第1934話、わたくし、これからは『実の兄妹でも名字が違う』と言う、『夫婦別姓』を踏まえた作品づくりが必要になると思いますの☆
メリーさん太「……おいおい何だよ、前回のやつは? 急に前期夏アニメの注目作の一つだった、『ふた○れ』こと『恋は双子で割○切れない』をモデルにしたような、【突発短編】を始めたものだから、本作の作者の【私的覇権作】の考察かと思ったら、何かどんどんきな臭くなっていくし⁉」
ちょい悪令嬢「『何だよ』も何も、一目瞭然、『夫婦別姓』問題に決まっているでは無いですか?」
メリーさん太「──それは当然わかっているけど、どうして『双子ハーレム系ラブコメ』に、『夫婦別姓』問題をぶっ込んでくるんだよ⁉ 『世界観』がまったく違っていて、文字通り『お門違い』も甚だしいだろうが⁉」
ちょい悪令嬢「……あのねえ、もはや『世界観』とか『お門違い』とか言ってられないのですよ。これからは、アニメもラノベも漫画も、そしてもちろんWeb小説も、『夫婦別姓』問題を避けて通ることはできないのです」
メリーさん太「え、何で?」
ちょい悪令嬢「『何で』も何も、当然のごとく日本の創作界に強大な影響を及ぼし得る、新しい国家的指導者になられたのは、『どなた様』でしたっけ?」
メリーさん太「──政権政党自○党の新総裁、石○茂氏! そうか、彼は党内きっての『リベラル派』で、『選択的夫婦別姓』制度の推進派だったっけ⁉」
ちょい悪令嬢「これまで当【座談会】においては、『夫婦別姓』については【政治問題】として扱ってきましたが、今回はその側面をいったん脇に置いて、【創作界への影響】に関して述べていきたいかと存じます」
メリーさん太「……『夫婦別姓』問題の、【創作界への影響】って?」
ちょい悪令嬢「一言で言うと、『携帯電話』みたいなものですね☆」
メリーさん太「──むしろその一言で、読者の皆様を更に困惑させるなよ⁉ 何だよ、『夫婦別姓』問題が、『携帯電話』みたいって⁉」
ちょい悪令嬢「覚えておられませんか? かつて『携帯電話』の登場によって、『ミステリィ』と言う創作界における一大ジャンルが、激変してしまった──否、『激変せざるを得なかった』ことを☆」
メリーさん太「あ」
ちょい悪令嬢「あれはまさに、数十年に一度有るか無いかの、文字通りの『歴史的転換点』でしたわ。たまたまある年の某ミステリィ大賞を獲った作品が、超長期シリーズだったので、過去の『最高傑作』と誉れ高いエピソードを読んでみたところ、『携帯電話』の類いが一切登場しなかったせいで、むちゃくちゃ『不自然』に感じられてしまいましたわ」
メリーさん太「……うんまあ、携帯電話が有るか無いかで、せっかくの『トリック』が何の意味も無くなることすら、十分有り得るからな。──つまりあんたは、それと同じような影響が、『夫婦別姓』には有り得ると言うのか?」
ちょい悪令嬢「これについては、実際に既存の作品を例に取り上げて、具体的に解説いたしましょう。──まず『ハーレムもの』に関しては、前回『ふた○れ』に絡めて、ご説明いたしましたよね?」
メリーさん太「……『ハーレム』ものと言うよりは、『不倫』や『重婚』について語っていたように思えるけど?」
ちょい悪令嬢「何言っているんですか、アニメやラノベや漫画やWeb小説の、お気楽極まりない『ハーレムラブコメ』の行き着く先は、ドロドロぐちゃぐちゃの『不倫』や『重婚』なのですよ?」
メリーさん太「はあ?」
ちょい悪令嬢「『生徒会ラブコメラノベ』の金字塔である、『生○会の一存』の公式続編の、その名も『新生○会の一存』においては、本編で『俺はハーレム王になる!』と常に力説していた主人公君が、『ラノベならではのお気楽ハーレム』の行き着く先──すなわち、『愛人』とその不幸な『不義の子』の惨状をまざまざと見せつけられると言う、むちゃくちゃハードな内容だったのですよ?」
