第2301話、わたくし、今期秋アニメの私的覇権作は、『スパイフ○ミリー』に決定ですの☆
今日もまた、三人も、人を殺した。
──それも、自分と同じ、『中つ国人』を。
……最初は、何が何だか、わけがわからなかった。
『あれから』一体、何年が過ぎただろう。
僕は『その時』までは、何も知らない、ただの子供だった。
──突然の、ミサイルやドローンによる、大空襲。
続いての、爆撃機やマルチロール機による、重要拠点への精密爆撃。
そしてついに、圧倒的兵力を誇る、陸軍部隊の上陸。
街ごと破壊された僕らは、家を失い、両親を失い、学校の友達を失い、逃げ惑うしかなかった。
国土のほとんどは、敵の『中つ国人殺し』のプロフェッショナル、『珍民解放軍』に蹂躙されて、もはやすべては終わりかと諦めかけた時、
ようやく、救いの手が差し伸べられた。
実は『半導体工場建設』の名目で、神聖皇国旭光において『軍事訓練』を密かに行っていた、タイヴァーン人からなる精鋭部隊が、祖国の危機に際して、最新型の兵器と最高の練度を伴って、大挙して駆けつけてきたのだ。
そしてタイヴァーン海峡においても、『対艦番長』の異名を誇る旭光の『Fー2』支援戦闘機を駆った、タイヴァーンの航空兵たちが、中つ国空軍を圧倒し、侵略軍の艦船をことごとく沈めていって、制空権と制海権を一気に掌握し、戦況の大逆転を成し遂げたのであった。
……もちろん、航空戦にしろ、海戦にしろ、陸上戦にしろ、無償貸与された旭光の兵器に誰よりも長けている、旭光軍兵士たち自身も、『義勇兵』として参戦してくれたのだが、本来旭光の国是である『専守防衛』に反するところであるものの、中つ国自身、かつて『エルフ半島戦争』において、公然と『義勇軍』を参戦させた『前科』が有るので、文句は言えないであろう。
元々地の利が有り、祖国を守ろうとして戦意も旺盛だったところに、いまだジェットエンジンもろくに造れない中つ国軍に対して、最新鋭の旭光軍の兵器までも手に入れたタイヴァーン軍は、多数に無勢の劣勢を瞬く間に覆し、タイヴァーン内の侵略軍を掃討し終えるや、今度はこちらから大陸本土へと打って出たのであった。
その手始めとして、タイヴァーン侵攻の拠点として、多くの兵士や兵器や兵站が集められていた、フッケバイン省の軍事基地を、無数のドローンで攻撃して灰燼に帰させるとともに、中つ国が誇る超大規模な三狂ダムや各地の原子力発電所を、Fー2や以前より所有していたFー16戦闘爆撃機の精密爆撃によって破壊して、甚大なる水害と放射能汚染によって、大陸人どもを大量虐殺し、大陸全土を大混乱に陥れたのだ。
この機を逃さず、大量の兵士を上陸侵攻させて、ホングコングやションハイや北の京において少なからず存在していた、『民主派』の反乱分子たちと呼応しつつ、各都市を共産主義者の圧政から『解放』していった。
──だがしかし、劣勢になったと言っても、相手はあの『中つ国人殺し』のプロフェッショナルの、『珍民解放軍』である。
そもそも今度は地の利は相手側に有り、しかも『ゲリラ戦』は赤軍の十八番とばかりに、先進的兵器を誇る我が軍を翻弄していったのだ。
──そして当然のごとく戦況は、『泥沼の長期戦』と相成ったのである。
そうなると、僕自身の『選ぶべき道』は、一つしか無かった。
『徴兵年齢』に達するや、すぐさま軍に志願した。
……僕から家族を、『幸福な日々』を奪った、中つ国軍が、許せなかった。
できるなら、珍民解放軍を一人残らず、この手で殺したかった。
──しかし、それはあまりにも浅はかな、思い違いでしか無かったのだ。
歩兵部隊に配属されて、実際に銃を取り、『敵』と戦場で相まみえることで、やっと気づいたのである。
──相手が自分と同じ、『中つ国人』であることに。
着ている軍服こそ違えども、中身は自分や友人たちと、何ら変わらないことに。
もちろん、頭ではわかっていた。
しかし、実際に銃口を向け合って対峙した時、僕も相手も、初めて実感したのだ。
──まるで、『自分自身に銃口を向けているようだ』と。
特に、死にかけていた敵兵を間近で見た時が、最悪だった。
「……爸爸、妈妈」
それは確かに、『中つ国語』であり、その顔は何度も目にしてきた、友軍の兵士の死に顔と、何ら変わりは無かったのだ。
……僕は一体、何をしているんだろう。
自分の家族を殺した、憎い『敵』に復讐しているつもりだったのに。
相手も自分や家族たちと同じ、『中つ国人』だなんて。
しかも僕たちタイヴァーン軍の大陸侵攻によって、珍民解放軍だけでは無く、女子供をも含む非戦闘員たちも、大量に死んでしまったであろう。
これでは、『卑劣な共産主義者』どもと、やっていることが同じでは無いか?
