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第2246話、わたくし、【スパイフ○ミリー】の最大の謎を解明いたしましたの⁉

「──いやあ、よく来てくれたね、ア○ニャ=フォージャー君。君のことはかねがね、ダミ○ンや妻からよく聞いていたよ」


 そう言って、目の前の壮年の男は、満面の笑みを浮かべた。




 まるで『ラスボス』であることなぞ、何かの冗談だったかのように。




 ──ドノバン=デズモ○ド。


東人民共○国(オスタ○ア)』最大の保守政党、『国○統一党』の総裁にして、元首相。


 この国においては誰よりも、『西国《ウェスタ○ス》』との統一を希い、その政治生命のすべてを賭けている男。




 ──そして何よりも、私や母の故郷を滅ぼした、誰よりも憎きかたき




 ……だがしかし、今はその憎しみは抑えなければならない。


 何よりも優先すべきは、『オペレーシ○ン〈梟〉』の成功だ。


 ちち、ロ○ド=フォージャーの宿願である、世界平和──すなわち、『子供が誰一人泣かずに済む世界』の実現には、この『ラスボス』を倒さねばならないのだ。


 それには何よりも、この目の前の男の『本心』を、暴き立てなくてはならない。


 それができるのは、『人の心を読む』力を持つ、私以外に有り得ない。


 ──とはいえ、油断もできない。


 彼の奥さん、メリ○ダ=デズモ○ド夫人の話では、彼にも『人の心を読む力』が備わっているかも知れないと言う、疑いが有るのだ。


 もしそうなら、既に対面を果たしたと言う、ちちから、『オペレーシ○ン〈梟〉』について、すべて筒抜けになっている可能性すら有った。


 ……そもそも、彼がちちでは無く、私とサシで話がしたいと申し出たこと自体、不可解なのだ。




 もし私が、かつての『被験体○○7』であることを、覚えていたとしたら、話は別であるが──




「……どうしたのかい、そんな恐い顔をして。私はただ君と、お話をしたいと思っているだけだよ」


 相変わらず仮面のような笑みを貼り付けたまま、優しげな声で語りかけてくる、目の前の『怪物』のごとき政治家。


「あ、ア○ニャ、おまえのような偉いやつと、話し合うことなんて、ありませんます!」


「ほう、そうかい? では、『話し合い』では無く、『こっち』のほうなら、よろしいかね?」


 彼がそう言った、その瞬間──




『──ANI○ 久し振り』




 頭の中で鳴り響く、相変わらず優しげな声音。


 しかしそれは、目の前の男のものどころか、『男性の声』ですら無く、




 あまりにも懐かしいほどに、聞き覚えの有る、『女性の声』であったのだ。




「………………………おかあ、さん?」




『うふふふふ、「研究所」以来ね。随分と大きくなったようだけど、元気にしていた?』




「──どうして『ラスボス』が、私のお母さんの声で話すのですますか⁉」


『「ラスボス」って、この男のこと? こんな愚かな小物が?』


「へ?」


『ここを、見てご覧』


 そう言って指さす先には、こめかみから側頭部にかけて、大きな縫合痕があった。


 ……大怪我? いや、手術の痕か?




『この男は、どうしても「人の心を読む」力が欲しくて、最後の手段に打って出たの。脳みそこそが超能力が宿っている主要器官だと思い込んで、何と自分の頭に私の脳を移植したのよ』




「──ええっ、このオッサンの頭には、お母さんの脳みそが入っているの⁉」


『……ホント、馬鹿な男。脳みそこそが、その人間のアイデンティティを司っていると言うのに。脳みそを私のに入れ換えてしまったら、それは私にその身を明け渡すも同じじゃ無い』


「……お母さん、そのオッサンを乗っ取ったのですます? お母さんは、『恐怖の寄生生物』だったのですますか?」


『失礼な、すべてはこの男の自業自得よ。──でもそのお陰で、あなたを逃がすことができて、本当に良かったわ。いくらこの身体を乗っ取ったからって、その後もすべて私の思い通りにいくとは限らず、もしもこのことがバレたら、私の脳みそはもちろん、あなたがどんな目に遭うかわからないから、逃がせる時に逃がしておいて、間違いは無いからね』