メリーさん太「ええっ⁉ それこそ『お気楽ハーレムラノベ』の代名詞だった『生○会の一存』に、そんなシビアな続編が有ったのか⁉………………まあでも、学生時代ならともかく、大人になってまで『ハーレム』とかふざけたことを続けていたのなら、当然『結婚問題』にぶち当たることになるよな?」
ちょい悪令嬢「結局リアルはシビアであり、人は成長することで、その厳しい『現実』に直面するわけなのですよ。…………それなのに、『負けヒロインになってからも、勝ちヒロインの新婚旅行にのんきについていこうとする』漫画がもてはやされて、あろうことかアニメ化されるなんてッ⁉」
メリーさん太「──おい、ヤメロ」
ちょい悪令嬢「話を元に戻しますけど、アニメやラノベではそれ程でも無くても、より高い年齢層を対象とした創作物においては、『不倫』や『愛人』関係について、これからは『夫婦別姓』制度を無視できないものと思われるのですよ」
メリーさん太「逆に言うと、基本的に中高生を対象とした、アニメやラノベや漫画やWeb小説においては、あまり関係無いってことか?」
ちょい悪令嬢「いえいえ、そんなことはありません。『夫婦別姓』の制度化は、皆さんが思っている以上に、創作界においてもかなり広範囲に影響を及ぼすことでしょう。──その格好な例が、これまた前期夏アニメの超話題作である、『ロシ○レ』こと『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリ○さん』でございます」
メリーさん太「『夫婦別姓』が、あの『ロシ○レ』に、影響を及ぼし得るだとお⁉」
ちょい悪令嬢「物語の創作に当たっての基本的技法に、『登場人物を勘違いさせたり、認識を誤らせたりする』ってのが有るのは、ご存じですよね?」
メリーさん太「……ああ、ラブコメなんかが特に顕著で、『誰が誰を好きなのか?』と言う最も重要な情報を、主要な登場人物が勘違いすることによって、ストーリーがこんがらがっていくと言うのが、お決まりのパターンだよな」
ちょい悪令嬢「そこで重要なポイントが、『勘違いさせる』ことは重要であるものの、そのために『嘘をつく』のは、絶対にやってはいけないのですよ」
メリーさん太「そりゃそうだろ、『嘘』をつけば、いくらでも他人を『勘違い』させることができるので、いつまで経っても収拾がつかなくなるからな」
ちょい悪令嬢「しかも『嘘をつくキャラ』なんて、どうしても読者の『ヘイト』の対象になりますしね」
メリーさん太「……それで、いい加減教えてもらいたいんだけど、あんたが今言っていることに、『夫婦別姓』がどういうふうに関わってくるって言うんだ?」
ちょい悪令嬢「『嘘をつかずに勘違いさせる』テクニックの一つとして、本来同じである『親兄弟』の『姓』を、あえてバラバラにすることによって、他の登場人物を勘違いさせるってのが有るのですよ☆」
メリーさん太「ああそうか! 『ロシ○レ』で言えば、主人公君と妹ちゃんとの関係か⁉」
ちょい悪令嬢「そうです、あくまでも『夫婦同姓』──すなわち、基本的に『親子すべてが同性』である現時点においては、『名字が違えば兄妹では無い』と思い込んでしまい、主人公君と妹ちゃんとの『何かと近すぎる関係』に、常に周囲がやきもきしてしまうことになるのです」
メリーさん太「兄妹でありながら対外的には『幼馴染み同士』と言うことにして、特に主人公君のほうは『恋愛感情は無い』と言い切っているけど、メインヒロインのアーリ○ちゃんにしてみれば、それで納得できるわけ無いよな。主人公君のほうがそうでも、妹ちゃんの本心はわからないんだし、事実彼女は何かと『実兄』に対して必要以上にベタベタして、アーリ○ちゃんにマウントとってきているしな」
ちょい悪令嬢「これが『名字』が同じなら、馬鹿でも肉親だとわかって、何も問題が無いけど、あえてそこを『別姓』にすることによって、『恋愛模様』を複雑にしているわけですよ」
メリーさん太「……それが『夫婦別姓』が常識の世になると、通用しなくなるわけか? おいおい、これって結構、創作界においても大問題じゃ無いのか?」
(※次回に続きます)