第2005話、わたくし、来年の『シン・プリキ○ア』は、歌って踊って戦える『アイドロイド』のプリキ○アの物語だと予想しますの☆
「──危ない、キ○アドール!」
コンサートのリハーサル中のステージで歌い踊っていたまさにその時、急に落下してくる頭上のスポットライト。
あまりにも突然のことで足がすくんで立ちつくしていると、先ほどの怒声とともに、すぐ真横にいた『彼女』が勢いよくぶつかってきて、お陰で間一髪で難を逃れることができたものの、
「──いやああああああああッ! キ○アマリオン⁉」
そうなると当然、『彼女』──キ○アマリオンのほうが、ただで済むはずが無いわけで、
大型の照明器具の直撃を受け横たわっている彼女の華奢な肢体の、すぐ側には、
二の腕からちぎられた、彼女の右腕が転がっていた。
「──なッ⁉」
あまりの惨状に、言葉を失っていると、
何と、その時、
まさにその、腕がちぎれると言う、この上なき重症を負っている当の本人が、むくりと立ち上がったのであった。
……………………え?
「──ふう〜、危ないところだった。キ○アドールのほうは、お怪我は有りませんか?」
そう言いながら、傍らに落ちていた、自分の右腕を拾い上げる、どこからどう見ても超重症患者。
「──いやいやいや、『お怪我が有る』のはむしろ、あなたのほうでしょう⁉ 何で腕が取れているのに、平然としているのよ⁉」
当然のごとく、食ってかかるようにして迫りゆくと、
さも何でも無いように、自分の右腕の『断面』をこちらへと向ける、最近親友になったばかりの少女。
「──そ、それって⁉」
断面から覗いているのは、いまだうねうねとうごめいている細かいチューブや金属骨格等であり、てっきりどす黒い血液と思われていたのは、機械油の類いであったのだ。
「……あなたは一体? 私と同様に、アイドルになることを目指していた、『プリキ○ア』じゃ無かったの?」
「その認識で合っています。──ただし、私はあなたのような『正統なプリキ○ア』とは違って、『つくられたプリキ○ア』なのです」
「『つくられた』、って………」
「私は元々某国が、プリキ○アを『兵器』として活用することに目をつけて開発した、歴代のプリキ○アとほぼ同じ性能を有する、『アンドロイド』なのです」
「──『アンドロイド』って、あなた、ロボットみたいなものなの⁉ そんな! 外見はもちろん、感情も豊かだし、言動も自然だし、どこからどう見ても普通の人間じゃ無い⁉」
「それだけ、ボディの駆動系メカニズムや、言語中枢等を司るAIが、『つくりもの』を人間同様に見せかけることができるほど、発達しているってことですよ。──それにほら、この腕が何よりの証拠じゃ無いですか?」
そう言って、己の『残骸』をこちらへと見せつけてくる、自称『アンドロイド』。
「……それじゃ、本当に? でも、『兵器』として開発されたあなたが、どうして『アイドル』なんて、やっているの?」
「もちろん私には、あなた方『生身のプリキ○ア』と同等の、戦闘能力を始めとする数々の特殊技術が詰め込まれております。それに加えて先ほども申しましたように、日常生活においては、完璧に人間並みの言動を可能としています。──そしてだからこそ、兵器として『落第点』を押されてしまったのですよ!」
「ど、どうしてよ?」
「プリキ○アならではの、ド派手な『格闘戦』を行ったり、『大砲』等の強大な威力を誇る武器をぶっ放したりしたら、人工知能を始めとする精密機械に深刻なダメージを受けて、最悪活動停止しかねないことが判明したのです」
「──駄目じゃん⁉ そんなこと、最初から予想できなかったのか⁉」
「その結果、『機密保持』の意味合いも有って、私たち通称『ロボキ○ア』は、全機体廃棄の決定が下されたのです」
「そ、そんな⁉ いくら機械とはいえ、そんなに人間そっくりの思考形態を持っている存在を、廃棄してしまうなんて⁉」
「──でも、そんな私たちを救ったのが、2025年から放映を開始した、あなた方『キミとアイドルプリキ○ア♪』の皆様だったのですよ!」
「……へ? 私たちが、あなたたち『ロボキ○ア』を救ったって?」
