第2307話、わたくし、日本国首相兼魔法少女は、トラ○プを全面的に支持しますの★
「──どう言うことですか、アルテミス筆頭公爵家令嬢! 議会の承認も得ずに、勝手に独立国家イースの民間船を海軍に強襲させて、乗組員もろとも撃沈するなんて! 国際条約違反でしょうが⁉」
ここは大陸随一の魔導大国ホワンロン王国の、王都に聳える王城の大会議室。
現在行われている『国家最高安全保障委員会』において、委員長である公爵令嬢、イシュタル=アプロディーテの弾劾の声が響き渡っていた。
まるで真夏の太陽のような黄金色の髪の毛に、蒼天のごとき青の瞳と言う、いかにも『正統派美少女』と言った容姿であるが、その中身ときたら、安保委員長よりも『風紀委員長』のほうがお似合いだと揶揄したくなるほどの、謹厳実直ぶりは、そのずば抜けたクレイバーさと相俟って、この王国にとっての『良心』であり、女王にすら物申せる『ご意見番』として、並み居る王侯貴族の重鎮たちからも、一目置かれていた。
……もちろんこの私、アルテミス=ツクヨミ=セレルーナ自身も、彼女の才能と実力は、認めるところなんですけどね。
なぜかこの子ってば、私のことを目の敵のようにして、こちらの一挙手一投足に、いちいち噛みついてくるんですよねえ。
もちろん『悪役令嬢』の異名を誇る私が、やることなすこと『独断専行』で、しかも内外の法律や常識を無視した、『力尽く』のやり口が多いのも悪いんだけど。
「……そうは申されましても、今回対象となったのは、いわゆる『麻薬密輸船』であり、我が王国における密売組織の暗躍は、もはや放置してはおけず、『元を断つ』意味からも、元締めの麻薬カルテットが巣くっている、イース国に直接圧力をかけるのは、麻薬被害国として正当な権利ですし、最も効果的な手段なのでは?」
「──私は『平和国家』ホワンロン王国の国是として、いかなる武力行為も厳に慎むべきだと申しているのです! 我が王国内の麻薬問題に対してなら、警察機関では対応できない部分においては、軍隊を動員しても構いませんが、他国に対してはあくまでも、まず何よりも話し合いでの解決を図り、麻薬組織の撲滅については、先方さんの警察組織等に委ねるべきなのです!」
「そんなヌルいことを言っているうちに、我が王国内の麻薬中毒者が、倍々ゲームで増加していくだけではありませんの?」
「だからと言って、問答無用で他国の民間船を撃沈して、赦されるとでも⁉ たとえマフィアの息のかかった麻薬密輸船であろうとも、乗っているのが全員『犯罪者』と言うわけでは無く、例えば『コックさん』もいただろうし、もしも今回の攻撃で、そのような無実の方が亡くなられて、その遺族の方が悲しんでいるとしたら、我が王国建国以来のスローガンである、『子供たちが戦争等によって一人でも悲しむことの無い国造り』に、根本的に違反しているのでは無いでしょうか⁉」
「そんなこと言うのなら、うちの国内で麻薬中毒によって死んだ者にも、子供がいるだろうし、今頃その子たちは泣いているんじゃないのお?」
「……くっ、相変わらず減らず口だけは達者のようですね、さすがは『悪役令嬢』殿。でもあなたのそのような強引なやり口に影響されたのか、以前より話題になっていた国籍不明の謎の異能集団の『魔法少女』が、イースの首都『カラスの巣』に現れて、軍事施設を魔法攻撃したとのことですが、もしかして筆頭公爵家と、何らかの繋がりが有るのでは無いでしょうね?」
「──ぎくぅッ⁉ にゃ、にゃにを根拠に、そんなことを⁉ いくら『なろう系』が『何でもアリ』とはいえ、『悪役令嬢』と『魔法少女』とは、言わば『水と油』! 何の関係もごじゃりませぬぞ⁉」
「……何で盛大に目を泳がせて、語調を乱されたのですの?」
「そ、それに、現地に派遣していた諜報部員によると、今回主に魔法攻撃をぶちかましていたのは、正体不明の新参魔法少女のほうで、既に我が王国内でも存在を確認されていた『魔法少女、セイレーンムーン』のほうは、むしろその暴走を止めようと必死だったそうですぞ!」
「──何が『暴走』ですか⁉ 私は常に冷静沈着ですッ!」
「へ?」
「あ」
「……ええと、あなたが常に冷静であられるのは、誰もが認めるところですけど、私はあくまでも、急に現れてこっちも戸惑った、セイレーンムーン以上に『イカレた魔法少女』の話をしているんですけど?」
