第1921話、わたくし、ゴミの回収料金の『二重取り』は絶対許しませんの(怒)【前編】
ちょい悪令嬢「……いやはや、前々回まで二回にわたって、現在日本の国政を担っている、政権与党の総裁候補の某国会議員どもが、どんなに『腐っている』かを、事細かにご説明申し上げたばかりなのですが、考えてみれば当然のことながら、『腐っている』のは国政だけでは無く、地方自治体のほうも同様でした★」
メリーさん太「えっ」
ちょい悪令嬢「ホント、能無し野郎どもが、何度も言ってるけど、『国家とは養豚場であり、国民とは豚』なのだ! つまり、国政でも地方でも、政治家が何よりもまずやるべきことは、『豚』である国民を豊かに肥え太らせることなんだ! それさえ実現できれば、後の細かいことは容易く達成できるようになっているんだよ!」
メリーさん太「──ちょっ、何を冒頭からヒートアップしているんだよ⁉ 一体どうした!」
ちょい悪令嬢「またあいつら、性懲りもなく、とても信じられないことを企みやがったのですよ! 何だかんだ『お題目』をでっち上げて、主権者である国民を、更に痩せ細らせようとする、『悪行』を!」
メリーさん太「ええっ、もしかして『レジ袋』世襲議員を始めとする、自民党総裁候補どもが、何かまたとんでもない『公約』でも打ち出したのか⁉」
ちょい悪令嬢「いやだから、今回は地方自治体ですって! それも日本の首都でも最大級の、某マンモス自治体の話です!」
メリーさん太「……東京のマンモス自治体と言えば、一つしか無いのでは?」
ちょい悪令嬢「そこが今頃になって、『おかしなこと』を言い出したのです!」
メリーさん太「『おかしなこと』って、『レジ袋(人名)』みたいなことか?」
ちょい悪令嬢「あはは、いくら何でも『レジ袋(人名)』みたいな『おかしさ』ではありませんよ………………って、考えてみれば、『レジ袋(物品名)』とは、関係の深い話でしたわね」
メリーさん太「はあ?」
ちょい悪令嬢「某マンモス自治体が、東京23区内のゴミの処分場のキャパシティーが限界だから、家庭ゴミの収集を『有料化』するなんて言い出したのです!」
メリーさん太「…………………………………………ちょっと待って?」
ちょい悪令嬢「はい?」
メリーさん太「今って、いつだったっけ? 平成の初期だっけ?」
ちょい悪令嬢「何寝ぼけたこと言っているのです、令和6年ですよ?」
メリーさん太「──いやいやいや、この手の話って、確かに平成の初め頃から、散々聞いた覚えが有るんだけど⁉」
ちょい悪令嬢「凄いですよね、『処分場が満杯にナルナル』詐欺w まるで『打ち出の小槌』そのままに、税金を搾り取り放題ですよw」
メリーさん太「それにそもそも『家庭ゴミの有料化』って、既に行われているはずだろう? これは全国の自治体でほぼ共通したやり方として、その地方の自治体独自の『有料ゴミ袋』を買わせることによって、『料金前払い』方式で家庭ゴミを収集すると言った感じで」
ちょい悪令嬢「ああ、たった今ネットで調べたところ、某マンモス自治体においてもかつては『有料ゴミ袋』を導入していたそうですが、23区内に限っては、2009年頃に廃止したとのことです」
メリーさん太「あ、そうなの? それは知らなかったけど、よくそんなことができたな? それに23区内限定なのは、どうしてだ?」
ちょい悪令嬢「……あー、それについては話が長くなるのですが、いいですか? 某マンモス自治体の内情に関して、かなりの程度知り得る立場にいた本作の作者ならではの、『お役所トリビア』を披露することになるので」
メリーさん太「うんまあ、今回のテーマに関係すると言うのなら、一応聞いておこうじゃ無いか」
ちょい悪令嬢「そもそも、かつての東京『府』が、東京『都』に改められたのは、第二次世界大戦末期でありながらも、悪あがきも甚だしく、それ以降も戦争を継続するための『超法規的例外措置』であり、それを強行した当時の内務省の若きエース官僚こそ誰あろう、戦後日本における歴代最高の辣腕都知事であられた、鈴木俊一氏であったのです」
