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1956/2228

第1956話、わたくし、たとえ神様でもけして開けてはならない『パンドラの箱』が存在すると思いますの★

 ──ここは、今期秋アニメにおいて第五章が絶賛放映&配信中の、『ダン○ち』こと『ダンジ○ンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の舞台である、ダンジョン都市『オラ○オ』北西部にある、『ギルド本部』。




 草木も眠る丑三つ時だと言うのに、本来閉鎖されているはずの一般事務室には、二つの人影があった。




「……さすがは、ベ○の担当アドバイザー、大したものだわ」




 何とそのうちの一人──否、『一柱』は、オラ○オ最大派閥『フレ○ア・ファミリア』の主神、フレ○ア様そのひとであった。


「……凄いわ、彼の『ダンジョン活動』に始まり、『冒険者としての成長記録』に、『身体能力向上記録』。このオラ○オにおける冒険者としての彼のすべてが、こんなちっぽけな一冊のノートに記されているなんてッ! 使える、使えるわ!」


 そして感極まった『愛と豊穣の女神』様は、もう一人の人物のほうへと、勢いよく振り返る。


「──エ○ナ、お手柄よ! これで私の計画は万全に遂行されて、ベ○をすぐにでも堕とすことができるわ!」


 そこにいたのは、このギルドの職員にして、オラ○オ随一の有望株のベ○=クラネルの担当アドバイザー、ハーフエルフのエ○ナ=チュール嬢であったが、


 ──まるで作り物の人形であるかのように、神様からのお褒めの言葉に対しても、まったく無表情のまま微動もせず、言葉一つ発しなかった。




 それも、そのはずである。




 現在のオラ○オは、今ここにいる一柱の女神の絶大なる『魅了』の力によって、あろうことか同じ神様をも含むすべての住人(※二、三人ほど例外有り)が、完全に『精神操作』されて、意のままに操られていたのだから。




 ──だからこそ、


「これはありがたく頂戴していくわね、せいぜい有効利用させてもらうわ」


 命より大事な『記録帳』を持ち去られようとしているのに、何の反応も示さなかった、




 ──のだが。




「……それにしても、こんな薄い帳面なのに、やけに重く感じるわねえ? ──いやもちろん、内容的には間違いなく『ゲキ重』なんだけど、主に『物理面』で」


 注意深く見直し始めれば、もはや女神様の目を欺くのは不可能だった。


「……最後のページに、『隠し物の魔法』がかけられている?」


 もちろん、ハーフエルフの使う『初歩の魔法』を解呪することなぞ、朝飯前であった。


「何と、『隠しページ』が、こんなに⁉ 重いはずだわ、見えている分の十倍は有るじゃ無いの⁉………………どれどれ、ここから新たに別のタイトルがつけられているけど、







 ………………『ベ○きゅん観察日記』………………?」







 まさにこれぞ、哀れな一柱の女神が、けして開けてはならない、『パンドラの箱』を開けた瞬間であった!




   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑




 ○月△日


 今日のベ○君の朝食は、トーストにベーコンエッグを挟んだ、いわゆる『ラピ○タ飯』だけだった。


 もう少し、栄養に気をつけて欲しいものだ。




 ○月△日


 一晩中遠視の魔法で観察していても、ベ○君が浴室に来ることは無かった。


 またダンジョンで頑張りすぎて、疲れ果ててそのまま寝てしまったのだろう。


 彼の健康も心配だが、また今日も『肉体的成長』を記録できなくて、非常に残念である。




 ○月△日


 寝起きっぱなのベ○君の、可愛さは格別♡


 諦めずに、明け方まで観察していて、本当に良かった♫


 今日も出勤前に、ダンジョンへと向かう彼を、ちょっと距離を置いて物陰に隠れながら、観察し続けましょう♡♡♡




 ○月△日


 ──また現れた! あの女!


『シ○=フローヴァ』


 いつもいつも、ダンジョンに向かうベ○君を待ち構えていて、いかにもあざとく手作りの弁当を渡したりして!




 ○月△日


 ──まただ、また今朝も、シ○=フローヴァが待ち構えていた!




 ○月△日


 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も!




 ○月△日


 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も!




 ○月△日


 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も! 今朝も!







 ○月△日


 ……やはり、一番の『要注意人物』は、この『シ○=フローヴァ』だ。







 彼女には、私と、『同じ匂い』がする。







 確かにベ○君は、モテる。


 彼の周りには、魅力的な女性ばかりが、集まってきている。


 彼の主神のヘステ○ア様はもちろん、同僚のリリ○カ=アーデ嬢にサンジョウノ=春○嬢、友好ファミリアのカサン○ラ=イリオン嬢、ロ○・ファミリアのテ○オナ=ヒリュテ嬢、そして言うまでも無く『憧憬』の対象である、『剣姫』ことヴ○レン何某嬢。


 ──だが、こいつらは単なる『雑魚』だ。


 馬鹿げたことに、お互いに『牽制』し合うことによって、ベ○君に自分の想いを伝えないでいて、『いい人』であり続けることで、彼からの『好感度』を稼ぐことしか頭に無い。


 ……馬鹿か?




