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第1816話、わたくし、悪役令嬢バンド『ガールズ・バッド・クライ』ですの♫(その1)

「──公爵令嬢、メア=ナイトウ! 同級生の男爵令嬢キャロルに対する悪行の数々、もはや許し難し! よって第一王子エドワード=ベランメの名の下に、『婚約破棄』を言い渡す!」




 王国唯一の貴族の子女の学び舎たる『シブヤン魔法学園』の、卒業式後の謝恩会にて響き渡る、いまだ年若い青年の怒号。




 ……終わった。




 ──そう。




 まさにこの瞬間、わたくしの命運は尽きてしまったのだ。




 もはや、わたくしが完全に潔白であり、むしろ男爵令嬢の奸計に陥れられたのだ──とか言った、事実関係がどうであろうが、問題では無い。


 公爵令嬢ともあろう者が、公衆の面前で、この国の王家の後継者である第一王子から面罵され、婚約解消されたことこそが、致命的なのだ。




 ……今やわたくしは実家の公爵家からも見放され、これまで懇意にしてきた級友たちをも含め、王侯貴族の誰からも相手にされなくなり、この国には居場所はまったく無くなるであろう。


 もちろん、王国外に逃亡を図ろうとしても、その手段も資金も乏しく、仮にどこかの国に行けたとしても、生計を立てる術も才覚も無かった。




 唯一残った道は、自ら死を選ぶか、もしも許されるなら、出家して修道院にでも入るかの、どちらかであろう。




 そのように、わたくしがこの世のすべてに諦めきってしまった、まさにその時、




『第三の選択肢』を持った使者が、突然目の前に現れたのだ。




「──公爵令嬢、メア=ナイトウ様ですね?」




 ……え?




 振り向けばそこにいたのは、古風ながらも可憐で瀟洒なメイド服を身にまとった、小柄で幼い一人の少女であった。


「あ、あなたは?」


「私はホワンロン王国のセレルーナ筆頭公爵家にて、次期御当主様付きのメイドをしております、メイ=アカシャ=ドーマンと申します」


「──ホワンロンて、この国とは大陸の反対側にある、超最先端の量子魔導クォンタムマジック大国ではありませんか⁉ なぜそのような由緒正しき国の筆頭公爵家のメイド殿が、この学園の卒業式の懇親会なんぞに?」


「我があるじである、アルテミス=ツクヨミ=セレルーナ様の命により、あなたをスカウトしに参りましたの」


「……わたくしを『スカウト』って? しかもかの名高き、『()の巫女姫』様が?」


「詳細は、ここの会議室を一部屋借りておりますので、そこにて」


「ちょ、ちょっと待って!」


 わけのわからないことばかり言いたい放題言うや、踵を返して歩き出すメイド少女を慌てて追いすがって、小さな会議室へと足を踏み入れれば、


「──なっ⁉」


 そこにはくだんのメイドを除いて、既に4人の少女が円卓の周りに座していたのだが、その顔ぶれはと言うと、




「……ホワンロン王国の『ロリ巫女ッ娘』悪役令嬢に、ベンジャミン公国の『海軍特殊部隊シールズ』悪役令嬢に、メツボシ帝国の『戦神バトルジャンキー』悪役令嬢に、『ガーリィコボルト』魔法王国の『百合百合リリィアンアン』悪役令嬢が、揃い踏み、だと?」




 な、何で、我が魔導大陸においてその名が轟き渡る『四大悪役令嬢』が、こんな辺境の小国の学園の会議室で、一堂に会しているんだ?




「──初めまして、ヨルクラ王国公爵令嬢、メア=ナイトウ様──否、『夢魔サキュバス』の悪役令嬢、『内藤芽亜』様」




 この怪物揃いの集まりの中で、一番年若いものの、最も貫禄のある銀髪金眼の少女──それもそのはず、大陸一の異能の持ち主、『()の巫女姫』たるアルテミス=ツクヨミ=セレルーナ嬢が、開口一番、とんでもないことを言い放った。


「……どうして、わたくしの『真名』を?」


「実はわたくし、あなたの大叔母様に当たられる、『ガルマン第三帝国』空軍次官、エアハルト=ミルク元帥閣下とは、懇意にさせていただいておりますの」


 ……あの『ミルクタンク』BBAが、人の秘密をペラペラと、他人にしゃべりやがって⁉


「──いや、さも当然のように話を進めているけど、どうして今ここに、各国において元首級の最重要人物であられる『悪役令嬢』が、護衛の一人も付けずに全員揃っておられるのか、まずそこからご説明してくださいませんか⁉」


「ああ、心配なさらずに、ここに『実際に』おられるのは、あなたと私の専属メイドである、メイだけですので」


「……何ですって?」




「うふふふふ、実はこれは最新の量子魔導クォンタムマジックAR技術を使って実現した、『ホログラムによるライブ中継』みたいなもので、我々は全員、各国の自室にてくつろいでおりますわ」




「なっ、こんな現実そのものに見えているのに、『ホロ』グラムによる『ライブ』映像ですってえ⁉」


「そう、略して、『ホロライv──」


「「「「「おい、ヤメロ」」」」」


 まさにこの時、私を含めて、アルテミス嬢以外のみんなの心が一つになった瞬間であった。


「……おっと失礼、わたくしの長年の宿願が叶ったものでして、感無量のあまり、つい失言してしまいましたわ」


「『長年の宿願』、って?」


わたくしこうして皆様と、一堂に会すのが夢でしたの♫」


 ……なんか、どこかの『MyG○のMyG○の没落お嬢様(こねこちゃん)』みたいなことを言い出したぞ?


