第2013話、わたくし、『ダン○ち』の最新刊を読んで、己の人生を猛省しておりますの☆【前編】
ちょい悪令嬢「……一昨日、ようやく今月新発売の、『ダン○ち』こと『ダンジ○ンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の、原作ラノベ版第20巻を手に入れたのですが、その日の夜から次の日の明け方までかけて読破して、
──心底、後悔いたしました★」
メリーさん太「──いきなり、どうした⁉」
ちょい悪令嬢「……いえね、あまりにも書かれている内容と言うか【テーマ】が、本作の作者の心に、ジャストミートに刺さってしまったのですよ」
メリーさん太「え、そんなに凄い内容だったの?」
ちょい悪令嬢「ええ、原作者の大○藤ノ先生のことを、完全に甘く見ておりましたわ。てっきり作品の最大の山場は【フレ○ヤ様との恋愛問題】であり、バトルシーンの最高潮は【対オ○タル戦】とばかり思っておりましたが、何とあんなもの、【人間ドラマ】的にも【戦闘描写】的にも、『お遊び』でしか無かったのです」
メリーさん太「はあ? 本作の作者があれ程楽しみにしていた、フレ○ヤ様=シ○ちゃんとベ○君の『恋の決着』や、『オラ○オ最強』のオ○タルさんとのバトルが、『お遊び』だったなんて、そんな馬鹿な⁉」
ちょい悪令嬢「……実はですね、そもそも『ダン○ち』の物語世界って、『それどころでは無かった』のですよ」
メリーさん太「と、言うと?」
ちょい悪令嬢「本作の作者自身勘違いしていたのですが、『ダン○ち』の世界の『脅威』はダンジョンの中にあって、未踏破の最深部で待ち構えている超強大なラスボスを倒して、そこに存在している『想像を絶する宝物』とか『未知の知識や技術』を獲得することで、地上の世界が飛躍的に潤ったり進歩したりして、ハッピーエンドを迎えるものと思っていたのです」
メリーさん太「……タイトルに『ダンジョン』と有るくらいだから、その見解で構わないと思うけど、違っていたのか?」
ちょい悪令嬢「今回の20巻の舞台でもあるのですが、地上の北方の領域に、『三大冒険者依頼』の討伐対象である『隻○の黒竜』が封印されていて、そこから希に眷属の竜種が湧き出てきて、それがたとえ一匹であろうとも地上に莫大な被害をもたらしかねず、実は世界中から力の有る冒険者たちが集まってきているオラ○オ以外の土地は、たった一匹の竜種の襲撃だけであっさりと壊滅しており、すべての人類は常に絶望的状況の中で日々の暮らしを送っていることが判明するのです!」
メリーさん太「ええっ、モンスターってのは、ダンジョンから湧いて出るもので、英雄の都『オラ○オ』は、その『蓋』の役割を演じていて、他の土地の平和を守っていたんじゃ無かったのかよ⁉」
ちょい悪令嬢「最近読んだスピンアウトの『アルゴノ○ト』によると、そもそもの事の起こりは大体そんな感じでしたけど、考えてみれば本作の作者は、基本的にアニメ版しか見ていないし、特にこの辺の事情は、【外伝】ながらも【本編】と勝るとも劣らない長期シリーズである、『ソード・オラト○ア』のほうで詳しく書かれているそうです」
メリーさん太「……あー、やっぱ『ソード・オラト○ア』は、読んでおいたほうがいいかもな」
ちょい悪令嬢「まあ考えてみれば、昔はダンジョン──すなわち、『モンスターを生み出す穴蔵』が、当時の人類ではまったく対応できず、長期にわたって放置されていたんだから、オラ○オのようなダンジョン付近の土地だけでは無く、一時は世界中にモンスターの生息域が分布し、地上において繁殖をしていてもおかしくは無く、いくら現在のようにモンスター狩りを生業とする冒険者たちが討伐を繰り返そうが、完全に根絶やしにすることなぞできず、冒険者の数が足りない地域では、今もなおモンスターたちに人間の生息域を奪われる悲劇も後を絶たないと言う、悲惨極まる絶望的状況であってもおかしくは無いでしょう」
