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第2310話、わたくし、『悪役令嬢』に転生しましたが、魔法が使えたので、『魔法少女』になりましたの☆

 ──それはうららかな、小春日和の午後のことであった。




 珍しくも最近ずっと疎遠だった、婚約者である第一王子が我が筆頭公爵家を訪れたので、大勢のメイドたちに傅かれながら、共にアフタヌーンティーを楽しんでいた、そんな極ありふれたシーンにおいて、


 ふと、いかにも何でも無いように、王子が語りかけてきたのである。


「……なあ、アルテミス」


「何です、ルイ王子」




「俺との婚約を、破棄してくれないか?」




「──ぶふぅッ!!!」




「うわっ、きったねえッ! 飲みかけの紅茶を吹き出したりするなよ⁉ おまえ本当に公爵令嬢か⁉」


「──その台詞を聞くのは、今回が二度目ですが、今度は間違いなく、あなたのほうが悪い! 何を『悪役令嬢モノの定番の台詞』を、何気ない日常シーンで突然繰り出してくるんですか⁉ しかも何だか申し訳なさそうにしているのも、ムカつくし!」


「いや別にこっちは、『お約束』と思っていないのはもちろん、物語ストーリーを大きく動かそうとも思っておらず、単に『正直な気持ち』を素直に述べただけなんだけど?」


「──余計悪いわ! それってつまりは、わたくしが婚約者であることに、何かご不満がお有りなのでしょうか⁉」


「……君は貴族としても女性としても、完璧だよ。だけど『彼女』は、完璧などと言った次元では無く、俺のことを完全に魅了してしまったのだッ!」


「『彼女』って…………………はあ、どうせまた、庶民上がりの男爵家の養女とかに、『君はこれまでの貴族の子女にはまったくいなかった、俺にとって真に理想的な女性だッ!』とか何とか言って、惚れ込んでしまったわけでしょう?」


「ハッ、そんな『テンプレ的展開』と、一緒にしてもらっては困るぞ!」


「だったら、どのような方なのです? 例えるなら、コッコ○ママが、本当に『ママキャラ』になったのには驚いたものの、一応ギリギリ許容範囲なので耐え切れたけれど、『現実世界』サイドのほうでも、棗こ○ろちゃんが、二十歳前後の妙齢となり、しかも『教育実習生』と言う『マニアック過ぎる萌えキャラ』になったので、ついに耐え切れず性癖大爆発してしまったとか?」


「──『限界オタク』の皆様にしか、通用しないネタは、よせ!」


「それなら、早く答えてくださいよ」


「この前の、上級生の方々の卒業式の後で開催された、懇親会でのことだ。あの時いきなり魔物が襲撃してきて、大混乱に陥ったろう」


「もはや『婚約破棄イベント』もクソも、無くなりましたからね」


「て言うかおまえ、いつの間にか姿を消していたよな? 逃げ足が速過ぎるんじゃ無いのか?」


「あ、あれは、そのう──」


「ふん、そんなことはどうでもいい! 何とまさにその時、俺は真に理想的な女性に巡り会えたのだッ!」


「だから、それって誰のことなのですか?」







「突然その場に現れて、魔物を退治してくれた、『ロリっ子魔法少女』だよ!」







「………」


「………」


「………」


「………」


「………」


「………」




「……結局王子も、『限界オタク』じゃん」




「──がはあッ⁉(吐血しながら)」




「いや何でそもそも、この剣と魔法のファンタジーワールドに、『魔法少女』とか登場するのです?」


「別におかしくは無いだろう? 剣と魔法のファンタジーワールドなんだから、『魔女』はいるわけだし、『魔法少女とはいずれ魔女になる存在』だと、かの高名なる『白い宇宙陰獣』の方もおっしゃっていたぞ?」


「それは制作スタッフの誤りであって、『魔女』の少女版はあくまでも『魔女っ子』であり、『魔法少女』とは別物なのですよ」


「──どう違うんだよ⁉ ていうか、おまえも『限界オタク』じゃんか⁉」


「しかも百歩譲って、『魔法少女』が『なろう系』キャラだとしても、『ロリ』は駄目だろ、『ロリ』は? あんた一応次期国王様なんだから、体面と言うものが有るだろうが?」