「……そういえば、次男のははも言っていた、『ある時期を境に、私の夫は変わってしまった』って」


『この男の「行動パターン」については、周りの者の心を読むことで、どうにか取り繕っていたけど、やはり奥様のような身近な者は欺けないようね』


「……お母さん、元の身体に戻ることはできないのか?」


『無理ね。脳みその無くなった身体なんて、生存することなぞできるわけが無く、とっくに「破棄」されていることでしょう』


「だったら、そんな身体のままで、これからどうするつもりですます? 『国○統一党』総裁として、ウェスタ○スとの統合のために、戦争を起こしますですか?」


『ウェスタ○スとの統合? あはは、そんなことする必要は無いじゃない』


 ……ほっ、良かった。むしろお母さんが次男のちちになってくれたお陰で、戦争が回避できるかも。







『──何せ、「すべて滅ぼす」のですからね。ウェスタ○スもオスタ○アも、無くなってしまうわ』







 ………………………………え。


「ど、どういうこと、ですます⁉」




『「世界平和」? 笑わせんな! それは貴様ら「支配民族」のたわ言だろうが⁉ 私たちのような少数民族や先住民は、世の中がどう変わろうが、支配され虐げられるばかり。下手すると、虐殺されたり、民族浄化されたり、今回のように「実験動物」扱いされるといった始末。──だったら、せっかくこうしていくらでも、国家的権力を行使できる身体が手に入ったんだから、この男の悲願を叶えてやって、「国家統一」のために、西の民も東の民も「全滅」してしまうまで、戦わせてやろうじゃ無いの?』




「──待ってお母さん! それでは何の罪も無い子供たちが、大勢死んでしまうの! それだけはやってはいけないの!」




『……「何の罪も無い子供たち」? 何馬鹿なこと言っているの、ANI○。こいつらは自分たちのためだけに、私たち一族をあなた以外みんな滅ぼしてしまったのよ? こいつら支配民族に、大人も子供も無いわ、みんな滅ぼすべきなのよ!』




「──ッ」




『そもそもそんな愚かな考え方って、今あなたを任務のために利用している、スパイ男の受け売りなの? 「人の心を読む力」も善し悪しよね。ある意味「洗脳」されたみたいになってしまうもの』


 ………せん、のう?


『そうよ、あなたはこれまでずっと、スパイとか暗殺者とかと言った、「異常者」たちと一緒に暮らしていて、その心を読んできたから、彼らの「狂気」にすっかり洗脳されてしまっているのよ。あいつらはみんな、私たち一族の敵なの。すべて滅ぼさなければならないのッ!』


 ──くッ。




「──さあ、ア○ニャ君、私の許に来なさい。共に人の心が読めるのはもちろん、あらゆる権力を握っている私と、西のスパイや東の暗殺者組織のトップシークレットを握っている君が、手を組めば、もはや何もできないことは無い。──何せ私たちはこれからも、周りの『敵』の心を読むことができるのだ。これほど『無敵な存在』は無かろう」




 そのように、再びデズモ○ドの声音に戻って、私に誘いかけてくる、目の前の存在。




 ──そう、まさに、テレビのスパイドラマの、『ラスボス』そのままに。




 ……そうか。


 確かに目の前の人物は、次男のちちじゃ無かったかも知れない。


 少なくとも中身は、私の実の母親かも知れない。




 ──でもやはり『こいつ』は、『ラスボス』だったのだ!




「……ア○ニャは、難しいことはわからない。


 お母さんの言っていることが、正しいのかも知れない。


 ウェスタ○スのスパイも、オスタ○アの暗殺者も、あくまでもこの国の『支配民族』の利益しか考えず、少数民族のことなんて、何も考えていないかも知れない。




 ──でも、ア○ニャは信じている!




 ちちとははが、自分自身のような『可哀想な子供が、もうこれ以上生まれないように済む』世界をつくろうとしていることを!




 だから、その男の身体けんりょくを利用して、この国で再び戦争を起こそうとしている『おまえ』に、協力したりはしないッ!」




 そのように言い放つや、目の前の男は絶句した。


 ……それはまるで、激怒している権力者の顔にも、最愛の我が子に裏切られて悲しむ母親の顔にも、見えたのであった。




 ──とにもかくにもこのようにして、私とラスボスとの、『超能力者』同士の、長く激しい戦いの日々の幕が開けたのであった。







※【作者注】


 この作品はあくまでも、『SPY×F○MILY』の今後の展開を予想するものでは無く、本作の作者の『オリジナル作品』づくりのための【試行作品】に過ぎません。


 デズモ○ド氏の頭の傷について、『読心能力』を付与するためのものかも知れないと言うのは、ネットにおいて有力視されている考察であるものの、


 その他の、実はデズモ○ド氏が既に、本人とは似ても似つかない女性によって、人格を乗っ取られていることや、それが何とア○ニャちゃんの実の母親であること等は、本作の作者の『妄想』に過ぎず、こんなものが的中することは無いでしょう。

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