第2293話、わたくし、むしろ中国が香港に乗っ取られていると思いますの★【解説編】
──皇紀2586年1月某日、深夜。
東エイジア大陸ホワンロン王国南東部、経済特区『ションハイ』租界。
「……依頼した『商品』は、持ってきたか?」
「ええ、こちらに」
「何だ、まだ手足が付いているじゃないか?」
「お客様のご要望で、切除はご自分でなさるそうです」
「おいッ、ガキだからと言って、甘く見るな。こいつらが『魔法』を使えば、逃亡されるどころか、俺たちのほうが皆殺しにされかねないんだぞ⁉」
「大丈夫です、既にアヘン漬けにしておりますので、抵抗する意思すら無いでしょう」
「まあ、滅多に手に入らない、神聖皇国旭光生まれの『魔法少女』だ。下手に傷物にするよりはマシか」
「……旭光に潜り込ませた二十人のバイヤーの内、生き残って魔法少女を連れて帰って来れたのが、たった三人でしたからね。安売りなんかできませんよ」
「おまえのところの兵隊って、北部の馬賊崩れで、プロの軍人顔負けの腕前なんだろ? そんだけ犠牲にして、そんな餓鬼一人しかさらえなかったのかよ?」
「それ程旭光が、『人外魔境』の地で、そこに住む魔女どもが、規格外の存在だってことですよ」
「なるほど、餓鬼一人の誘拐に、これだけの報酬を、うちのしみったれたボスが出すわけだ。──そっちの要求した金額が、このアタッシュケースの中に入っている、確かめてくれ」
「それはそれは、毎度ありがとうございます♫」
こうして、この当時のションハイにおいては何ら珍しくも無い、犯罪者同士の取引が、無事に終わろうとしていた、まさにその時、
──厳重に警護されていたはずの部屋の扉が、突然開いたのであった。
「誰だ! 取引中はネズミ一匹通すなと、言っておいただろうが⁉」
思わず一斉に振り向けば、そこにいたのはあまりにも意外な人物であった。
漆黒の飾り気のないドレスに細身の長身を包み込み、烏の濡れ羽色の長い髪の毛の上には大きなトンガリ帽子をかぶっている、人並み外れた絶世の美女。
「……まさか、旭光の魔女?」
「──『バン』」
そう言って、おもむろに女が、人差し指を突き出せば、
「──ぐぎゃあッ⁉」
その先にいた、誘拐犯の元締めの男の頭が、吹っ飛んだのであった。
「て、てめえ⁉」
慌てて懐から拳銃を取り出す、取引相手の男。
しかし何ら躊躇すること無く、男のほうへと歩み寄ってくる女。
「……私の娘を、返してもらいますよ?」
「やはり魔女か⁉ どうやってこのションハイに潜り込んだんだ⁉」
「……現在の東エイジア全土は、軍閥が群雄割拠し内戦状態となり、ここのような外国人居住区である租界は、完全に無政府状態となっていて、ついには我が旭光にまで『黒社会』の手の者が潜り込んでくる始末。もはや大陸人に統治能力無しと言うことで、我々旭光の魔女が『自警団』を組織して、このションハイを支配下に収めることにいたしましたの」
「──島国の魔女ごときが、ふざけるな! 租界は俺たち黒社会の縄張りだ! しかも武器や資金の横流しによって同盟関係にある、共産党軍が黙っちゃいないぞ⁉」
「はあ? 何を寝ぼけたことを。既にこのションハイ内においては、マフィアか共産党軍か一般庶民かにかかわらず、大陸人は全員殺し尽くしましたけど?」
「………………………………………………………………へ?」
「あなたたちまさか、極東の魔女や魔法少女に手を出しておいて、ただで済むと思っていたのですか?」
「………みんな、殺した? 俺たちギャングや共産党軍だけじゃ無く、このションハイに何十万人もいた、大陸人を全部?」
「我々魔女にとっては、あなたたち大陸人なぞ、虫けらのようなものに過ぎないのです。そんな蚊や蝿ごときが、自分の大事な子供にたかってきたら、一匹残らずひねり潰すに決まっているでしょうが?」
「──だからって、何の罪も無い女子供まで殺したって言うのか、この人でなしがッ!」
「あはははは、自分たちとは違う『魔女』や『魔法少女』だからと言って、平気で親元から誘拐して、手足をもいで好事家に売り払おうとしていたくせに、いかにも厚顔無恥なところが、大陸の糞虫らしくていいですね♫」
「──うぐぅッ⁉」
「まあとにかく、これ以上東エイジア大陸のクズどもを野放しにしておいたら、我が神聖皇国旭光にも悪影響を及ぼしかねませんので、これよりは魔女の全勢力を投入して、大陸人を殺して殺して殺し尽くす所存ですので、どうぞお覚悟のほどを★」
