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1987/2227

第1987話、わたくし、人間の結婚や不倫願望は、『性欲』よりも『生存本能』の為せる業だと思いますの☆【後編】

「──そう言った意味では、すべての夫婦を子育てから『解放』した、新政府シン・ニッポンの方針は正しかったよな。男女共に夫婦の絆の大切さを、改めて骨身に染みて実感し、常にお互いがお互いを必要としているので、『浮気』なんかする気も起こさず、単独ひとりでは到底乗り越えられないどんな難問に対しても、夫婦が力を合わせて解決していくことができるからな」




「……そうして、誰もが強制的に結婚させられて、浮気する男すらもいなくなってしまえば、当然旦那と死別してしまう以外に、『シンママ』なんて存在し得なくなるってわけか」


「一度でも結婚の経験のある男女は、相手と死別した場合も人権を剥奪されること無く、政府から再婚するために様々な便宜を図られるから、やはり『シンママ』や『男やもめ』などと言った旧時代の産物は、原則的に存在し得ないしな」




「……そうか、男の浮気性やシンママの多情性って、『性欲』なんかでは無く、人間が真に生き延びていくための『通常形態』である、『夫婦になりたい』と言う、『生存本能』によるものだったんだ」




「つまり、人間にとって『親兄弟』なんて、それ程重要なものでは無く、むしろ『何の役にも立たない足枷』でしか無かったわけだ。特に『親子』に関しては、『子育て』にしろ『高齢者介護』にしろ、あまりにも負担が重く、国家のための十分なる『労働力確保』と言う意味では、非常に由々しき問題であり、現在のように、基本的に役に立たない『社会不適合者』である、同性愛者にすべての『子育て』を、引きこもりやニートにすべての『高齢者介護』を任せて、健全な働き盛りの男女に存分に働いてもらう体制システムを実現した新政府は、真に理想的な支配者と言えるんじゃ無いかな?」




   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑




メリーさん太「……おいおい、これって一体、何なんだよ?」


ちょい悪令嬢「『何』って、ご覧になった通りですけど?」




メリーさん太「──いや、それがわからないから、聞いているんですけど⁉ 何この『ディストピア』? なんか『夫婦こそが至高!』とか言う変な宗教が支配していて、何と『子供すらも不純物!』とか言い出して、すべての親から取り上げて、政府の施設で養育していて、しかもその担い手が、人権を著しく制限された同性愛者って。おいおいおいおい、各方面から、痛烈なるクレームを食らってしまうぞ⁉」




ちょい悪令嬢「──だって仕方ないじゃないですか、気づいてしまったのだから」


メリーさん太「『気づいた』って、何にだよ?」


ちょい悪令嬢「新たなる、『この世の真理』にですよ」


メリーさん太「はあ?」







ちょい悪令嬢「男性の不倫や、シンママの多情性は、子孫を一人でも多く残したいと言った『性欲』なんかでは無く、己自身の存在を存続させようとする、『生存本能』の為せる業だと言うことを!」







メリーさん太「──はあああああああああああ⁉ 何ソレ⁉」







ちょい悪令嬢「結局のところ、どんな天才であろうが、努力家であろうが、人間と言うものは男女を問わず、『一人』である限りは『半端物』に過ぎず、男女が一緒になって『夫婦』になって初めて、『一人前』になれるのです!」




メリーさん太「──まあた、そのトンデモ話かよ⁉」




ちょい悪令嬢「いや、これって単純な計算問題じゃありませんか? 一人より二人のほうが、力も知恵もやれることも、『二倍』になるのだから」




メリーさん太「う、うん、それはまあ、確かにな」




ちょい悪令嬢「これは本作の作者の経験上、自信を持って言えるのですが、『要介護5』と言う最難易度レベルの父親の介護を在宅で行っていて、自分一人だけではまったく手が足りず、そもそもどうしても必要なものが有って買い物に行きたくても、少しでも目を離すと(今回の緊急入院のように)、父親の命に関わる問題が起こるかも知れませんので、けして一人で残すわけにはいきませんけど、もしも『夫婦』だったら、一人が父親の側にいて、もう一人が買い物に行くと言ったことが、極当たり前のようにして可能となるのです」




メリーさん太「そりゃまあ、そうだろうな」




ちょい悪令嬢「このように一事が万事、基本的に複数であり、『運命共同体』である故に、お互いにガチで助け合える『夫婦』であれば、どんな難局もどうにかして乗り越えることができますが、これが単身者の場合、下手すると自分自身や身の回りの誰かを、命の危機に晒すことすら、けして有り得ないとは言えないのです」




