってもしかして、お城に住んでいるの⁉


 そのように、呆気にとられるばかりの我ら先輩魔法少女三人衆であったが、その時目の前の金髪金目の美少女が、初めてその無表情な小顔に、笑みらしきものを浮かべた。




「──今日は楽しかった。また『遊び』に誘って欲しい」




 そう言い残すや、箒に跨がって大空へと飛び去っていく、『宵の明星(ヴィーナス)』ちゃん。


 ……嘘、あのケルベロスとの激闘も、彼女にとってはマジで、『遊び』でしか無かったのかよ⁉


 て言うか──




「いや、もう帰ってしまうの⁉ 『四天王』とか『風将』とか『我があるじ』とか、一体何がどうなっているのか、ちゃんと説明してちょうだいよ⁉」




   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑




 ──所変わって、ここは魔王城の最深部にある、『玉座の間』。




 最奥の背の高い椅子に、いかにも気だるそうに身を預けているのは、扇情的な漆黒のドレスを二十歳はたち絡みの妙齢の肢体にまとった、黒髪黒目の絶世の美女であった。




「──魔王様、ただ今帰還いたしました」


「おお、『風将』か、先ほどはご苦労であった」


「あれしきのことなぞ、お安い御用でございます」


「して、地獄のモンスター軍団のほうは、どうだった?」


「もちろん、ケルベロスの件で激怒いたしておりましたが、十数匹ほどひねり潰すと大人しくなったので、こちらの要求を強引に承諾させました」


「何から何まで、面倒をかけたな」


「いえいえ、これで魔王様があの『遊戯』をなさる時には、モンスターどもが魔法少女に襲いかかる手はずとなっておりますので、後はいかようにもお楽しみください」


「うむ、大義であった。褒めて使わす、近う寄れ。頭を撫でて進ぜよう」


「ぎょ、御意♡」


 ひとしきり頭を撫でてやると満足したのか、風将は上機嫌でこの場を立ち去って行った。




 ……ああ、何と理想的な生活なんでしょう!




 現代日本から転生してきて、『魔王』の後継ぎとして生まれ変わった時には、心底絶望したものだが、実際に王位を継承してみれば、人類等の他の勢力とも『休戦協定』が確立しており、無駄な争いごとなぞほとんど起こらず、領地経営のみに専念すれば良く、しかもそれも優秀な部下たちに任せれば事足りるので、暇と膨大な魔力を持て余したところ、何と風の便りによれば、現在魔導大陸の極東地域においては、『魔法少女』なる者たちが活躍していると言うでは無いか。


 普通に考えて、基本的に剣と魔法のファンタジーワールドである、『なろう系』の世界観設定的には、『魔法少女』はミスマッチであり、きっと自分と同じような『転生者』の仕業であろうと見当をつけて、だったら『魔王』である自分だって魔法少女になっても構わないだろうと思い立ち、あえて似ても似つかぬ『金髪金目のロリ娘』に変化メタモルフォーゼして、現代日本当時からの夢である、魔法少女と相成ったわけである。




 そしたら何と、各勢力に潜入させている部下たちの調査によれば、他の魔法少女たちもその正体は、『悪役令嬢』に『百合系完璧お嬢様』に『聖女』と言う、『魔王』にも劣らぬとんでもないキャラたちばかりだったのだ。




 ……これって多分、こいつらも『転生者』に違い無かろう。




 だったら私も遠慮なく、魔王としての魔力や権力を、魔法少女としての活動に利用してもいいよね?


 私の固有スキルを『召喚能力』と言うことにすれば、『四天王』を始めとする、魔王軍の凄腕の魔族や魔物をいつでも呼び出して、自分の代わりに無双させ放題だしね♫



 これってある意味、『魔法少女』のみならず、なろう系の『チート転生者』としては、『最強』と言っても差し支えないのでは?




   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑




メリーさん太「……確かにこの前、いろいろな『なろう系』のファンタジーキャラを、『魔法少女』にする予定だと言っていたけど、まさか『魔王』様までセレクトするとはな」




ちょい悪令嬢「普通『魔王』とか言うと、『魔法少女』にとっては『討伐対象』になるところを、『逆張り』してみました☆」




メリーさん太「しかも、実は『現代日本からの転生者』でもあるってところが、凝っているよな?」


ちょい悪令嬢「『何で魔王が魔法少女なんかになりたがるんだ?』と言う理由づけにおいて、元々『現代日本のオタク』だったからってことにすると、スムーズに理解できますからね」


メリーさん太「他の『なろう系キャラ』たちとも、シンパシーを感じやすいしな」


ちょい悪令嬢「ある意味『異世界かるて○と』あたりと、似たパターンですかね」


メリーさん太「ああ、あれも、いろいろな作品の曲者的なキャラたちが、お互いに『転生者』であることを知った途端、一気に仲良くなったからな」




ちょい悪令嬢「──しかも言うまでも無く、『魔王』と言うキャラは、いろいろと『使い途』が多いので、これからの展開にも大いに期待してくださいませ♡」

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