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メリーさん太「──おいおいおい、今回の【突発短編】は、いくら何でもマズいだろお⁉ これじゃまるでかつての大日本帝国の、『南京事件』や『三光作戦』を、肯定的に描いているみたいじゃんか⁉」
ちょい悪令嬢「いえいえまったく違います、あくまでも今回の【突発短編】は、戦前の上海に代表される『租界問題』を、前回の【突発短編】は、イギリスから返還以前の『香港の闇』を、テーマとしたものですから」
メリーさん太「どう違うんだよ⁉」
ちょい悪令嬢「『南京事件』や『三光作戦』は、それが史実かどうかは別にして、あくまでも『軍事的問題』なのに対して、『租界』や『香港』のほうは、現在にも通じる『黒社会』を問題としているのです」
メリーさん太「……『黒社会』、だと?」
ちょい悪令嬢「これって、歴史的に無視されがちな『ファクター』ですが、むしろ『黒社会』の存在を中心に据えることによって、日本のほうが『被害者』であり、中○のほうが『加害者』となって、これまでの『歴史的見解』がすべて、ひっくり返ってしまうのですよ」
メリーさん太「はあ?」
ちょい悪令嬢「実は戦前の中○大陸には、確固とした『統一政府』なぞ存在せず、数多の『軍閥』が群雄割拠し、現在の台○政府である国民党軍も、あくまでもその勢力の一つでしか無かったのであり、上海等の『租界』と呼ばれる外国人居留地は、もはや『治外法権』ともなっていて、内外の犯罪組織が跳梁跋扈し、住民たちの身の安全が保障されていなかったのです」
メリーさん太「え、別に国民党が、唯一の政府じゃ無かったのかよ⁉」
ちょい悪令嬢「むしろ国民党政府がしっかりしていたら、『日中戦争』自体が無かったとも言えるのです。別に日本の『領土的野心』だけが、戦争を起こしたわけでは無いのですよ」
メリーさん太「なるほど、そもそも国内が荒れていなかったら、共産党軍が勢力を伸ばすことなんてできなかったはずだしな」
ちょい悪令嬢「言うなれば日本人たちは、中○の治安を回復させようと思ってこそ、まず最初に日本人の居留地である上海において『自警団』を組織して、その地に住む中○人はもちろん、その他の外国人勢力からも感謝されていたのだし、それを見て中○の覇権を奪われると邪推した国民党軍が、いきなり『上海に攻め込んできた』のであり──」
メリーさん太「──ちょっと待って! 中○の軍隊が、平和を取り戻そうとしていた中○の都市に攻め込んできたって、何じゃそりゃ⁉」
ちょい悪令嬢「そうなのです、『上海事変』の初期段階では、今では信じられないですけど、アメリカやイギリスすら含めて、欧米諸国のマスコミがこぞって、平和に治安活動を行っていた日本に対して、突然喧嘩を売ってきた国民党軍のほうに、非難囂々だったのですよ(※事実です)」
メリーさん太「えっ、そうだったの⁉」
ちょい悪令嬢「今回の【突発短編】でも述べましたが、文字通り『無政府状態』だった、当時の上海等の租界においては、『黒社会』と呼ばれる犯罪組織がやりたい放題やっていて、日本人等の外国人すら手当たり次第に誘拐したり殺害したりして、当時大問題となり、むしろ日本の自警団は、欧米人にとっては『ヒーロー』視されていたくらいなのです」
メリーさん太「……確かに、当時の中○を半ば植民地化していた日本人や欧米人は、中○人にとっては『敵』のようなものだろうが、政府が機能していないのをいいことに、犯罪組織を野放しにしていいわけが無いよな」
ちょい悪令嬢「何と『黒社会』自体は、戦後においてもその勢力は衰えず、特に『イギリスの統治下』と言う特殊な状況にあった香港において暗躍し、日本人を始め行方不明となる旅行者が後を絶たず、その被害者は臓器を抜き取られたり、『ダ○マ』化されて好事家のコレクションにされたりと、悲惨な目に遭ったそうです」
メリーさん太「ええッ、返還前の香港て、そんなに恐いところだったの⁉」
ちょい悪令嬢「──とにかくただ単純に、昔の中○や現在の香港が『被害者』で、昔の日本や現在の中○が『加害者』だと言う、『固定観念』に囚われては駄目なのですよ。前回の【突発短編】でも述べましたが、現在の中○はいかにも香港の民主派に対する『加害者』のように見えますけど、むしろ中○のほうこそ香港に乗っ取られていて、黒社会や華僑ならではの『金儲け主義』に、完全に毒されてしまい、建国当時の高邁なる『共産主義』の精神を忘れ果てて、今や国家ぐるみで、日本や韓国やその他の世界中の国々に、『留学生』と言う名の『尖兵』を送り込んで、転売や特殊詐欺や闇バイトや押し込み強盗や誘拐や臓器売買等々の、犯罪的行為に手を染めてしまっているのは、皆さんようくご存じのことでしょう★」




