第1855話、【マケイン】わたくし、今期夏アニメは、むしろこれからが『本番』だと思い知らされましたの☆
ちょい悪令嬢「──今回はまず、謝罪から始めさせていただきます! 『今期夏アニメはイマイチの作品ばかりだ』だとか、『ヒットの仕方を教えてやる』だとか、思い上がりも甚だしいことばかり言ってしまい、大変申し上げございませんでした!」
メリーさん太「な、何だ、いきなり⁉ 一体どうした⁉」
ちょい悪令嬢「自分の犯した過ちについては、すべて素直に謝罪できることこそが、本作の作者にとっての、数少ない『美徳』でございます!」
メリーさん太「……いやそれにしても、あれだけ『今期夏アニメは不作』だと吹聴していたくせに、その『手のひら返し』っぷりは、一体何なんだ?」
ちょい悪令嬢「だって、『本物』と言うか、『真打ち』と言うかを、実際に見せられたんですもの!」
メリーさん太「本物? 真打ち? それって、今期夏アニメのことか?」
ちょい悪令嬢「ズバリ、タイトルを申しますと、『負けヒ○インが多すぎる!』と言う作品でございます!」
メリーさん太「…………あれ、ごめん、そのタイトルからは、いかにも『地雷臭』しか、感じられないんですけど?」
ちょい悪令嬢「メリーさんのお気持ちも、ようくわかります。タイトルからして、いかにも『テンプレラブコメラノベ』以外の何物でも無く、ストーリーもオチも透けて見えて、下手したら制作会社様も全然やる気になれず、むしろ『低画質がウリのクソアニメ』認定すら有り得そうですよね?」
メリーさん太「何せつい最近、似たようなラノベアニメが、作画崩壊の連発の挙げ句の果てに、見事爆死してしまったからな」
ちょい悪令嬢「本作の作者も、最初は見る気は全然無かったのですよ。先ほどメリーさんがおっしゃったように、タイトルからして『地雷臭』しかしませんからね」
メリーさん太「そもそもうちの作者は、(Webサイト発以外の)『ラノベ原作アニメ』自体を、忌避しがちだからな」
ちょい悪令嬢「むしろ好意的に視聴している『リゼ○』や『ダン○ち』や『さ○ピー』は、実はすべてWebで発表してから、後にラノベ文庫レーベルで商業化されたんですしね」
メリーさん太「そういや最近お気に入りの、いかにもテンプレラノベの『ロ○デレ』もそうだよな」
ちょい悪令嬢「とはいえ、一応今期夏アニメに対しては、(ラノベ原作も含めて)すべての作品について、ネット上の評価を常にチェックしていたところ、」
メリーさん太「『していたところ』?」
ちょい悪令嬢「アニメ板や各まとめサイトにおいては、この『負けヒ○インが多すぎる!』こと略称『マケ○ン』って、むちゃくちゃ高評価だったのです!」
メリーさん太「──なっ⁉」
ちょい悪令嬢「一説によると、かの超優良制作会社の『Aー1 Pict○res』様が、近年の代表作であるところの、『リコリス・リコ○ル』こと『リコ○コ』並みの力の入れようだそうです」
メリーさん太「『リコ○コ』って、そのラノベ作品は、『ド派手なガンアクション』とか『ガチ百合Wヒロイン』でも、ウリにしているのか⁉」
ちょい悪令嬢「いえ、何度も申しておりますように、『無気力系主人公』が、『癖の強いヒロイン』たちからなぜか絡まれていって、最終的にお約束通りに『ハーレムを形成』すると言う、テンプレ中のテンプレラノベです」
メリーさん太「それなのにどうして、『社運を賭ける』とまではいかないとしても、『Aー1 Pict○res』と言う制作会社自体の評価を左右するような真似を、現時点でそれ程注目されていない、『テンプレラノベ』原作のアニメ化に注力しているわけなんだ?」
ちょい悪令嬢「それについては、ほんのつい最近申したばかりではありませんか、アニメ制作においては、必ずしも『原作改変』は御法度であるわけでは無く、原作サイドとアニメ制作サイドとの『意思疎通』が万全に図られていて、原作者が制作スタッフのことを心から信頼しており、アニメ制作スタッフ側も原作をしっかりと読み込み、もはやガチで愛しているほど理解していれば、たとえどれ程原作を改変しようとも、原作者はもちろん原作ファンを含めたすべての視聴者が大喝采する、超傑作アニメを生み出すことができるのだと☆」
メリーさん太「──‼」
ちょい悪令嬢「『事の次第』を詳しく述べますと、実は『マケ○ン』の原作ラノベ版の挿絵を担当されたイラストレーターさんこそ、『リコ○コ』において『キャラクターデザイン』を担当されていた、いみぎ○る氏であられたのですよ」
メリーさん太「あ、そうなの?」
ちょい悪令嬢「その縁も有って、『Aー1 Pict○res』社内において、『リコ○コ』の大ヒットを受けて、いみぎ○る先生が挿絵を描かれているラノベを原作にしたアニメ企画が立てられた際に、他ならぬ『マケ○ン』が推挙されたそうです」
メリーさん太「ふむふむ」
ちょい悪令嬢「それと言うのも、『マケ○ン』の原作者の雨○たきび先生自身、いみぎ○る先生繋がりで、『リコ○コ』の大ファンとなっていて、自作内にも『リコ○コ』をイメージした新キャラを登場させたりして、『リコ○コ』の人気を盛り上げようとなされていたのですよ」
メリーさん太「ほう、それは少しでも『認知度』を広げたいと思っている、オリジナルアニメ制作スタッフとしては嬉しいよな?」
