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第2296話、わたくし、黄金艦隊『超ト級』戦艦ですの☆

 ここは永世中立国スイスの、某政府系施設内の大会議室。


 ──現在ここでは、東アジアの『台湾問題』を巡って、日本、アメリカ、韓国、北朝鮮、ロシア、中国と言った、関係諸国の元首が一堂に会し、喧々がくがくの議論を交わしていた。


 当然のように最も問題とされたのは、日本の高○総理の『某発言』についてであり、アメリカ以外のすべての元首が、その『失言』に対して執拗に問い詰めていた。




 ──しかしそれは、国際的にあんなにも話題になった、『存立危機事態』についてでは無かったのだ。




「──プークスクスクス、高○総理ってば、とんだ『失言』ですなあ」


「いやはや、今どきこんな『時代錯誤』な台詞が聞かれるとは」


「しかも仮にも『自衛隊』と言う、事実上『一国の軍隊』の最高司令官だと言うのに」


「『私ミリオタじゃ無いから』と言う言い訳も、通用しないよな」


「左様、国の指導者としては、最低限の軍事知識は持っておかねばな」


「それなのに」


「それなのに」


「それなのに」


「それなのに」




「「「「21世紀も四半世紀が過ぎたと言うのに、前世紀の遺物である『戦艦』なんかを、まるで海軍の主力兵器であるかのように、国会答弁で名前を挙げるなんて、大爆笑モノ以外の何物でも無いんですけど? ギャハハハハハハ!!!」」」」




 会議場に響き渡る、哄笑の嵐。


 一方的にやり込められているものの、確かに自分の不用意な発言が招いた結果なので、言い返すことなぞできず、ただただ羞恥に耐えるばかりの高○首相。


 だがその時、思わぬ『助け船』が現れたのだッ!




「──いや、高○首相は、何も間違っていないぞ!」




「「「「ええっ、トラ○プ大統領⁉」」」」




「戦艦が、『過去の遺物』だと? ──否! むしろこれからは、『戦艦の時代』なのだ!」




「「「「と、トラ○プ大統領、一体何を言って──」」」」




「実は私はアメリカ海軍において、新規戦艦──その名も『トラ○プ級戦艦』の建造を計画し、ゆくゆくは『黄金艦隊』を組織して、七つの海に覇を唱える所存なのだ!」




「「「「この空軍力第一時代に、アメリカがガチで戦艦を建造するだと⁉」」」」




「そうだ! 昔同様大口径の主砲を備えるのはもちろん、核弾頭を含むミサイルを始め、レールガンやレーザー兵器を搭載し、攻撃も防御も万全と言う、まさしく『移動可能な大規模要塞』となるのだ!」




「「「「──完全に、小学生が考えた、『ぼくのさいきょうのへいき』じゃんか⁉ アメリカ大丈夫か⁉」」」」




 もはや『高○発言』なぞぶっ飛ぶレベルの『狂気の暴言』に、驚愕を隠しきれなくなる各国の元首。


 中でもアメリカの最大のライバルである、中国の国家主席の焦りようは格別であった。


「──だ、駄目だ、アメリカ大統領! それだけは駄目だッ!!!」


「ふふん、残念だったな。これで中国の太平洋進出は、夢のまた夢となっただろう」


「違う! そんなことを言いたいんじゃ無い! 戦艦に──否、あらゆる『軍艦』に、自分の名前をつけるのは、『自殺行為』だと言っているのだッ!」


「……やれやれ、嫉妬かね? だったら君のところも戦艦を造って、それに自分の名前をつければいいじゃないか?」


「だから、そうじゃなくてッ!…………………ああ、もういい、先に謝っておこう。すまん、心からお詫び申し上げる」


「何で君が謝るんだい⁉」




 ──この数ヶ月後、中国を代表する艦船ゲームの『アズールレ○ン』において、相変わらず下品な『奇乳』に女体化された、『戦艦トラ○プ』が実装されたのであったwww




 そのように熱き議論(?)を繰り広げている米中首脳をよそに、他の国家元首たちは、額を突き合わせるようにして、いかにも深刻そうに言葉を交わしていた。


「……いや、トラ○プ大統領って、『アズ○ン』と言うよりも、『艦○れ』のファンじゃないのか?」


「アメリカの大統領のくせにか?」


「あいつ一期めの時、日本の海自のヘリコプター搭載護衛艦『かが』が、本格的な空母に改装されるのを聞いて、大喜びしたそうだぞ?」


「来日した時も、わざわざ『かが』に乗艦して、むちゃくちゃはしゃいでいたからな」


「……まさかガチで、『艦○れ』をプレイしていたりするんじゃないだろうな?」


「『一航戦ガチ勢』かよ?」




「……それで、他ならぬ日本国の総理である私が言うのも何ですけど、前々から思っていたのですが、現在のアメリカや中国って、第二次世界大戦直前の、『大日本帝国』に似ていると思いません?」




「──ああっ、私も思っていた!」


「今回のトラ○プ大統領の、時代錯誤の『巨艦巨砲主義』は言うに及ばず」


「軍事力を笠に着て、同盟国すら含めて、脅しまがいの強硬なる外交姿勢!」


「しかも今更必要以上に『海軍力』に傾注しようだなんて、かつての『海軍至上主義』の日本そのまんまじゃ無いか⁉」


「……それは実は中国も、御同様だったりするんだよな」


「あそこも空母新建造を始めとして、やけに海軍に力を入れているからな」


「一番の問題は、『武力侵攻もやむなし』と言う、『台湾』に対する執着だ」


「……これって、戦前の大日本帝国の、『満州』に対する執着そのものじゃん」


「しかも自国民に対する、政治や信教等の『思想統制』は、まんま『ファシズム国家』だよな」


「日本がちょっと台湾問題に口を挟むだけで、若者に大人気だった日本のサブカルチャアを一掃してしまうなんて、いくら何でもやり過ぎだろう?」


「まさしく戦時中の大日本帝国が、『鬼畜英米』とか言った頭の狂ったスローガンのもと、英米の人気な文化どころか、『英語』を敵性語として、言語そのものを禁止してしまったのと、まったく同じじゃん」




