第1957話、わたくし、これぞすべての『プロデュサーさん』が望む、真の『学園アイドルマ○ター』だと断言しますの☆
「──いけね、遅刻だ! 入学式から、大遅刻してしまったッ!」
春真っ盛りの、4月1日。
僕はこれまで心の底から憧れ続けてきた、私立『愛増学園』の校門を、猛ダッシュでくぐり抜けた。
「うおっ! 何てだだっ広い敷地なんだ⁉ これじゃ入学式場がどこにあるのか、全然見当がつかないや!」
敷地に入ってまず目についた、『講堂』や『体育館』らしき建物を目指そうとしたものの、その類いの大きめの施設は一つや二つでは無く、数え切れないほど有り、更にはガチでコンサートが開けそうな巨大なドーム状の建築物すら存在していたのだ。
「さすがは、超人気現役アイドルが無数に在籍している、『愛増学園』、想像以上の超豪華さだぜえ……」
そのように、僕が完全に途方に暮れていると──
「あら、新入生さん? 道に迷ったのかしら?」
「──あ、あなたはっ⁉」
突然背後から声をかけられ振り向けば、そこにいたのは絹糸のごとき黒髪を片方の肩口で一つに結んだ、純和風の美少女であった。
『案内係』と言う腕章を着けているところから、入学式のお手伝いをやっている上級生かと思われるが、そんなことはどうでも良かった。
「も、『杜野凛○』さんですよね⁉ 大ファンです! これまでのシリーズではずっと、『凛○P』をやってました!」
「まあ、『プロデューサー科』の方だったのでしたの? こちらこそ光栄です。式場への行き方は少々複雑ですので、ご一緒に案内いたしましょう」
「ええっ、凛○ちゃん………い、いや、杜野『先輩』が直々に、僕を案内してくださるのですか?」
「うふふふふ、『凛○』でいいですよ、『いつもの』ように」
「は、はい! 凛○先輩!」
う、嘘だろ⁉
夢なら、醒めないでくれ!
あの憧れの、杜野先輩が、
パソコンのモニターで何度も見てきた、凛○ちゃんが、
こんな至近距離で、一緒に並んで歩いて、入学式場までの長い道のりを、ご同行できるなんてッ!
──そうなのである。
私立『愛増学園』。
そこは、これまでの『アイ○ス』こと『アイドルマ○ター』シリーズに登場した、すべてのアイドルが普通の女子学生として在籍している、全世界の『プロデューサーさん』たち大歓喜&垂涎の的の、文字通りの『聖地』であったのだッ!
もちろん、世間で『学○ス』と称されている、商業ゲームの『学園アイドルマ○ター』とは、まったく関係無い。
むしろ、あんな『勘違い新作』とは段違いに、『学園』と『アイ○ス』とを高次元で融合させた、真の『学園アイドルマ○ター』と言っても過言では無いだろう!
…………いやさあ、せっかく『学園』を舞台にすると言うのに、アイドル志望の女の子を、同じ学生のプロデューサーが育成するなんて、いつもとやっていることが同じじゃん⁉ 『学園』にした意味ないじゃん⁉ これまでのパターンと何ら代わり映えしないじゃん⁉
『学園』と聞いて、ほとんどのオタクが望むものって、まず第一には『ラブコメ』だろう⁉
しかも、既に人気を誇る既存のすべての『アイ○ス』シリーズの人気アイドルたちが、自分と同級生となって、『恋愛SLG』をプレイすることができるとしたら、『ギャルゲ』としても新ジャンルを築けて、大絶賛&ベストセラー間違いなしでしょ!
もちろん、アイドルたちからの好感度がマックスとなった暁には、シナリオルートの選択次第では、トップアイドルとして育成でき、大規模コンサートを開催できるようにすれば、旧来のファンも大満足だしね!
そう、まさにこれぞ、すべての『アイドルゲーム』好きにとって、真に理想的で、あらゆる面で満足できる、夢の『学園アイドルマ○ター』なのである!
