第2008話、わたくし(悪役令嬢)以外、全員『異世界転生者』ですの⁉【解説編】
メリーさん太「……一体何だったんだ、前回の【突発短編】て?」
ちょい悪令嬢「面白いラノベ作品を見つけたので、それに触発されて、実験的に【試作版】を作成してみたのですよ」
メリーさん太「『面白いラノベ』って、どんなのだ?」
ちょい悪令嬢「一種の『ループもの』なのですが、ある一定の時間を繰り返しているのが主観を担う主人公では無く、ほとんど内面描写の無いヒロインのほうなので、読者にはこれまでの『周回』において何が起こったのか、基本的に明かされないままに物語が進んでいくのです」
メリーさん太「………………………ええと、それって何て言う『ま○マギ』?」
ちょい悪令嬢「あっ、そう言われてみれば、確かにそうですわね⁉ けしてそのラノベの原作者様の、オリジナルのアイディアではございませんでしたわ⁉」
メリーさん太「──駄目じゃん⁉」
ちょい悪令嬢「いえいえ! そんなことはありませんぞ⁉ ちゃんとその作品ならではの、独特なポイントも少なく無いのですからッ!」
メリーさん太「と、言うと?」
ちょい悪令嬢「まず、実は『ループ』を認識しているのはヒロインだけでは無く、物語にとって重要な役割を果たしているキャラのほとんどは自覚できていて、むしろ自他共に認めるメインキャラである主人公のほうが、『異常な立ち位置』にあるとも言えるのです」
メリーさん太「えっ、何で? 物語上最も重要なキャラクターって、どう考えても『主人公』だろう? それが何でループの記憶が無いんだ?」
ちょい悪令嬢「それこそが二つ目のポイントであり、ヒロインにとっての『イレギュラー』そのものなのですが、実は主人公の少年は、これまでの物語に一切登場しておらず、当然ヒロインとの絡みも皆無だったのですよ」
メリーさん太「あ、そう言うことか⁉ この場合ループをしているヒロインである、『暁美ほ○ら』ちゃんにとっての物語世界が、『鹿目ま○か』ちゃんが主人公の『ま○マギ』では無く、これまで一度も絡んでこなかった魔法少女である、『環い○は』ちゃんを主人公にした『マギ○コ』に変わったようなものなんだ⁉」
ちょい悪令嬢「そうです、『マギ○コ』において『イレギュラー』なのは、ほ○らちゃん自身では無く、文字通り【外伝】キャラである、い○はちゃんのほうになるのですよ」
メリーさん太「そういやほ○らちゃんも、『これまでに無い展開』となった『マギ○コ』ワールドには、密かに期待を寄せていたよな?」
ちょい悪令嬢「まあ結局、儚い希望に過ぎませんでしたけどね」
メリーさん太「……それで、今回読んだラノベのほうは、どうなるんだ? イレギュラーな主人公の登場のお陰で、今度こそヒロインが絶望的な不幸を回避できるわけか?」
ちょい悪令嬢「残念ながら、最後まで読んでないので、わかりませんの」
メリーさん太「──何で読まないんだよ⁉」
ちょい悪令嬢「ループの事実や、これまでの周回においてヒロインに何が起こったかについて、ほとんど言及しないのは、クライマックスに来ての『大どんでん返し』に使おうとしているのはわかるけど、その結果、延々とリア充カップルがイチャイチャしているだけと言う、その辺の『十把一絡げ』のラブコメでしか無くなり、継続して読んでいく気力が尽きたのですよ」
メリーさん太「……うわあ、うちの作者の『リア充』に対する反感と偏見て、自分の好きなジャンルの作品でも変わらないのかよ⁉」
ちょい悪令嬢「──自分の作者を、さも『ひがみ根性の陰キャ』みたいに言うのは、やめてください!」
メリーさん太「まあ確かに、『ループもの』の面白さを期待して読んでいて、いつまでもその核心に触れないんじゃ、読む気も失せるだろうよ」
ちょい悪令嬢「『ま○マギ』においては、『ループ』や『時間操作』であることを具体的に示さずとも、ほ○らちゃんが何らかの『強大な力』を秘めていることを、ちゃんと匂わせていましたしね」