メリーさん太「……今回の作者のケースが、まさにそれだったしな」




ちょい悪令嬢「ですので、人間と言うものはその『生存本能』ゆえに、親の保護を離れる年齢になれば、自然と『夫婦』になることを欲するようになり、もしもいったん夫婦になった後で、それを持続するのが非常に難しくなった場合、新たに『夫婦同様の状況』を構築しようと無意識に行動を開始して、『不倫』や『多情的行為』を行うようになるのです」




メリーさん太「ええー、それって単に男の不倫行為に、『大義名分』を与えてやっているだけじゃ無いのか? それにその原因が、母親が子供にばっかりかまけていて、父親が危機感を覚えてしまったからとか、『エディプスコンプレックス』の逆パターンかよ⁉」




ちょい悪令嬢「実はここら辺に関しては、発想が逆なんですけどね」


メリーさん太「な、何だよ、『発想が逆』って」


ちょい悪令嬢「そもそも今回のネタは、以前にも当【座談会】でご披露した、『すべての子供は政府が引き取り養育すべきで、その担い手には同性愛者等を充てて、その見返りとして『同性婚』等の権利を与える』と言う独自のアイディアだったでしょう?」


メリーさん太「……もうその段階で、ディストピアなんだけどな」


ちょい悪令嬢「この話をした最初の段階では、『少子化対策』を主眼に置いていたのですが、ふと疑問に思ってしまったのですよ。──子供をいくら作っても他人が養育してくれるのなら、別に結婚をしなくてもいいんじゃないかって」


メリーさん太「まあ、そう言われてみれば、そうだよな」


ちょい悪令嬢「でもそれだと、やはり本作において何度も何度も主張している、『夫婦至上主義』と矛盾してしまいますから、ちょっと困ってしまいまして」


メリーさん太「しかも、気軽に誰とでも付き合えるようになって、社会規範が根底から覆りかねないしな」




ちょい悪令嬢「そこで思いついたのですよ、子供がいないのなら、むしろ夫婦の絆が深まって、不倫等が無くなってしまうんじゃ無いかと」




メリーさん太「何ソノ、発想の大転換は⁉」




ちょい悪令嬢「そもそも子供なんて必要ないのですよ、一人の子供を大学卒業まで面倒見るとしたら、どんだけ労力やお金を使わなければならないか。唯一の見返りは、老後の面倒を見てもらえることですが、最近ではそれについても、何の保障も無くなっていますからね」


メリーさん太「子供のほうも結婚したら、自分の家庭を持ち、生まれた子供を大学まで育てなければならないからな、親の面倒まで見るための、労力もお金も無いだろうよ」


ちょい悪令嬢「つまり、現在の社会状況のままでは、この『悪循環』が続いていくだけなのですよ」


メリーさん太「……それを打開するのが、今回の【突発短編】であると?」


ちょい悪令嬢「そうです、子供の面倒を見なくて済むのなら、自分たちの稼ぎはすべて自分たちのために使えるので、労働意欲が増すし、老後についても、政府が『引きこもり』たちを介護の担い手とする、新たなシステムが構築されているので、何も心配ありませんからね」


メリーさん太「──あの【突発短編】て、そこまで考えていたのか⁉」




ちょい悪令嬢「『少子化対策』については、各カップルとも結婚してすぐの期間に、子供を二、三人ほどつくって、国の施設に預ければよく、後は『夫婦』と言うものを、『性欲』を主眼に置くのでは無く、この厳しい社会環境の中で生き延びるための、『運命共同体』と見なして、お互いに力を合わせながら乗り切っていくといった次第なのですよ」




メリーさん太「……なるほど、うちの作者が想定している『近未来の男女』は、基本的には『子作り』を忌避しているけど、さすがに結婚初期は『動物的本能』がまさって、二、三人くらいは子供を作っておくってわけか?」


ちょい悪令嬢「この新社会システムにおいては、子供は各夫婦において二、三人ほどつくれば、十分事足りますからね」




メリーさん太「……人が浮気をしたり、不特定多数に対して惚れっぽいのは、『性欲』によるものでは無く、実は『生存本能』によるものってことか? ──ホント、うちの作者の『独自的視点』には、毎回驚かされるぜ」




ちょい悪令嬢「もはや時代遅れの『ユング心理学』でもあるまいし、人間の行動原理を何でも『性欲』に結びつけるのも、能がありませんしね。この説が絶対に正しいとは申しませんが、こういった発想の転換ができてこそ、ひとかどの『創作者』と言えましょう☆」

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