メリーさん太「……そう言われてみれば、ベ○君を主観にした【本編】て、確かにダンジョンの深層部に迷い込んだエピソードでは、絶望的な生存闘争を演じて、この作品が生半可な冒険ラノベでは無いことを思い知らされたけど、それ以外の地上における、同じ冒険者同士の『戦○遊戯』なんて、基本的に敵味方共に『人死に』を御法度にした、文字通り『遊戯』に過ぎず、オラ○オ以外の地域の実情と比べれば、かなり『生ぬるかった』んだな」
ちょい悪令嬢「しかも、あえて日常シーンでは『コメディタッチ』を多用していることも、読者様や視聴者様の認識の齟齬を促すことになったのでしょう」
メリーさん太「……つまり、『ダン○ち』作品世界の、主に『シリアス面』を担っていたのが、外伝の『ソード・オラト○ア』であるわけか?」
ちょい悪令嬢「公式サイトの紹介文や、その他のネット上の各種情報を吟味したところ、大体そんな感じですね」
メリーさん太「何で同じ世界観で、登場人物も重複していると言うのに、そんなに『違い』が有るんだよ?」
ちょい悪令嬢「何と言っても、『ソード・オラト○ア』のほうが、オラ○オ最強派閥の『ロ○・ファミリア』を、メインに据えているからではありませんか?」
メリーさん太「いや、『オラ○オ最強派閥』と言えば、【本編】のほうでメインを張ったばかりの、『フレ○ヤ・ファミリア』だって同じだろうが?」
ちょい悪令嬢「ああ、そっちはそもそも、『ファミリア』としての体をなしていないから、論外なのですよ」
メリーさん太「へ?」
ちょい悪令嬢「確かに人の『魂の色』を見ることのできるフレ○ヤ様が、『これは』と思った『子供たち』を集めてきたものだから、超一級冒険者ばかりになっていますが、その分彼らはあくまでも個人レベルで、フレ○ヤ様への『忠誠心』と『思慕』に熱いだけで、むしろ女神の寵愛を競い合う『ライバル』関係にあって、ファミリアとしてのまとまりなぞ望めず、ダンジョンに潜るのも、手強いモンスターの討伐を成し遂げたり、何か価値の有るものを獲得したりすることで、フレ○ヤ様から『覚えめでたく』なるのを目的としていて、ギルドが望んでいるように、すべての眷属が一致団結してダンジョン探索を進めることなんて、端から度外視しているのですよ」
メリーさん太「──駄目じゃん⁉」
ちょい悪令嬢「それに対して『ロ○・ファミリア』のほうは、ちゃんと『オラ○オ最強派閥』の責任を全うすべく、ダンジョンの未踏破階層のみならず、オラ○オ以外の各地域への『遠征』等にも精を出しており、その過酷なチャレンジの連続により、どうしてもシリアスな内容にならざるを得ないのでしょう」
メリーさん太「……はあ〜、【本編】を見ている限りは、とにかく主人公のベ○君が、何かと試練を与えられながらもむちゃくちゃハイスピードで、『英雄』としての階段を駆け上がっていく、世間に良く有る『ヒーロー物語』だと、すっかり思い込まされていたぜ」
ちょい悪令嬢「実はその、尋常ならざる『成長過程』すらも、作品世界の要求するものだったのですよ」
メリーさん太「……何だと?」
ちょい悪令嬢「今回の最新刊によって【本編】においても明らかにされたように、現在世界はガチで危機的状況にあり、何よりも『新たなる英雄の誕生』が望まれており、実は各事情により『生まれながらの英雄候補』であったベ○君は、とにかく一刻も早く『英雄』として成長を遂げなければならず、これまで【本編】で描かれてきたように、様々な過酷な試練を与えられると同時に、大勢の神様や同じく『英雄候補』の冒険者たちが、救いの手を差し伸べてきたのですよ」
メリーさん太「──‼」
ちょい悪令嬢「──そして、まさにこれこそが『ダン○ち』の最大のテーマであり、今回本作の作者を絶望のどん底に叩き落とすことになったのです☆」
メリーさん太「……………………は?」
(※次回に続きます)