第2158話、わたくし、今期夏アニメ、いよいよ本番突入ですの☆(その18)
ちょい悪令嬢「──さて、今年もいよいよお盆の時節となりまして、今期夏アニメも折り返し地点に至ろうとしていますが、今回は本作の作者がここ最近特に推している、『うた○ル』こと『うたごえはミルフ○ーユ』の最新話について、全力で語りますよ!」
メリーさん太「……うん、今回は『ポジティブ』な方向なようで、一安心だな」
ちょい悪令嬢「何ですかメリーさん、まるでこの座談会が、最近『ネガティブ』だったみたいでは無いですか?」
メリーさん太「──前回の話だよ! もうあんな特定の作品を名指しで『アンチ』まがいな批判ばかりするのは、やめておけって言っているんだよ⁉」
ちょい悪令嬢「大丈夫ですよ、『うた○ル』は主人公は『ネガティブ』ですが、作品自体は非常に『ポジティブ』ですから!」
メリーさん太「ほう?」
ちょい悪令嬢「そもそも『うた○ル』は、『アカペラ』と『女子高生』と『コンプレックス』をテーマにした作品であって、とある高校の女子アカペラ部の部員の女の子たちの、それぞれのコンプレックスを解決し友情を深めつつ、アカペラの腕前を磨いていくと言った、『リアル青春アニメ』となっております」
メリーさん太「……『コンプレックス』をテーマにしているんなら、それだけで『ネガティブ』になるんじゃ無いのか?」
ちょい悪令嬢「いえいえ、『アカペラ』はすべてを解決するのです!」
メリーさん太「はあ?」
ちょい悪令嬢「今回の最新第4話は、大感動のエピソードでした! 女の子でありながら地声が異常に低く、それがコンプレックスになって、クラスメイトともほとんどしゃべらず、完全に孤立していた生徒が、主人公に誘われて見学したアカペラ部で、一言挨拶をした途端『……どんな反応が返ってくるのだろう?』と身構えていたところ、びっくりしたりあざ笑ったりされるどころか、部長を始めとして全部員が、『何て素晴らしい声なの⁉』、『是非我が部に入ってくれ!』と、目の色を変えて勧誘してきたのです!」
メリーさん太「──なッ⁉」
ちょい悪令嬢「これまで自分の声に対しては、誰もが『ネガティブ』な反応しかしなかったと言うのに、こんなに『ポジティブ』な反応をされて、しかも自分自身まで『求められる』なんて、この子──熊○弥子ちゃんは堪らず号泣して、見ていた私たち視聴者も全員、もらい泣きしてしまいましたわ!」
メリーさん太「それってまさしく、『涙なしには語れない』ってやつだな」
ちょい悪令嬢「例えるなら、とある異世界で、猫の耳を持って生まれた少女が、周りから差別されて孤独に暮らしていたところに、ケモナーの日本人が異世界転生してきて、『何て可愛いネコミミ少女なんだ! 是非僕と仲良くしてくれ!』と言って、救いの手を差し伸べるようなものですよね!」
メリーさん太「……いや、それはちょっと、違うんじゃないのか?」
ちょい悪令嬢「そんなことはありませんよ! これは結局『価値観の違い』によって、自分の欠点すらも長所に変え得ることを訴えているのであり、それが『歌声』であろうが『ネコミミ』であろうが、変わりはしないのです!」
メリーさん太「へ?」
ちょい悪令嬢「今回のエピソードを見た一部の逆張り野郎は、『……たまたま舞台がアカペラ部だから、「変な声」が武器になっただけで、すべての短所が長所になるわけじゃ無いだろうが?』とか言い出すかも知れませんが、あくまでもすべては本人の『意思次第』なのです! 現在悩んでいることがどのようなものであっても、それを『ネガティブ』に捉えていては何も始まらず、自分自身で『ポジティブ』に切り換えることができてこそ、すべての道が拓かれるのです! もちろんそれは『歌の才能』に限りません。どんなジャンルでもいいから、自分が夢中になれるものさえ見つけることができれば、今現在『短所』と思っていることでも、いつしか『長所』と思える時が来るのです!」
メリーさん太「──‼」