メリーさん太「──何か最初から、話がきな臭くなってきたな⁉」
ちょい悪令嬢「この東京『都』の最大の目玉が、東京『市』を、『都』の直轄地として内包してしまったことなのです!」
メリーさん太「……え、ちょっと待って? 東京『都』とか東京『府』とか東京『市』とか出てきて、完全にごっちゃになってしまったんですけど?」
ちょい悪令嬢「簡単に申しますと、『府』が県に当たり、『市』がその名のごとく『市町村』に該当するので、同じ『東京』を冠しておりますが、東京『市』は東京『府』に属する下部組織と言うことになります」
メリーさん太「ああ、まさしく、大阪『府』と大阪『市』の関係のようなものか? だったら東京『都』ってのは、何だ?」
ちょい悪令嬢「大阪府内において、別に大阪市だけが特別ってことは無く、堺市も 枚方市も、『市』として同格なのであり、かつての東京市も、東京府内の他の市と同格でした」
メリーさん太「そりゃそうだろうな」
ちょい悪令嬢「しかし、完全に劣勢に陥った戦局を鑑みて、あらゆる面で日本の中心地である帝都東京府の機能を、これまで以上に一元的に効率的に管理運営するために編み出されたのが、これまでまったく存在しなかった『東京都制度』──実質的には、『東京都特別区制度』だったのであり、具体的には、都内の自治体のうち、首都機能をほぼすべて担っている東京市のみに限って、東京府が直接施政を行うことになり、東京府を東京『都』に改めるとともに、これまでの東京『市』を、実質上自治権の無い『特別区』として格下げしたのです」
メリーさん太「ええっ、23区って区長選挙なんかやっていたから、地方の市町村と同レベルの、独立した自治体かと思っていたんだけど、そうじゃ無かったのか⁉」
ちょい悪令嬢「あ、戦時中のスタート時点は、もはや自治体とは呼べませんでしたが、丁度平成になったあたりから、都から区へと権限の移譲が進められて、今ではほとんど一般の市町村レベルの施策権を有しておりますよ?」
メリーさん太「……だったら、いいじゃ無いか? 今までの長ったらしい説明は、本当に必要だったのか?」
ちょい悪令嬢「必要に決まっているでしょうが? 戦後の昭和の間の40年以上も、現在の23区の各種行政を都のほうで賄ってきたと言うことは、『清掃事業』も都の管轄だったわけで、現在区のほうに権限移譲がなされていると言っても、いろいろと複雑な事情が絡んでいるのですよ」
メリーさん太「……何で? 清掃事業って基本的に、ゴミを収集して処分するだけだろう? 何も難しいことは無いんだから、各区で粛々とこなしていけばいいじゃ無いか?」
ちょい悪令嬢「おいおい、人の話聞いていたのかよ? まさにその『集めたゴミ』は、一体どこに持って行っているんだっけ?」
メリーさん太「あ」
ちょい悪令嬢「東京都のゴミの最終処分場『新海面処分場』──かつて『夢の島』とも呼ばれた埋め立て地の最新ヴァージョンは、江東区沖の海上にあるけど、江東区のゴミだけ捨てればいいってもんじゃ無いでしょうが?」
メリーさん太「そんなことになったら、他の区のゴミの収集業務が、一日でパンクしてしまいかねないよな⁉」
ちょい悪令嬢「後、その他の一般的なゴミの焼却施設等についても、おそらくは各区間で越境してやり取りしていると思われるので、各区独自の施策なんて、事実上無理なのでは?」
メリーさん太「……なるほど、元々は広域行政団体の『都』が、23区一まとめで清掃事業を担っていたんだから、権限だけ移譲したところで、23区一体となったやり方を抜本的に変えるなんてとても無理だし、むしろ無理にやろうとすると、『非効率』になりかねないってことか?」
ちょい悪令嬢「──そう言うわけで、23区は現在においても、全区で一致協力して、一体的な清掃事業を行わなければならないのですよ」
(※次回に続きます)