第1876話、わたくし、創作物はこれまでずっと『性的マイノリティー』をカッコよく描き続けてきたと自負しますの☆
「──どうしたどうした、お嬢ちゃん? 元某国の『女性騎士団の団長』サマが、あまりにも不甲斐ないんじゃ無いのか?」
とんでもない怪力によって、手にしたレイピアに両手兼を叩きつけられるや、堪らず闘技場のフィールド内ギリギリまで吹っ飛ぶ、簡素な鎧に身を包んだ華奢な身体。
そんな私の無様な姿を見下しながら、余裕綽々で煽ってくる、対戦相手の巨躯の男。
「……ひ、卑怯な⁉ これは女性専門の格闘技大会のはず! どうして男性のあなたが出場しているのですか? 大会のルール的におかしいでしょう⁉」
「『大会のルール』? 何言っているんだよ、知らないのか? つい最近この国の法律そのものが、『本人が自分のことを女だと自認していれば、それこそが正しいのであり、それを否定する者は「差別主義者」として、厳罰に処す』と言う、人呼んで『LGBT法』と言うのが、施行されたんだぜ?」
「──何ソノむちゃくちゃな法律⁉ この国の権力者って、頭が腐っているの⁉」
「……そうだよなあ、法律ってのは何よりも『社会の安定』を図るためのものであって、この時代のような絶対王権主義の世だったら、王様の治世を安定させるために、平民どもに『変な騒動を起こさずに真面目に奴隷として働け!』と言うのが主眼なんだから、本人の自己申告で性別を変えるような法律なんか施行したら、世の中がむちゃくちゃになり、王様の平穏なる治世なんて絶対無理で、権力者として当然認めるわけにはいかないし、そもそも『法律の定義』的に、『性別を本人の自己申告で変えてもいいよ♫』なんてものは、『法律では有り得ない』んだから、『LGBT保護法』なんて施行しようとするやつらは、権力者失格として、すべて縛り首にするべきだよな」
「──いきなりどうした⁉ まるで本作の作者が乗り移ったようにして、突然語り始めたりして⁉」
「まあどっちにしろ、この法律のお陰で、俺は『女戦士』として、無双し放題ってわけだ」
「いやその場合、『コロッセウムの掟』として、男性のシンボルを『外科手術的なこと』しなければならなかったんじゃ無いのか?」
「──何怖いこと言い出しているの、この姫騎士⁉ そんな非人道的なことを、新法律が許すわけ無いだろう!」
「一体どうなっているんだ、この時代の倫理観は⁉ だったらこんな女性限定の、『殺し合い大会』自体をやめろよ⁉」
「……そりゃあ困るぜ? 何せお陰様で、こんな『濡れ手に粟』の金儲けができるんだからな♫」
「ゲスが⁉…………なあ、今からでも遅くない、自分から『失格』を認めて、棄権してくれないか?」
「ケッ、勝ち目が無いとわかって、今度は泣き落としかよ⁉ やなこった!」
「だったら仕方ない、こちらも『同じ手』を使わせてもらおう」
「──⁉」
私が手にしていたレイピアを放り捨てた瞬間、四、五メートルほど離れたところに立っていた男の巨体がいきなり吹っ飛んで、闘技場の石畳にしこたま打ちつけられてしまったであった。
「……てめえ、何しやがった?」
「ほう、まだ口がきけるとは、さすがに頑丈だな? ──やめておけ、肋骨の五、六本は折れているはずだから、安静にしておいたほうがいいぞ?」
「──魔法か何かか⁉ それはルール上、反則だろうが⁉」
「うん? 魔法じゃ無くて、今のは私がレイピアを捨てた時の、『風圧』でしか無いぞ?」
「何を言ってやがる⁉ 今のが風圧だあ? まるで何か巨大なこぶしに殴られたようだったぞ⁉」
「それで合っている。──何せ私は、『巨人族』の血を引いているのだからな」
「──なっ⁉ 巨人族だと、そんな馬鹿な!」
「そうだな、巨人族自体、既に百年前に滅亡しているからな。私の場合、いわゆる『先祖返り』的に、この小さな身体で巨人族の力が使えるわけなのだよ」
「それが本当なら、おまえこそ『ルール違反』じゃ無いか⁉ 魔法が使用禁止であると同様に、他種族との混血も、出場資格は無かったはずだ!」
「あんたこそ、ルールブックをよく読んで見ろよ? 『混血違反規程』は五代前までしか適用されず、巨人族の先祖がいたのが六代前の私は、ルールに抵触していないのだよ」
「それは、五代以上も前だったら、その種族の特色がほとんど出ることが無いからだろうが⁉ それなのにどうして、さっきは巨人族そのものの力を使えたんだ⁉」
「だから言ったろう、『先祖返り』だって。たまにいるんだよ、私のような特殊なケースが。──でもこれって間違い無く、この大会ルールに違反していないよな?」
「──ッ」
「私だって、こんな力を使う気なんか無かったさ。──だが、最初に『女の闘い』の中に、『男』の力などと言った『反則技』を持ち込んできたのは、おまえのほうだ。どこかの世界のヌルい『オリンピック』なら、それで無双できたかも知れないけど、生憎ここは、剣と魔法のファンタジーワールドであり、真に力有る者のみがすべてを得る、『弱肉強食』の世界だ。生半可な気持ちで先にルールを破ったのはおまえだ、今頃後悔しても遅い、己の軽はずみな行為を、せいぜいあの世で悔い改めるんだな」