「あなた方は、プリキ○アとしての人智を超えた身体能力や超常の力を、アイドル活動に役立てていき、これまでに無いライブコンサートを実現して、人々を魅了していきました。──でもそれって、基本的に『プリキ○ア』と同じ性能を誇る、我々『ロボキ○ア』も、十分可能ってことですよね?」
「──ッ」
「何せ、それなりに派手な演出とアクションが有るとはいえ、アイドルのコンサートくらいでは、我々『ロボキ○ア』に内蔵されている各種精密機器が揺らぐことなぞ無く、『延命措置』としては、打ってつけの舞台だったのです」
「……それで、日本政府直々に、あなたたちを我々『アイドルプリキ○ア』──略して、『アイ○リ』のメンバーに押し込んだと言うわけ? ──つまり、『ロボキ○ア』を兵器として開発していたのは、日本の『防○省だ』ったりして?」
「そこらへんについては、『ノーコメント』と言うことで」
「ま、まあ確かに、歌唱力やダンスセンスに、人間を超越した身体能力はもちろん、我々生身のプリキ○アとの親和性も抜群だし、非常に理に適った活用法だと思うよ?」
「我々『ロボキ○ア』改め『アイドル特化型アンドロイド』──名付けて『アイドロイド』は、『プリキ○ア』を模して創られておりますので、性能が同レベルなのは当然であり、息もぴったりと合わすことくらい朝飯前なのです」
「な、なるほど、機械であり、しかもプリキ○ア同等の基本能力を有しているのなら、相性もいいのも当然よね」
「──て言うか、場合によっては本家『プリキ○ア』との戦闘も有り得ると言うことで、あなた方の行動パターンは、すべて入力済みだったりします」
「うおいッ⁉」
「でもそのお陰で、あなたたち本物のプリキ○アに、私たち『つくりもの』のプリキ○アが、快く受け容れてもらえて、大変嬉しく思っています。何せ『血も涙も無い』兵器として生み出されて、『失敗作』とわかった途端廃棄されそうになったと言うのに、そんな私たちを『仲間』として受け容れていただけるなんて、心から感謝しております」
「──‼」
「………あ、すみません、『機械』ごときが、生身の皆様のことを『仲間』だなんて申して、気を悪くなさいましたか?」
「──そんなことは無いよ! 私たちも嬉しいよ! それにさっきは、あなたが『機械』であったからこそ、私は助かったんだし、何よりも、自分の身を顧みないあなたの行動は、『プリキ○ア』としても尊敬に値するよ!」
「……と、言うことは?」
「うん、あなたたち『アンドロイド』も、私たち『アイ○リ』とまったく同等の『仲間』さ! 私たちは双方合わせて、『アイドロイド・プリキュア』なんだ!」
「『アイドロイド・プリキ○ア』、ですか?」
「そう! 同じアイドルのてっぺんを目指すと言う点においては、生身も機械も無いわ! 私たちは同じ『プリキ○ア』同士、これからも力を合わせて頑張っていこう!」
「──ええ! 及ばずながら、力にならせていただきます!」
そう言って、固い握手を交わす、生身と機械仕掛けの『プリキ○ア』同士。
そう、まさにこれぞ、『プリキ○ア』の歴史に、また新たなる1ページが加わった瞬間であったのだ!
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メリーさん太「……何だ、これ?」
ちょい悪令嬢「す、すみません、現在本作の作者は、風邪をひいたためにグロッキー状態にあって、自分自身何を書いているかわからなかったりして★」
メリーさん太「──おいおい、大丈夫なのか⁉ このエピソードの公開時は、作者の父親が『転院』するので、それに付き添わなければならないんだろうが⁉」
ちょい悪令嬢「これを作成中の現段階では、その『前日』となっておりますので、一日十分に休養を取ろうかと思っております」
メリーさん太「『休養』って、小説を書いているじゃ無いか⁉」
ちょい悪令嬢「(無視)今回の【突発短編】について、ざっくりとご説明いたしますと、何でも来年度の『プリキ○ア』が、『アイドル』をテーマにしているとお聞きしましたけど、それだとあまり面白みが無いので、『ロボットのプリキ○ア』設定を勝手にぶっ込んで、『アイドロイド・プリキ○ア!』と言うネタを思いついたので、それを【ショートショート】でまとめてみました……………………ゴホッゴホッゴホッ!」
メリーさん太「──そんな解説どうでもいいから、早く寝ろ!」