「「「──何をおっしゃるのやら、『ロリ』だからいいんじゃないですか⁉」」」







「──なッ⁉」


 わたくしの至極常識的意見に口を揃えて答えを返してきたのは、何と王子では無く、その場にいた公爵家のメイドたちであった。




「──まったくもう、わかってらっしゃらないですね、お嬢様!」


「むしろ『ロリ』だからこそ、『至高』なのですよ!」


「『ロリ』では無かったら、(どこぞの『ハリー・ポ○ター』みたいな)単なる『魔法学校の生徒さん』だし」


「そんなの、この剣と魔法のファンタジーワールドでは、極普通の存在ですよ」


「そもそも、これは真面目な話として、魔法少女は『ロリ』であるべきなのです!」


「日本のアニメの黎明期に生み出された、初期の『魔法少女』や『魔女っ子』は、すべて幼い少女で、最低でも小学生までだったんですよね」


「……それが今では、中学生は当たり前で、下手すると高校生などと言った、『高齢者《BBA》』まで魔法少女になる始末。とんだ興ざめですよ」


「『マギ○コ』なんて、大学生や浪人生と言った、『魔法少女』以前に『少女』じゃねえだろおまえら⁉───てな感じでしたものね!」


「元祖『ま○マギ』が、いい意味で『魔法少女アニメ』の常識を打ち破ったと言うのに、『マギ○コ』のほうは、悪い意味で常識を破壊してしまったよな」


「……どこまで駄目なんだ、あの『スピンアウト』作品はッ⁉」


「──それに比べて、あの日突然我々の前に現れた、自称『セイレーンムーン』なる魔法少女ときたら、まさしく理想的でしたわ♡」


「いかにも可愛らしいロリっ子でありながら、戦闘能力も抜群!」


「まさにアニメにおける最大の見所である、『バトルシーン』に映えますよね!」




「……ああ、セイレーンムーン様、あなたは一体何者なのでしょうか?」




「もう一度、我々の前に姿を現してはくださらないかしら」


「どうせメイドをやるのなら、『悪役令嬢』そのまんまな今のお嬢様なんかよりも、やはり『ロリィな魔法少女』のほうが好ましいですわ」


「今度お会いすることができたら、隙を見つけて捕縛して、鎖で繋いで自由を奪って、永遠に私たちのものにいたしましょう」


「「「そうしましょう、そうしましょう」」」







「──何が、『そうしましょう』ですか⁉ そんな恐ろしい計画、やめてちょうだい!」







「……何ですか、アルテミスお嬢様、いきなり大声を上げたりして」


「安心してください、もしも魔法少女が我々のものになっても、けしてお嬢様のことを見捨てたりしませんから」


「いっそのこと、お嬢様もご一緒に、『セレムン』ちゃんのことを可愛がりましょうよ♡」


「だからって、権力を笠に着て、独り占めなんか許しませんからね?」




「──誰がするか⁉ それに勝手に『セレムン』とか、変な愛称をつけるなよ⁉」




「我々が『ロリっ子魔法少女』に、どんな『ペットネーム』をつけようが、構わないじゃありませんか?」


「『ペットネーム』て」


「別にお嬢様を閉じ込めて、みんなの所有物にしようって話じゃ無いんですから」


「ギクウッ⁉」


「……お嬢様?」


「そうだぞ、アルテミス。俺にだって、相手を選ぶ権利は有る。『ロリっ子魔法少女』を妃にして、毎日着せ替えごっこをして遊んで、何が悪いと言うのだ?」


「──あんた、そんなこと考えていたのか⁉ 嫌ですよ、そんなの!」


「……何で君が嫌がるんだよ?」


「ギクウッ⁉」




 ……言えない。




 実は自分が、現代日本からの『転生者』で、


 しかも代々異能者を輩出してきた神祇の家柄における、『巫女姫』の正統なる継承者でありながら、異能の力をまったく使えず、肩身の狭い思いをしていて、


 そう言うコンプレックスも有って、アニメの『魔法少女』作品に憧れて、いつか自分も魔法少女になって、好きなだけ魔法を使いたいと思っていたところ、


 不幸にも突然交通事故に遭い、『トラック転生』をして、剣と魔法のファンタジーワールドにおいて、『悪役令嬢』として生を受けたのだが、




 ──何と、この世界では自分も魔法を使えることを知り、まず最初に変身魔法によって、姿形も年格好も変えて、長年の夢であった魔法少女になって、好きなだけ魔法を使い放題できるようになるなんて☆







(※次回以降に続くかも?)

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