『恋愛は戦争』、なのだ。




『抜け駆け』、『蹴落とし』、『陰謀』、当たり前の世界であり、他のやつらが牽制し合っているからこそ、それをチャンスと攻めるべきなのである。




 ……もちろん、『派手なアクション』は、恋敵たちの反感を得やすいので、御法度である。


 そこで私は、彼のギルドにおける『担当アドバイザー』と言う立場をフルに利用して、『搦め手』によって篭絡しようとして、徐々にその成果が現れ始めた──かに思えたものの、


 彼をストーキング──もとい、『観察』していて気づいたのだが、


 まさか、私と『同じ手』を使っている、ライバルがいたなんて。




 私がギルドの職分を超えて、親身にアドバイスをすることで点数を稼いでいるのと同様に、毎日無償の弁当作りをするのはもちろん、ベ○君が落ち込んでいる時は、(まるで私同様に常時監視していたかのように)なぜかグッドタイミングで現れて、彼が今一番欲しい言葉を与えて、また奮い立たせることを成し遂げて、むちゃくちゃ『ポイント』を稼いだりして。




 そんな、いかにも純真無垢な町娘そのものの、シ○=フローヴァ嬢であるが、


 間違いなく『オンナの匂い』を漂わせているのは、隠しようも無かった。




 ──それが、他の雑魚女どもと、私やシ○=フローヴァ嬢との、『違い』だ。




 彼女たちは、お互いを牽制するあまりに、己の『女の感情』すらも封印しがちであるが、シ○=フローヴァ嬢は違った。


 同じ女である、私ならわかる。


 あれは、単なる人間の小娘なんかでは、無い。


 まさしく『愛欲の化身』そのものの、『化物』か何かだ。




 そう、私にとっての、『ベ○きゅん争奪戦』における最大の『障壁』は、主神のヘステ○ア様でも、『剣姫』のヴ○レン何某嬢でも無く、シ○=フローヴァ嬢なのであって、




 いずれ、この手で、『決着』をつける日が来るであろう。




   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑




「……何、これ」




 その時、現在におけるこのオラ○オの支配者であるはずの女神様は、戦慄のあまり全身びっしょりと冷や汗をかいていた。




「な、何で、ただのギルド職員であるはずのエ○ナ=チュールが、ベ○の『ストーカー日記』みたいなのをしたためているのよ⁉」


 ……いや、あんたも人のことは言えないだろうが?


「しかもこの、わた………もとい、『シ○=フローヴァ』に対する、明確な『殺意』は何なの⁉ シ○を自分の最大の恋敵と見定めて、ほとんどその正体を見破っているなんて、この子本当に、単なるハールエルフのギルド職員なの⁉」


 そのように、手の内のノートのあまりもの内容に、心から驚愕し、大混乱に陥っていると──







「……見ましたね?」







「え?」


 振り向けば、これまでまったく微動だにしなかった、既に自分の『操り人形』になっていたはずのハーフエルフの女性が、こちらを氷のまなこで睨みつけていた。




 ──その手に、月の光を浴びて煌めく、一振りの短剣を握りしめて。




「ど、どうして、私の『魅了』にかかっているはずなのに⁉」


「申し訳ございませんが、その『秘密のノート』を他人に見られた場合は、たとえ相手が神様であろうが、絶対にこの世から消すために『デストロイモード』となるように、自己暗示をかけていたのです」


「──なっ⁉」




「……それでは、さようなら」




「いやちょっと待って! 落ち着いて話し合いましょう! ──そ、そうだ! あなたもベ○を、独り占め…………いえ、『二人占め』しましょう! あなたの言うように、私とあなたは『同類』だから、きっとうまく行くと思うわ! これから三人仲良く暮らしましょうよ!」




「……大変魅力的なご提案ですが、現在の『デストロイモード』は仮の『作られた人格』であり、目の前の存在を排除すること以外の選択の余地はございませんので、諦めてください」




「──いやあああああ! 助けてえ、オ○タル! ヘデ○ン! ヘ○ニ! ア○ン! アルフリ○グ! 殺されるう! 女神である私が、ガチで殺されるうううう!!!」




 当然、その悲鳴を耳にするや、オラ○オが誇る最強クラスの冒険者たちが駆けつけてきたのであるが、己の『恋愛における秘密の日記』を守ろうとする女性よりも強い者なぞ、この世に存在するはずが無く、その秘密を暴こうとしたフレ○ヤ様を含めて、全員返り討ちに遭ったとさ。




 〜めでたし、めでたし〜




   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑




メリーさん太「──『〜めでたし、めでたし〜』じゃねえよ⁉ 何だよ、今回の内容は⁉」




ちょい悪令嬢「──だって、作者が父親の介護で完全に忙殺されていて、こんな『思いつき』でも作品しなければ、これまで通りの『毎日投稿』が不可能になっているんですよッ!」

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