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ちょい悪令嬢「──皆さーん! 超ビッグニュースです! 何と『学○ス』こと『学園アイドルマ○ター』の『初○コミュ1章~2章(全29話)』の動画が、わざわざ実際にゲームにログインしなくても、現在Y○uTubeの公式チャンネルにて、二時間近く丸ごと無料公開されていますよお!!!」
メリーさん太「ホンマかよ⁉ 『学○ス』を実際にやったことは無いけど、興味が少しでも有る方には、必見じゃねえか⁉」
ちょい悪令嬢「──と言うわけで、今回の【突発短編】は、本作の作者にとっての、『真に理想的な学○ス』をご紹介いたしました♡」
メリーさん太「──いやいやいやいや、それは無いだろ⁉」
ちょい悪令嬢「……何ですか、メリーさん。いきなり人の言っていることを、全否定なされたりして」
メリーさん太「あの内容のどこを取っても、本物の『学○ス』とは似ても似つかないじゃんか⁉ あんなので『学○ス』を名乗っちゃ駄目だろう⁉」
ちょい悪令嬢「でも私、最初に『学園を舞台としたアイドルマ○ター』と聞いた時には、今回の【突発短編】のように、これまでのシリーズの人気アイドルたちが多数在籍していて、よりどりみどりの学園ラブコメ的な『ギャルゲ』を想像いたしましたけど?」
メリーさん太「うんまあ、それはそれで『アリ』だと思うけど、やはり『アイ○ス』と言う名を冠するのなら、プレイヤーが『プロデューサー』となって、アイドル志望の女の子を、立派なトップスターにするのがお約束だろうが⁉」
ちょい悪令嬢「だったら、『学園』を舞台にする意味無いじゃん?」
メリーさん太「たとえ学園を舞台にしようが、『アイ○ス』とは『そう言うもの』なんだよ⁉ それを否定してまで、『学園ラブコメ』をやる必要が有るのか⁉」
ちょい悪令嬢「有るじゃん、アイドルとプロデューサーでは無く、単なる『学生』同士なら、これまでの全シリーズにおいて『御法度中の御法度』だった、お目当てのアイドルとの『恋愛』が楽しめるのでは?」
メリーさん太「──うおおおおおおおおおおおおお! 『天才』かよ⁉」
ちょい悪令嬢「ね、うちの作者が『希代の鬼謀家』と言うのも、あながち単なる『自画自賛』では無いでしょう?」
メリーさん太「『バン○イナ○コエンターテインメント』様は、今すぐうちの作者をアドバイザーとして雇えよ! さもなくば『謝罪』しろ!」
ちょい悪令嬢「……どこかの、『人権派義士』の漫画家さんかよ?」
メリーさん太「……そうか、『アイドルとの恋愛』か。確かにこれまでのシリーズにおける、『プロのプロデューサー』やその志望者では、到底無理なイベントだよな」
ちょい悪令嬢「しかも、別にこれから育成しなくても、既にプロとして活躍しているトップアイドルたちが、クラスメイトとしてすぐ近くにいるのですからね。これぞすべての『プロデューサーさん』にとっての、最高の願望の具現でしょう!」
メリーさん太「あ、でも、『アイドル育成』やその結果としての『大規模コンサート』も、ちゃんと実現できるとか言っていたけど、それはどうやるんだ? 単に『アイ○ス』のキャラを使って『ギャルゲ』をやらせるだけでは、それはそれで人気が出るかも知れないけど、『アイドル育成』にこそ血道を上げている、旧来の『やり込み系』のプレイヤーたちは満足しないんじゃ無いのか?」
ちょい悪令嬢「簡単な話ですよ、むしろ『アイドル育成』では無く、『プロデューサー育成』のほうを主眼にすればいいのです! これだったら、並み居るトップアイドルたちをとっかえひっかえして、虚構の『育成プレイ』を楽しみながらも、実は自分のほうが『プロデューサー』として育成されていくと言った、『一石二鳥』を実現できるのです!」
メリーさん太「──これぞ文字通りに、『逆転の発想』じゃん! 『天才』かよ⁉ うちの作者、ガチで『天才』かよ⁉」
ちょい悪令嬢「同級生や上級生や下級生の現役のトップアイドルたちから、手取り足取りプロデューサーとして鍛えていただけるなんて、これ以上の『ご褒美』は無いでしょう♡」
メリーさん太「なるほど、この方向性だったら、ある程度『信頼度』を獲得すれば、お目当てのアイドルとの『恋愛ルート』に突入しても、それほど不自然じゃ無いしな」
ちょい悪令嬢「それで無くても、学園内には大規模コンサートが開催可能な巨大施設が多数常備しているのですからね。学園祭なんかでもコンサートが開催されたりして、ちゃんと『アイドルゲーム』の面もクリアできるのです」
メリーさん太「で、でも、ここまで来たら、本物の『学○ス』とはまったく別物じゃん? 現在『学○ス』に十分満足している人に対しては、あまり訴求力が無いのでは?」
ちょい悪令嬢「だったら、本物の『学○ス』のキャラたちも、『アイドル志望』の新入生として登場させて、一定の修行を積んで『資格』を認められたプロデューサ科の生徒たちが、『育成』することを可能にするシステムを付け加えれば、『本物の学○ス』そのものになるでしょ?」
メリーさん太「──天才じゃん⁉(以下ry)」
ちょい悪令嬢「まあとにかく、本作の作者の個人的アイディアは以上の通りですが、現在本家の『学○ス』の『初○コミュ1章~2章(全29話)』の動画の無料公開が、絶賛開催中なのは事実ですので、ご興味のある方は是非ご覧になってみてくださいね♡」