第1890話、わたくし、本年最大のピンチ到来で、緊急事態宣言ですの★
──読者の皆様、こんにちは、
本作『わたくし、悪役令嬢ですの!』の作者の、881374です。
今回はサブタイトルに示したように、ガチモンの緊急事態ですので、【座談会】形式をとる余裕も無く、作者自らの登場と相成ったわけでございます。
──それと言うのも、作者が実家で介護中だった年老いた父親が、土曜の早朝未明に自室で倒れ込み、背骨と腰骨の付け根を圧迫骨折して、緊急入院してしまったのです。
それからは一日中、息をつく暇も無い多忙な有り様となって、ベッドから起き上がれなくなった父親の食事や排泄の世話をしつつ、隣町に住んでいる姉や、介護の包括的指導をしてくださっているケアマネージャーさんに相談して、すぐに入院させる運びとなり、救急車を呼んで、どうにか土曜の半日営業の閉院間際の午前中に、とある総合病院に受け入れていただいたと言った次第です。
お医者様の診断では、このように高齢者が転倒した場合は、脚の付け根の骨をやられるのが普通なのだが、父の場合は背骨の一番下の骨が、本来は正方形で無ければならないのにほとんどひしゃげた形に押し潰されている、いわゆる『圧迫骨折』の症状となっており、たとえ家族の介護が有っても日常生活は困難と言うことで、およそ一ヶ月前後の入院を余儀なくされました。
……突然のことで、最初は呆気にとられましたが、
すべては介護人である、私の不徳のいたすところであるのを、自覚いたしました。
もちろん、最も悪いのは、この夏のこれまでに無い尋常ならざる、『暑さ』でしょう。
元々、こんな異常な暑さの中で、エアコンもつけずに、高齢者が無事でいられるわけが無かったのです。
駆けつけてくださった救急隊員の方たちも、父の部屋を始めとして、我が家が全体的に熱気が立ちこめていることに対して、「こんな中で暮らしていたら、熱中症間違いなしですよ!」と指摘なされたくらいでした。
──だからこそすべては、私の『至らなさ』のせいなのです。
そんな尋常では無い暑さの中で、何と父は常に平気な顔をしていました。
それを見て、私は浅はかにも、安堵してしまったのです。
──どうやら父親は、この夏を乗り越えそうだと。
──それどころか、こんなに元気なら、当分死ぬことは無さそうだと。
本当に浅はかで、何と自分勝手な、『妄想』でしょう。
たとえ『希望的観測』であろうとも、このような『御都合主義』なことを考えるなんて、『介護人』失格です。
……こんなこと、ちょっと我が身を省みて考えれば、歴然でしょうが?
この『酷暑』の中で、四六時中父親の介護をしている自分は、『死にそう』では無かったか?
いつ倒れてもおかしく無いほど、意識がもうろうとしていなかったか?
──だったら、自分よりも遙かに高齢である父親のほうは、いかにも平気そうに見えてその実、いつでも倒れそうになるほど意識がもうろうとしていたのでは無いのか?
お医者様やケアマネージャーさんのような『医療や介護のプロ』の方に聞くと、痴呆状態の高齢者の中には、暑さや寒さすらも実感できなくなり、体力のほうはテキメンに苛まれているのに、表面上は平然としていて、「暑い(寒い)」の一言も漏らさないことも有るそうです。
事実、それまで何も異状が無いように見えていた父が、突然夜中に転倒し、骨折と言う重症を負ってしまったのですから。
……なぜ、こんな簡単なことに、思い至らなかったのか。
このような『猛暑』の中で、後期高齢者が、平気なわけが無いじゃないか。
たとえ本人がエアコン等の冷房をつけるのを嫌がっていても、手軽に設置できる『スポット用クーラー』でも買ってきて、無理やり(部屋全体を)冷やしてやらなければならなかったのだ。
しかも、以前この【座談会】でも述べたかも知れませんが、ほんのつい最近、やはり父親が転倒したことが有ったので、殊更注意してやる必要が有ったのです。
その時は大事に至りませんでしたが、同時に自分一人で父親の介護を続けることに限界を感じたのも、また事実でした。
そこでケアマネージャーさんに、父親を『施設』に預けることを提案したのですが、『まだ早い』と言うことで、あっさりと断られてしまいました。
当時の状況からすれば、それが妥当な判断だったかも知れませんが、あの時無理やりにでも、父を『施設』に預けておけば良かったのではないでしょうか?
それと言うのも、今回骨折した場所が場所なので、骨折自体が完治した後も、歩行どころか、ベッドでの寝起きも困難となりかねないのです。
何せ、骨折を治すためとはいえ、絶対安静の長期入院は、高齢者で無くても、筋力の大幅な衰えが心配されて、このまま『寝たきり』になる可能性が大いに有り得るのですから。
更には、自宅とは違う環境に長くいることで、『痴呆』が急速に進行する恐れも、担当医様から指摘されております。
そうなると、もはや私一人で介護を行うと言った段階では無く、『施設』の入所についても検討すべきでしょう。
……すべては、私が現状をあまりにも楽観視していたためであり、悔やんでも悔やみきれません。
とは言っても、『覆水盆に返らず』の例えもあり、いくら悔やんでもしょうが無く、これからは前向きに、『善後策』を考えるべきでしょう。
そのためにも、担当医を始めとする医療スタッフの皆様や、ケアマネージャーさんに、そして同じく父の娘である姉夫婦と、緊密に連絡を取り合って常に連携して、最も効果的な医療を父に施し、一日でも早くの快復を促していく所存であります。
……その結果、本作の連載に支障を来すことも有ろうかと思いますが、何ぞと寛大なるご配慮を賜りたく存じます。
こちらもできるだけ連載を続けて行く所存ですので、どうぞ変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。
※今思い出したのですが、前日の金曜日夕方の、毎日恒例の『清拭(濡れタオルで身体中を拭いてやること)』の際に、父が丁度今回の患部の周辺に『痛み』が有ることを訴えておりました。
そうなると、転倒したから骨折したのでは無く、元々骨折していたのか、あるいは骨折まで行かずとも何らかの不調が存在していて、そのために転倒して、ベッドから起き上がれなくなるほどの重症になったと言う、いわゆる『因果関係が逆』の可能性も有り得るので、至急お医者様に相談したいかと存じます。