ちょい悪令嬢「まあ有り体に言ってしまえば、すべては本人の『気の持ちよう』ってことですけどね」
メリーさん太「……でもよう、そんな簡単な話で済むのなら、誰も苦労しないんじゃないのか?」
ちょい悪令嬢「もちろん、そこはちゃんと、上手くできているのです!」
メリーさん太「へ?」
ちょい悪令嬢「こういう時こそ、『主人公』が活躍しなくて、どうするんですか!」
メリーさん太「あ」
ちょい悪令嬢「自分自身も『コミュ障』である主人公の小牧○歌ちゃんは、最初は熊○ちゃんの気持ちを理解できると自惚れていましたが、つい『アカペラ部員の視点』で、『別に卑屈になる必要は無いよ、熊○ちゃんの声はむしろカッコいいよ!』と言った時に、『……だったら、私と声と交換してくれる?』と返されてしまい、何も言うことができず、『それ見たことか』と失望して去って行く熊○ちゃんのことを、ただ見送るしか無かったのです」
メリーさん太「……あー、それはキツいなあ。もちろん、両方にとってな」
ちょい悪令嬢「しかし○歌ちゃんはけして諦めず、熊○ちゃんをアカペラ部に入れるために何度も何度もアプローチするものの、そのたびに拒絶されて落ち込んでいたところ、部長さんから、『たとえ相手に拒まれても、弱気になっちゃ駄目! ○歌ちゃんが本気でその子の「声がカッコいい」と思ったのなら、それについて謝る必要は無いし、一緒にアカペラをしたいんだったら、諦めずにチャレンジしなくちゃ!』と、発破をかけられることで、自分の『ネガティブ』な感情を消し去り、あくまでも『ポジティブ』に熊○ちゃんに迫っていって、ついに彼女の頑なな心を解きほぐすことができたのです!」
メリーさん太「ええっ、『声にコンプレックス』が有る子を、どうやって『アカペラ部』に入れることができたんだよ⁉」
ちょい悪令嬢「まずは『お友だちから始めましょう』と、たらし込んだんですよ♡」
メリーさん太「──『ねる○ん』かよ⁉」
ちょい悪令嬢「でも結果的にこれが功を奏したのです! 実際に付き合ってみると、『コミュ障』同士話が弾んで、熊○ちゃんがどんなふうに自分の『声』に悩んでいるか、詳しく聞き出しつつ、○歌ちゃんのほうも、アカペラ部に入って先輩や同級生たちから受け容れられることで初めて、自分の確固とした『居場所』ができて、しかも『歌の才能』を認められることで、『自己肯定感』を初めて手に入れられたのを伝えることによって、熊○ちゃんにアカペラ部への興味を覚えさせることに成功したのです!」
メリーさん太「ああ、それから冒頭の『見学シーン』に繋がるわけか? 主人公とは仲良くなったから、付き合いで行ってはみるものの、どうせアカペラ部でも奇異な表情をされるだけと思っていたところ、全員からガチで受け容れられるなんて、想像もしていなかっただろうな」
ちょい悪令嬢「たった今ネットの感想スレを確認したところ、あの手遅れなまでに心がひねくれている『5ち○んねる民』たちが、『涙、涙の、大感動』の有り様でしたよ♫」
メリーさん太「……まあ、あいつらも『コンプレックス』の塊のようなものだからな。文字通り『身につまされる』って感じじゃ無いのか?」
ちょい悪令嬢「やっぱり誰だって、自分のことを認めてもらいたがっているんですよねえ」
メリーさん太「でも凄いよなあ、こんな当たり前のことを当たり前にアニメにして、ちゃんと視聴者に好意的に受け容れられるなんて」
ちょい悪令嬢「この座談会でも何度も申しておりますけど、基本的にこの作品は『日常的な会話劇』としても、十分面白いですからね。その上で『シリアス』なテーマを扱っても、それ程重い感じにはならないんですよ」
メリーさん太「やはりアニメにおいては、『面白さ』こそがすべてってことか?」
ちょい悪令嬢「最近の、『女の子が集まればギスギスする』と言った、ワンパターンな作品に、いい加減視聴者の皆様が飽き飽きしているのかも☆」
メリーさん太「──だから、特定の作品を狙い撃ちにしたような、『悪口モドキの批評』はやめろよ⁉」