メリーさん太「それは『ひぐ○しのなく頃に』とかも同様で、むしろそんな『世界の秘密』こそが、常に作品世界全体に、えも言われぬ影響を及ぼしていたよな」
ちょい悪令嬢「──そこで、本作において【突発短編】と言う形で、『主人公以外のキャラが密かにループを繰り返している』作品の、真に理想的な【試作版】を創ってみたわけです!」
メリーさん太「──だからって、主人公以外の『すべてのキャラ』が、『異世界転生』している作品を創ったりするんじゃないよ⁉」
ちょい悪令嬢「やるなら、徹底的にやらなくちゃね☆」
メリーさん太「……ま、まあ、他の作家さんのアイディアを丸ごとパクるんでは無く、独特なポイントを加えること自体は、間違っていないがな」
ちょい悪令嬢「そもそも『なろう系の悪役令嬢』作品にも二通り有って、『悪役令嬢』自身に転生するパターンと、彼女から王子様を寝取る平民上がりの『主人公』を始めとする、身近なキャラに転生するパターンのどちらかですが、後者の場合なぜだか『悪役令嬢♡大好き』なキャラになるのがお約束なんですよねw」
メリーさん太「とすると、【突発短編】で実際に描写されたように、悪役令嬢がいかにも悪役令嬢らしく、傍若無人に振る舞うほどに、周りのやつらは拍手喝采するわけか? 何か、むちゃくちゃ歪んでいるな⁉」
ちょい悪令嬢「もちろん、そんな上っ面な『シニカルギャグ』テイストだけでは無く、自分を『現代日本からの転生者』だと思い込んでいるキャラたちにとっては、自分が今いるのは『つくりものの乙女ゲーム』の世界に過ぎませんが、悪役令嬢のように生粋の異世界人にとっては、れっきとした唯一絶対の『現実世界』であると言う、けして埋めることのできない『認識の断裂』が有るわけなのですよ」
メリーさん太「……つまり、『転生者』にとっては、悪役令嬢が破滅しようが、その結果世界そのものに何らかの混乱が生じようが、別に構わないってことか?」
ちょい悪令嬢「たとえ『転生者』といえども、現在存在している世界にとっては、『部外者』なんかでは無く、すべての登場人物が『一蓮托生』の関係に有ると言うのに、『なろう系』の登場人物と言うか作家の皆様におかれましては、そこのところがイマイチご理解いただけていないんですよねえ……」
メリーさん太「しかしあんたの言うように、今回は【実験的な試作版】であるのはわかるが、同時に【本編】に準じた形になっているのは、なぜなんだ? 久し振りにあんたの専属メイドの、メイ=アカシャ=ドーマン嬢なんかが登場しているし」
ちょい悪令嬢「それはもちろん、今あなたがおっしゃったように、【実験の一環】だからですよ」
メリーさん太「はあ?」
ちょい悪令嬢「『現代日本』側の作者──いわゆる、『外なる神』である上無祐記氏は、私に己の『前世』を取り戻させて、それを起爆剤にしてこの世界に大変動を生じさせることで、自分の最愛の恋人を甦らせようとしているのですからね。私以外のキャラすべてに、【前世】の記憶が有るように設定した世界を生み出すのも、十分に有り得る話でしょう」
メリーさん太「あいつ、そんなことを企んでいたのか⁉」
ちょい悪令嬢「何を今更、本作のかなり初期段階において、私以外の周囲のキャラたちが、『邪悪なる精神体』に乗っ取られて、私を絶望的なまでに追いつめると言うエピソードが有ったじゃ無いですか?、今から思えば、アレも同じようなパターンなのですよ」
メリーさん太「ああ、アレってそんな意味が含まれていたのか⁉」
ちょい悪令嬢「──と言うわけですので、これからもこのような【実験的作品】を投下することによって、徐々にではありますが【本編】のほうも進めていこうかと思いますので、読者の皆様におかれましても、変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願いいたします☆」