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ちょい悪令嬢「──いやあ、我ながら、前回の【座談会】は超画期的でしたわね! どうして本作の作者が、百合系作品ばかり書いていて、本人自身『○○○』なのに、『LGBT』を始めとする『ジェンダーフリー』ムーブメントに対して、あれ程執拗に『否定的』であるのか、その理由が判明いたしました!」
メリーさん太「え、そんな内容だったっけ? 一体何だよ、その『理由』って?」
ちょい悪令嬢「今回の【突発短編】に、ちゃんと記しておいたではないですか?」
メリーさん太「……『男が女を騙って女子専用競技で無双する気なら、人外の力を行使されても文句は言えないよな?』ってことか? ──いやいや、そんなこと『創作物』ならいくらでも可能かも知れないけど、現実問題としては不可能だろうが⁉」
ちょい悪令嬢「ええ、創作物なら、現実ではできないことをいくらでも実現できるので、現実の同性愛者やトランスジェンダーなんかよりも、むちゃくちゃ『カッコよく』描写することが可能なのですよ!」
メリーさん太「──ああ、そうか、そう言うことか⁉ それが前回言っていた、『現実のジェンダーフリー問題を「反面教師」にして、自作づくりに生かしていく』ってことか⁉」
ちょい悪令嬢「そうです、創作物でなら、現実では卑怯にも『弱者』を自称して甘い汁を吸おうとしている、卑劣極まりない特権階級志向の『エセLGBT』勢力の実態なんか完全に無視して、むちゃくちゃカッコいい『真に理想的な性的マイノリティー』の方々を、存分に大活躍させることができるのですからね!」
メリーさん太「……あれ、それってむしろ、」
ちょい悪令嬢「そうなんですよ! むしろこれって、まさに創作物においては、ずっと昔からの『御家芸』だったりするのです!」
メリーさん太「例えば『オネエ言葉』のキャラが、むちゃくちゃ有能で、主人公にとっての最も頼れるアドバイザーだったりしてね♫」
ちょい悪令嬢「『天元突破グレンラ○ン』のリー○ンさんなんかが、まさに代表格ですわね」
メリーさん太「そうか、創作物は昔から、『性的マイノリティー』たちを貶めるどころか、むしろむちゃくちゃカッコよく有能に描いてきたんだ」
ちょい悪令嬢「そのような『トランジェンダー』のみならず、『同性愛者』に関してはもはや言うまでも無く、男性同士と女性同士のそれぞれが、『恋愛ジャンル』において超巨大市場を形成していますからね。今や各種創作界の『ドル箱』と言っても過言では無いでしょう」
メリーさん太「もちろんそこでは、性的マイノリティーのことを『肯定的』に捉えるのが主流だし、『否定的』に取り上げているものですら、むしろ『悲劇の主人公』として盛り上げて、それはそれで人気が有ったりするよな」
ちょい悪令嬢「そのように我々は幼い頃より、無数の創作物によって、『性的マイノリティー』のことを、カッコいい憧れの対象や、胸を締めつけられる恋愛物語の主人公として、捉えてきたのですが、昨今のエセ『ジェンダーフリー』ムーブメントにより、本物かどうか定かでは無い『自称性的マイノリティー』どもが、多数名乗りを上げてきて、周囲の人々に対してどのような場面であろうが、自分たちの(通商産○省と言うお堅いお役所での女装を認めさせて、生殖器をぶら下げたれっきとした男に女子トイレの使用すらも許可させると言った、気の狂った)常識外れの奇行を行うのを認めさせると言う、もはや『平等扱い』どころか『特権階級』そのままの横柄な有り様。これは『百合系作家』としては『営業妨害』も甚だしく、裁判所に訴えたいほどですわ(怒)」
メリーさん太「その最たるものが、トランスジェンダーの女子スポーツ界への進出だよな。男の身体能力を使って女性をなぶり者にしようなんて、創作物で言えば『悪役』以外の何物でも無いのによ」
ちょい悪令嬢「そんな糞ムーブメントをカマしているくせに、下手するとこれから先、このような卑劣なエセ性的マイノリティーどもを保護することを目的に、各種の法令がでっち上げられることによって、『百合作家』等が同性愛者を題材にすることが困難になり、これまで何の問題もなかった内容なのに『差別的描写である』なんて、難癖をつけられる可能性も大いに有り得たりしてね」
メリーさん太「──まさに、『百害あって一利無し』じゃん、現在のエセ『ジェンダーフリー』ムーブメントって⁉」
ちょい悪令嬢「とにかく、どんどんと腐っていくばかりの『現実』なんて、完全に無視ですわ! 創作者としてはこれからも、せめて創作物の中だけは、清くて美しく常に正しくて頼りになる、カッコいい真に理想的な『性的マイノリティー』を描き続ける所存ですわ☆」