「「「「……と言うことはまさか、アメリカと中国ってガチで、第三次世界大戦を起こそうとしているんじゃないだろうな?」」」」




 ──考え得る限り、最悪の結論に達する、各国の元首たち。




 そんな彼らをよそに、アメリカと中国の馬鹿げた論争は、それから数時間も続いたのであった。




   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑




メリーさん太「……いやホント、トラ○プ大統領の『新戦艦建造宣言』には、度肝を抜かれたよな? この『空母至上主義時代』に、何を『時代錯誤』なことを言っているのやら」




ちょい悪令嬢「──いえ、実はそうでも無いのですよ」




メリーさん太「はあ?」


ちょい悪令嬢「確かに航空機械が長足の進歩を遂げたことにより、軍事はもちろん、庶民の一般的な生活も一変したので、ほとんどの人々は『勘違い』してしまっているのです」


メリーさん太「『勘違い』って、一体何をだよ?」


ちょい悪令嬢「例えばメリーさんは、日本からアメリカに行くのに、どれくらい日数がかかると思います?」


メリーさん太「……日数って、いや、一般的な旅客機でも10時間程度だし、超音速の軍用機を使えば、アッと言う間だろうが?」


ちょい悪令嬢「ええ、その認識を疑う者はほとんどおらず、もはや日本とアメリカとの距離は、物理的にも精神的にも、かつてとは比べ物にならないくらい、『近い』ものとなっております」


メリーさん太「……それの一体何が、問題だって言うんだ?」


ちょい悪令嬢「そんな常識に囚われている方ばかりなので、今から私が述べる『極当たり前のこと』に、皆さんさぞかしびっくりするかと思われますよ」


メリーさん太「な、何だよ、『極当たり前のこと』って?」




ちょい悪令嬢「日本からアメリカに行くのに、航空機では無く船舶を使う場合では、一番近い西海岸であっても、最低二、三週間はかかるのですよ」




メリーさん太「──ええっ、そんなにかかるの⁉ 確かに船と飛行機とでは全然違うとはいえ、技術革新か何かで、二、三日ぐらいで着くかと思っていたよ!」




ちょい悪令嬢「ね、改めて『二、三週間』もかかるなんて聞いたら、それこそ二、三世紀ほど昔に戻ったかのような、錯覚に陥りますよね」


メリーさん太「……これだけ技術革新が図られたと言うのに、『船の速度』自体は、あまり変化は見られないんだな」


ちょい悪令嬢「そもそも、速度を上げる必要に乏しいのですよ。急ぐんだったらそれこそ、航空機を使えばいいんですからね」


メリーさん太「それに無理に速度を上げると、『事故率』が上がったりするかも知れないしな」


ちょい悪令嬢「それなのに、現在においても『物流の主要輸送手段』は、いまだに『海運』なんですよ。いくら航空機を大型化しても、輸送量なんてたかが知れますからね」


メリーさん太「大量の食糧品や石油を航空機で運ぶなんて、現実的じゃ無いしな」




ちょい悪令嬢「何よりも重要なのは『軍事面』で、大量の兵員や戦車や大砲等の地上兵器を移動させるのには、やはり海上輸送が主体となっていて、それには当然日数がかかってしまうのです」




メリーさん太「『真珠湾攻撃』とか言うと、いかにも日本の航空部隊が不意討ちをカマしたように思われがちだけど、そのために空母に載せられて、12日間と言う長期にわたって延々と航海していたとなると、何となく『間抜け』に思えるよな」


ちょい悪令嬢「現在の人工衛星すら利用した、各国の情報収集能力からしたら、一週間以上も艦隊が移動していたら、絶対に見つかってしまうので、海のど真ん中にあっても、それなりの『防御力』を確保する必要が有るのですよ」


メリーさん太「……そのための、空母の艦載機による防空システムだけど、艦船そのものにも『対空防御能力』が有ったほうが、確実であることは間違い無いよな(※例えば衛星により入手した映像によって判明した、空母の数や大きさから艦載機の規模が把握でき、その航空兵力より多くの攻撃機を投入すれば、制空戦が俄然有利になるであろう)」


ちょい悪令嬢「そうなると、トラ○プさんの新戦艦の、過剰なほどの『防空システム』は、あながち間違っていないとも言えるのでは?」


メリーさん太「……た、確かに」




ちょい悪令嬢「このように、高○総理の『戦艦発言』を『時代錯誤』だと切り捨てたり、トラ○プ大統領の『戦艦構想』を『誇大妄想』だと嘲笑する前に、幾つもの視点からようく吟味することも、真に『時代の先を読む』ためには、絶対に必要だと愚考する次第ですの♡」










ちょい悪令嬢「──更に問題視すべきは、中国に引き続いてアメリカまでも、海軍力の増強に乗り出したことで、両国が世界大戦規模の軍事行動を起こす気満々である恐れが有り、ますます注目していく必要が有るかと存じますの☆」

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