「あの、わたくしをスカウトって、もしかして」


「ええ、ここに集いし歴戦の強者どもの顔ぶれをご覧になれば、一目瞭然」


 ──や、やっぱり、その路線か⁉




わたくしこのたび、悪役令嬢だけのバンド──名付けて、『バッドガールズ・バンドクラッシュ』を、結成することにいたしましたの♡(※略称は『バックレ』とか?)」




 ……うん。


 なるほどね。


 最近のこの連載を見ていて、いつかはやると思っていたよ。




 ……しかし、『悪役令嬢によるガールズバンド』って。




 最近の流行に乗るのはいいけど、あまりも安直じゃ無いのか?







 ……つうか、完全に『出オチ』でしか無くて、すぐにネタに詰まったりして★




   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑




メリーさん太「──ていうかさあ、実は今までのが第3話の【回想編】で、第1話ではいきなり冒頭から、雨の降りしきる午後のライブハウスで、他の悪役令嬢たちがあんたのことを待っていて、やっと現れたかと思えば開口一番、『……今日は話があって参りましたの。わたくし、このバンドをやめさせていただきますわ』とか、言い出したりしてなw」




ちょい悪令嬢「……何ですか、それ?」




メリーさん太「──何で『響け!ユーフ○ニアム』のタ○先生なんだよ⁉ そこは『BanG Dre○m! ITS MyG○!!!!!』の祥○お嬢様だろうが⁉」




ちょい悪令嬢「え、別にわたくし、祥○様になったつもりはございませんけど?」


メリーさん太「さっきの【突発短編】…………て言うか、おそらく【新作案】の試作的第1話だと思うけど、そこでのあんたの口ぶりは、完全に祥○お嬢様だったじゃんか⁉」


ちょい悪令嬢「わたくしの話し方は、前からこんなものですけど? 何せ大国の筆頭公爵家の令嬢なのですからね」


メリーさん太「ぐっ⁉………………い、いや、台詞の内容的にも、祥○様っぽいのが少なく無かったようだが?」


ちょい悪令嬢「さあて、何のことやら♫」


メリーさん太「こ、こいつッ、とぼけやがって⁉」


ちょい悪令嬢「それはさておき、今回の試作には、結構注目すべき試みが、いくつかなされておりますのよ?」


メリーさん太「どこがだよ?、昨今の『ガールズバンドブーム』に、安易に乗っただけじゃ無いか? どうせこの作品もそのうち、『ギスギス』し出すんだろうが?──『悪役令嬢』だけにw」


ちょい悪令嬢「──別に『悪役令嬢』だからって、ギスギスするとは決まっておりませんわよ⁉」


メリーさん太「だったら、『注目すべき試み』って、何だよ?」




ちょい悪令嬢「最新のIT&映像技術を駆使した『AR』による、ヴァーチャルライブの実現ですわ☆」




メリーさん太「あああの、『ホロ』グラムを利用した多重『ライブ』中継技術、略して、『ホロライv──」


ちょい悪令嬢「──おい、ヤメロ!」


メリーさん太「まあ、名称はともかく、何で『ライブ』を扱った作品なのに、あえてあんな『ヴァーチャル』技術を取り入れているんだよ?」




ちょい悪令嬢「確かに『MyG○』や『ガル○ラ』等を見るにつけ、ガールズバンド作品モノは『ライブ』こそがキモですが、『ヨル○ラ』第8話の『無観客ライブ配信』を見て、別に生身で観客の前で演奏せずとも、現在の最新技術を用いれば、もっと面白いことができるんじゃ無いかと思いましてね。──例えば、わざわざ川崎くんだりに時代錯誤の『おのぼりさん』なんかせずとも、熊本にいながら東京等の気の合う女の子たちと繋がって、それぞれバラバラの地方に居ながらにして一緒に演奏して、それぞれの映像をネット上で合成して、まるでその場に同時にいるようなライブ映像を、世界中に配信したりしてね」




メリーさん太「……なるほど、『悪役令嬢』って、大貴族の御令嬢と言うのがお約束だから、おいそれと国外に出たりはできないけど、ネットであれば、それぞれの国の悪役令嬢同士で懇意になれて、やろうと思えば『ライブ配信』すらできなくは無いってことか?」




ちょい悪令嬢「この世界観設定においては、いろいろと新しい試みも可能ですし、これから不定期に連載をしたいかと思いますので、読者の皆様におかれましても、どうぞよろしくお願いいたしますわ♡」

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