何で僕たち『中つ国人』の若者たちが、お互いに殺し合わなければならないのか?
どうして何の罪も無い、女子供たちが、自分と同じ中つ国人に、殺されなければならないのか?
──僕たちの敵は、他にいるのでは無いか?
そう、共産党首脳部のみならず、戦争を起こすことによって利益を得ることができる、権力者や金持ちどもにこそ、今手にしている『銃口』を向けるべきでは無かろうか。
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メリーさん太「……今回も相変わらずヤバい内容だけど、何だかこれまでとは少々趣が異なるよな?」
ちょい悪令嬢「ええ、今回はいつもの全面的な『中○批判』と言うよりも、『分断国間の戦争の悲哀』に焦点を当ててみましたの」
メリーさん太「まあそれも元々『テーマの一つ』では有ったけど、どういった心境の変化なんだよ?」
ちょい悪令嬢「例のごとく『今期秋アニメの私的覇権作』の選考に当たって、最有力候補である『SPY×F○MILY』第3期を見直したところ、予想外に感銘を受けまして」
メリーさん太「──今更かよ⁉」
ちょい悪令嬢「いえいえ、改めてじっくりと視聴してみれば、例の幼いロ○ド少年の視点を通しての、『東西戦争』の描写が、非常に詳細かつリアルだったことと、だからこその彼の置かれた『過酷な状況』を、まざまざと思い知ることができたのです」
メリーさん太「と言うと?」
ちょい悪令嬢「まず何よりも、突然の敵軍の侵攻により、街を爆撃されて、家や両親を失って、幼い少年にとっての『世界が一変』したところなんて、『爆弾が降ってくる』のが日常と成り果てている、ウクライナやガザ地区の子供たちを彷彿とさせるし、台○の中○人の子供たちの『未来の姿』とも思われたのですよ」
メリーさん太「──ッ」
ちょい悪令嬢「そんなロ○ド少年は当然のごとく、復讐心に駆られて軍に志願するのですが、実際に戦場に立って銃口を向けてみれば、相手は自分と同じ民族だし、何なら友人や親戚と戦っているようなものだと、初めて気づくわけですよ」
メリーさん太「しゃべっている言葉なんて、同じだからな」
ちょい悪令嬢「ええ、それを象徴しているのが、森の中での、当時敵軍の一兵卒だったフラ○キー=フランクリン氏との、邂逅のシーンでしょうね」
メリーさん太「……なるほど、確かにフラ○キー氏が言っていた、『別に俺たち下っ端が殺し合う必要は無いんじゃないか?』と言う台詞こそが、今回の【突発短編】に生かされているわけだな?」
ちょい悪令嬢「とはいえ、ロ○ドさんが自分と同じ民族の軍隊に、家族や日常を奪われたのも事実ですからね。──よって何度も申しますように、中○共産党の首脳陣こそ、この『SPY×F○MILY』第3期をご覧になって、『自分と同じ民族の頭上に爆弾を落とす』ことが、どんなに愚かな誤りであることを、心から自覚していただきたいところですわ★」
メリーさん太「……と言うことは、今期秋アニメの私的覇権作は、この『SPY×F○MILY』で決まったわけか?」
ちょい悪令嬢「ええ、今回改めて見直したところ、これほどの感動を本作の作者に与えた作品は、他には無かったですからね☆」




