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第2184話、わたくし、日本の未来が『地獄』になるので、『トランス』の法的保護は絶対に阻止しますの★

「──受瓜君、薔薇園さん、結婚おめでとう!」


「前からお似合いのカップルだと思っていたんだ!」


「姉さん女房かあ、うらやましいなあ」




「──ありがとう! 課長を始めとして職場の皆さん、ありがとう!」


「うふふふふ、結婚を機会に退職する予定だけど、みんなとお別れすることだけが、やっぱり寂しいわね。長い間、本当にありがとう!」




 ──その日僕が出社したら、職場は『祝福ムード』一色になっていた。




 ちょっ、薔薇園先輩が、結婚だってえ⁉


 しかも今年の春に入社したばかりの、受瓜君(当然男性)と⁉




「──薔薇園先輩、ちょっとこっちに来てくださいッ!」


「きゃっ、何よ、分眠君⁉」


 僕は先輩の華奢な腕を掴んで、人気の無い物品倉庫へと連れ込んだ。


「……こ、こんなところに連れてきて、一体何をするつもりなの⁉」


「『何をするつもり』は、こっちのセリフですよ! 受瓜君と結婚するって、本気ですか⁉」


「ふふふ、何よ、もしかしてジェラシー? 確かに高校時代はあなたと『お付き合い』していたけど、それは昔の話じゃない?」


「何が『お付き合い』ですか⁉ あなたが一方的に、僕を『突いて』いただけでしょうが⁉」


「だったら、何も問題無いじゃない?」


「大アリですよ!」


「あら、どうして?」







「──だってあなた、『男』じゃ無いですか⁉」







 物品倉庫内に鳴り響く、僕の時ならぬ雄叫び。


 しかし次の瞬間、目の前で火花が弾け、


 ──股間に激痛が走った。


「……おごうぁッ」


 堪らずもんどり打って、その場に倒れ込めば、片膝を突き出したままの体勢の薔薇園先輩が、虫けらを見るような目で見下ろしていた。


「……相変わらずおしゃべりが過ぎるな、分眠? 高校時代のように、その口に俺様のぶっとい一物を、ぶっ込んで黙らせてやろうかあ?」


「や、やめてください、あのことがトラウマになって、もう二度とサッカーをやるどころか、テレビでプロの試合を見ることもできなくなったんですよッ⁉」


 そうなのである。


 僕と薔薇園先輩は、()()高校生時代、共にサッカー部に所属していたのだけど、そこの()()寮で『セクハラ』以外の何物でも無いしごきを受けて、僕は堪らずサッカー部どころか高校そのものを退学して、逃げ出したのであった。


 なのに、もう二度と会うことの無いはずだった、薔薇園カヲル先輩が、大学卒業後に入社した会社にいて、しかも外見は完璧に女性になっているのみならず、職場としても完全に『女性として』受け容れられていることを知って、驚愕と恐怖のどん底に陥ってしまったのだ。


 確かに高校時代から小柄で中性的だったとはいえ、誰も先輩が男性であることに気がつかないなんて、どんな化粧テクニックに女装技術なんだよ⁉




 ……とはいえ、なぜだか僕に対しては、まったく『初対面』の振りをして、全然関わってこないし、職場の男性社員にもちょっかいをかけないし、年上のエリート社員から粉かけられても相手にしないしで、人が変わったかのように大人しくなっていたから油断していたら、今年の春になって、取引先の大企業の御曹司が入社してきた途端、『本性』を現して、その美貌と『小動物そのままにいかにも庇護欲をそそられる』魔性の魅力によって、赤子の手をひねるかのように篭絡して、今回の『結婚宣言』にこぎ着けたのであった。




「……まさか先輩、相手に先輩の、『肉体的性別』を明かしていないんですか?」


「当たり前だろ、一体何のための『トランス化』と、完璧な女装テクニックだと思っているんだよ?」


「『トランス』って、先輩に『女性願望』が有ったなんて、初めて聞いたんですけど⁉」


「そんなの有るわけ無いだろ? おまえ何回俺に『突かれた』のか忘れたのかよ? 俺は男同士においても、あくまでも『攻め』だぜえ?」


「じゃあどうして、国の法律で認められた『トランス宣言』をして、女性になったんですか⁉」




「そりゃあ、あんな何の不自由も無くぬくぬくと育てられて、『男』として自信満々のお坊ちゃんを、結婚して初夜の夜に、その『後ろの童貞』を力尽くで奪って、男性の尊厳をズタズタにして、それ以降俺に『魂レベル』で従属させるのが堪らないんじゃねえか?」




 こ、こいつ、高校時代から、何も変わっちゃいねえ!