「──イカレたですって⁉……………………あ、いや、何でもございません」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
以前実際にご披露した通り、魔法少女の時と、普段の姿とが、『全然違う』のは、日本のアニメ等においては、古来からの『お約束』だ。
よって『悪役令嬢』であるこの私が、実は『魔法少女、セイレーンムーン』であるように、目の前の見目麗しい公爵令嬢が、あの日突然現れた、自称『魔法少女、セイレーンマーズ』であったとしても、別におかしくは無いだろう。
……でもなあ。
あの日、あくまでもイースの王都『カラスの巣』へ、偵察がてらにやって来て、もしできるなら穏便に国王夫妻を拉致して、平和裡に問題を解決しようとしていたところに、
『──げひひひひッ! ムーンの姉さん、ついにイース撲滅の肚が決まったんですかい? あっしも協力させていただきますぜ! あっしですかい? あっしは姉さんに憧れて、『泥らだけの犬のような使い魔』の勧誘に応じて、魔法少女になった『セイレーンマーズ』と言う者でさあ。まあ見ていてください、あっしのスキルの『爆裂魔法』を、ほんの数十発ほどお見舞いすれば、こんな悪徳の都なんて、一夜にして灰燼に帰させてご覧に入れまさあ☆」
などと、一方的にまくし立てて、こちらが止めるのを振り切って、バカスカ魔法攻撃をお見舞いして、一国の首都をたちまちの内に火の海にしたのが、目の前の御令嬢と同一人物とは、どうしても思えないんですけど。
「──な、何ですか、人のことをさっきから、そんな熱い視線で見つめたりして⁉」
へ?
「あ、悪い、ちょっと考え事をしていて」
「『お姉様』から、そんな目で見られていたら、私もう……」
「え、『お姉様』って?」
「し、知りません! とにかく、これ以上のイース王国に対する軍事行動は、けして認められませんッ!…………でももし、秘密裏に何か行おうとする際には、私にも事前にお知らせくださいッ!」
そう言い放つや、なぜだか顔を真っ赤にして、会議室を飛び出していく公爵令嬢。
……はは、まさかね。
まさか、あの超絶クールな『氷姫』の異名を誇るイシュタル嬢が、実は『魔法少女』で、しかも性格がヤバいほど好戦的に激変して、あろうことかこの私に対して、激重な感情を抱いているなんて、有り得ませんわよね⁉
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ちょい悪令嬢「──現在話題騒然の『ベネズエラ問題』ですが、本作の作者としては、『戦争等によって子供たちを一人でも泣かせてはならない!』のモットーに基づき、アメリカの蛮行は絶対に許せませんけど、日本の高○首相におかれましては、是非ともトラ○プ大統領を全面的に支持することをお勧めいたしますわ★」
メリーさん太「──何だよ、それ⁉ 完全に矛盾しているじゃ無いか⁉」
ちょい悪令嬢「個人的意見はともかく、政治家としては何よりも、『国益』を優先しなければならないのですよ」
メリーさん太「ベネズエラにおける武力行為を是認するのが、何で日本の『国益』と合致するんだよ⁉」
ちょい悪令嬢「今回のトラ○プ大統領の行為は、中国に対して『台湾武力侵攻』のお墨付きを与えたも同然で、これを擁護した日本はもはや、中国の行動に対して、口出しできなくなるでしょう」
メリーさん太「そりゃそうだ! アメリカを擁護しておいて、中国だけ非難したんじゃ、完全に『ダブスタ』じゃんか⁉ ──つまり日本は、台湾を見捨てても構わないわけか⁉」
ちょい悪令嬢「そりゃあ、『中国人の軍隊が中国人の子供を殺す』のは忍びないですけど、あくまでも日本にとっては『他人事』ですからね」
メリーさん太「酷い!」
ちょい悪令嬢「……でももしも中国が、沖縄はもちろん、尖閣諸島に手を出してきたら、全力で軍事的に叩くまでの話です。──もちろんその時は、アメリカ第7艦隊と一緒にね」
メリーさん太「──‼」
ちょい悪令嬢「何せそのための、今回における『アメリカ全面支持』なのですよ。ベネズエラだろうが台湾だろうが、よその国のことなんて知ったこっちゃありませんが、日本が危機に瀕した際に、アメリカがちゃんと助けてくれないんじゃ、話になりませんからね。たとえ平和国家である日本であろうとも、『アメリカの軍事行動』を否定することなんて、万に一つも有り得ないし、もし仮にしてしまえば、その時点で『おしまい』なのですよ☆」