ちょい悪令嬢「そうなると当然、主要スタッフを始めとして『Aー1 Pict○res』の社員の皆様も、こぞって『マケ○ン』を好意的に読まれるようになると言った次第であります」
メリーさん太「なるほど、アニメ化企画が具体化する以前から、双方に『友好関係』が成立していたってことか?」
ちょい悪令嬢「それで実際にアニメを制作するに至って、お互いの意思疎通は図れているわ、ほとんどのスタッフがやる気満々だわ、下手すると『Aー1 Pict○res』の代表作にする気で取り組んでいるわで、これで今期夏アニメ覇権作レベルの超傑作にならないと、嘘でしょう?」
メリーさん太「……あの『Aー1 Pict○res』様が、テンプレラノベ作品を、ガチでアニメ化するなんて、特に作画面と人間ドラマ面で、とんでもない超傑作が誕生しかねないぞ⁉」
ちょい悪令嬢「これってうちの作者自身、完全に思い違いをしていて、恥ずかしい限りなのですが、むしろ『テンプレアニメ』だからこそ、『料理』のし甲斐が有るのですよ。特に原作者との間で絶大なる信頼関係が築かれていて、『原作改変』し放題であるのなら、まさしくアニメスタッフとしての『腕の見せ所』であり、いかようにも『超絶作画』で人間ドラマ的にも『面白く』できるのです!」
メリーさん太「……なるほど、結果的に『クソアニメ』になってしまった作品に対して、『そもそも原作時点で駄目だった』なんて意見も多いけど、それって大間違いだったんだ。原作者と信頼関係を築き、原作のことを心底理解していれば、どんなに『原作改変』をしようとも、アニメスタッフの腕が確かなら、原作厨すら認める『超傑作』が生まれるはずだし、『クソアニメ』の責任はすべてアニメ制作会社に有るのであって、それはまさしくスタッフの努力不足であり、実力不足以外の何物でも無いってことか」
ちょい悪令嬢「ネット上の馬鹿な意見に、例えば本作の作者のような宮○アニメファンでありながら『ユーフ○』の原作改変否定派に対して、『おまえらは「原作改変」を否定しながら、むしろ「原作改変の王者」である宮○アニメを絶賛しているのは、完全に矛盾しているじゃんか?』などと難癖をつけてきていますが、バーカ! うちの作者は何も頭から、『原作改変』を否定しているんじゃ無え! 『ユーフ○』第12話は『絶対にしてはいけない間違った改悪』だから、全力で否定しただけで、原作のことを真に理解し、何よりも『面白く』できるのなら、全面的に賛同するだけの話ですよ★」
メリーさん太「まあ、そりゃそうだろうな? ──と言うことは、この『マケ○ン』も、かなり『原作改変』をされているわけか?」
ちょい悪令嬢「あ、いえ、本作の作者は原作を読んでいませんので、何とも言えません」
メリーさん太「──をいッ⁉ これまでの話をここに来ていきなり、前提条件からひっくり返すなよ!」
ちょい悪令嬢「いえいえ、むしろ原作を知らないからこそ、アニメ制作陣の『力の入れよう』に、完全に舌を巻いたとも言えるのです!」
メリーさん太「と、言うと?」
ちょい悪令嬢「アニメと言えば何よりも『作画』ですが、これがもう今期においても超トップクラスでして、美少女揃いのヒロインたちのキャラデザに始まり、モブに対する細やかなアクションに至るまで、いかにも『スペシャル』と言った感じですが、特に注目は『背景作画』だったりします!」
メリーさん太「へ?」
ちょい悪令嬢「むちゃくちゃ背景設定に凝っているのですが、中でも秀逸なのが、主人公たちが通っている学校で、あえてこの令和の世にもはや絶滅危惧種とも言える、『木造校舎』を舞台にしており、しかもその作画が細に入り微に入りリアルに描写されていて、木材の質感は言うまでも無く、非常階段等の金属部分も『錆』まで克明に描かれており、その極上のレトロさによって、まるで古い名作邦画を見ているような、ノスタルジー的感慨にどっぷりと浸れるのです!」
メリーさん太「確かに、あえて今木造校舎を取り入れるなんて、むしろお洒落だよな⁉」
ちょい悪令嬢「それでいて、キャラクターは最新デザインの制服を着ていて、スマホ等のIT機器を普通に使っているのですからね。そこら辺の『ギャップ』もアクセントとして、大いに生きているのです」
メリーさん太「……普通だったら適当に手を抜くところを、逆にむちゃくちゃこだわって力を注いでいるわけか? そりゃあ間違い無く、『作画的に贅沢』になるだろうよ」
ちょい悪令嬢「まさに、うちの作者の大好物ですわね♫」
メリーさん太「うん、少なくともアニメ制作スタッフとしては、この作品を全力で『成功』させようとしているのは、理解できたよ」
ちょい悪令嬢「──ホント、『Aー1 Pict○res』様のみならず、すべてのアニメ制作会社様に対して、これまで失礼なことばかり申しまして、心からお詫びいたします! 制作会社様さえ本気を出されれば、すべての作品は絶対に『面白くできる』ことを、心底痛感いたしました! 本作の作者といたしましても大いに反省しましたので、制作会社の皆様におかれましても、ご無理をなさらない範囲でどの作品においても、(今回の『マケ○ン』のように)本気を見せられることを期待しておりますわ♡」