 ──て言うか、こいつの『トランス化』は、『インチキ』ってことなのか⁉




「……いいか、俺が本当は男であることを、絶対誰にも言うんじゃ無いぞ? さもないとおまえは『アウティング法』の重大なる違反を犯したってことで、重罪に処されることになるぞ?」




「なッ⁉」




「まったく、『トランスジェンダー保護法』&『アウティング法』様々だよな。別に本当は『トランス』なんかじゃ無くて、俺みたいな単に『男喰いの男』の変態野郎でも、ただ単に『あたしの心は女なの!』と宣言するだけで、法的に『女』と認められて、男と正式に結婚することができるし。しかも『アウティング法』によって、俺が本当は男であることを、おまえのような知り合いはもちろん、たとえ親兄弟であっても口外することは許されず、よって結婚相手の間抜け野郎は、正式に婚姻を結んで『初夜』を迎えるまでは、『花嫁さん』の性別を知ることができないわけだ。──がはははは! いざ事に及ぼうとして、俺の『ビッグマグナム』を目にした時、どんな顔をさらしてくれるのか、今から楽しみだぜえwww」




 ……何と言うことでしょう。


 現在の日本は『性的弱者の保護』と言う、いかにも『綺麗事』の御旗のもとで、結婚するまでは相手の本当の性別がまったくわからず、しかもそれを理由に離婚することすらも絶対に許されないと言う、




 ──紛う方なき、『この世の地獄』と化していたのだ。




   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑




メリーさん太「──おいッ、何だよ今回の【突発短編】は⁉ むちゃくちゃヤバいじゃんか!」




ちょい悪令嬢「そんなこと言っている場合じゃ有りません! わたくしとんでもないことに気づいてしまったのです!」




メリーさん太「な、何だよ、『とんでもないこと』、って?」


ちょい悪令嬢「何か最近の風潮からしたら、『LGBT』に関しては今すぐにでも、法的に完全に保護されそうな勢いじゃ無いですか?」


メリーさん太「うんまあ、『弱者保護』の観点からして、至極常識的だし、彼らの法的権利を認めること自体、他の種々の『ポリコレ関連』ヘの対策に比較すれば、問題は少ないんじゃ無いのか?」


ちょい悪令嬢「いえいえ、むしろ『問題大アリ』なのですよ!」


メリーさん太「何でだよ?」




ちょい悪令嬢「『LGBT』──特に、『トランスジェンダー』の権利を、完全に法的に認めたりしたら、それ以降国会で議論して新たな法律を作るまでも無く、『同性婚』が事実上成立してしまうのですよ!」




メリーさん太「はあ⁉ そんな馬鹿な!」




ちょい悪令嬢「別に自分のことを『女』であるとか思っていない、卑劣かつ狡猾なる『ガチホモ』がいたとして、そいつが『トランス宣言』をした場合、既に『完全なるLGBT保護法』が成立していたとしたら、彼が『女』であることは法的にも認めざるを得ず、たとえその時点で『同性婚』が正式に成立していなくても、あくまでも『男と女の結婚行為』として、別の男性との『事実上の同性婚』が認められることになるのですよ」




メリーさん太「ああっ、そうか! 現在の風潮からすれば、『トランス女』は『女』として認めざるを得ないんだから、肉体的に男であっても、男と結婚できるようになって、別に『同性婚』を法律で認めなくても、事実上『同性婚』が成立してしまいかねないのか⁉」




ちょい悪令嬢「ね、うちの作者こそ、現在の全人類において最も『真実を見抜く目』を有する、希代の大賢人であることが、ようくわかるでしょう?」


メリーさん太「……言われてみれば、まさにそうじゃん。別に成立しにくい『同性婚』なんて、国会等で喧々諤々論争を繰り広げるまでも無く、比較的問題の少ない『LGBTの完全保護』のほうを先に成立させてしまえば、あっさりと『同性婚』を成立させることが可能なんだッ⁉」


ちょい悪令嬢「しかも、それどころじゃ無いんですよ」


メリーさん太「ちょっ、まだ他に何か有るのか⁉」




ちょい悪令嬢「今回の【突発短編】で詳しく述べましたが、『LGBTの完全保護』には、当然のごとく『アウティングの完全防止』が付随してきますので、たとえ単なる『ガチホモ』が、狙った『ノンケの男性』に対して、自分のことを肉体的にも『女』と勘違いさせて、正式に結婚しようとしていたとしても、『ガチホモ』の本当の性別を知っていて、その悪行を食い止めようと善意の第三者が、『ノンケの男性』に本当のことを教えようとしても、それは『LGBTの保護』に反する『アウティング行為』と見なされ、下手したら重罪に処される可能性も有り、むしろこちらのほうが法的に許されない行為となってしまうのです」




メリーさん太「──そんな、むちゃくちゃな⁉」




ちょい悪令嬢「このままでは将来の日本は、結婚して『初夜』を迎えるまでは、相手の『肉体的性別』を知ることができず、もしも不本意な事実が発覚したとしても──つまりは、相手が自分と肉体的に『同性』であることを、初めて知ったとしても、それを理由に離婚することなぞ許されず、むしろ『LGBT保護法』違反として、重罪に処される可能性すら有ると言う、『地獄』そのものとなってしまいかねないのです!」




メリーさん太「……あのニュージ○ランドのクソ国会議員は、飛んだペテン師野郎だったわけだ。何が『感動の演説』だ! 何が『普通の人々が我々少数派の権利を認めるだけで、あなたたちはけして不幸になること無く、大勢の人々が幸福になれるのです』だ! おまえら『性的異常者』の権利なんか認めたら、むしろ一般人が被害の受け放題になるじゃ無いか⁉」




ちょい悪令嬢「それも当然のことですよ、そもそも『LGBT』なんて言う、倫理的に歪な『イレギュラー』そのものの所業を、法的に認めたりしたら、これまで平穏を保ってきた社会全体に、何らかの影響を及ぼすことがまったく無いなんて、あり得るわけが無かったのです! 今からでも遅くはありません! 『LGBT』に対する保護行為なんて愚かなことは、完全に何の罪も無い大多数の『常識ある人々』の総意として、現在の段階で完全に潰してしまうべきなのです!」

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