第1801話、わたくし、これからは『小型FRスポーツカー』の時代だと宣言しますの☆
「──大変だ! あっちで人が燃えているぞ⁉」
休日の東京都心部の某繁華街にて、突然わき起こった喧騒。
それも、当然であった。
何せいきなり若い女性が、投身自殺を企てたわけでも無いのに、突然全身火だるまとなったのだから。
しかも非常に不可解なことにも、当の女性は完全に燃え尽くすまで、まったくの無表情のままで、悲鳴一つあげなかったのだ。
「……おい、これってもしかして、最近話題の『EV自動車擬人化少女』じゃ無いのか?」
「──ああっ、『中つ国』製の、不良品のやつか⁉」
「このところ日本全国において、爆発炎上事件を頻発しているよな?」
「何だ、結局これも、『チ○イナボカン』かよ⁉」
「……おいおい、下手するとこれって、例の駐日大使の、『──もしも日本がこれ以上タイヴァーン問題に首を突っ込んだら、我が人民解放軍が民衆を火だるまにしてやるアルよ!』と言う、即時国外追放レベルの暴言を、実行に移したんじゃ無いだろうな?」
「いい加減にしろよ、クソ劣等後進国が! まともに自動車も造れないくせに、ゴミ大使がでかい口を叩くな!」
「こんなもの輸入している日本の商社も悪いし、買った消費者も何考えているんだ⁉」
「──とっととリコールして、全車大陸に叩き返してやれよ!」
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「──これは一体、どういうことアルか⁉」
東アジア大陸最大の軍事国家『中つ国』の共産党最高幹部会議室にて鳴り響く、最高指導者『自国製のスマホの画像消去機能でも、なぜか消すことのできない、もはやまるでかつてのヒ○ラー総統並みに偶像化された、裸の王様そのまんまの』国家主席殿の、時ならぬ怒号。
それ受け、ただ身をすくめるばかりの、他の最高幹部たち。
その不甲斐ない姿を見て、更に激昂して、ますますボルテージを上げていく、事実上の『独裁者』殿。
「そもそもの目的は、馬鹿な日本人を『これからはEV自動車擬人化少女の時代ですよ!』とだまくらかして、日本中をEV自動車擬人化少女だらけにしてから、全車体を一斉に爆発炎上させて、国家機能そのものをマヒさせるはずだったんだろうが⁉ それなのに輸出開始早々に最初の炎上事件を起こしたのを皮切りに、次々に事故車を出し続けて、しまいに『中つ国車は爆発して当たり前w』という不名誉なレッテルを貼られて、ほとんど全車返品される始末、これでは計画が台無しでは無いか⁉ ──しかもあの能無し駐日大使が、『日本国民を燃やし尽くしてやるッ!』とか、余計なこと言ってすぐのアクシデントだし、このタイミングで日本やタイヴァーンに対する『宣戦布告』と誤解されたりしたら、計画がすべておじゃんじゃん⁉」
「……そりゃあ、我が国の技術力で、まともな自動車擬人化少女が造れるわけが無いでしょうが?」
「『電気自動車』型を選んだのも、旧来の『ガソリン車』型に比べて、馬鹿でも造れるくらい単純な構造だったからで」
「それを、自動車先進国である日本様に売り込もうなんて、最初から分不相応だったのですよ」
そのように口々に、今更ながらな愚痴を述べ始める幹部たち。
その結果ついに、首席様の怒りが心頭達したのであった!
「──この無能どもめが、貴様ら全員粛正アル!」
「ひいッ⁉」
「そ、そんな!」
「どうか、お慈悲を⁉」
「それが嫌だったら、『作戦B』のほうを、緊急発動させろ!」
「……『作戦B』って?」
「まさか、現在日本国内に残存している、すべてのEV自動車擬人化少女を暴走させて、人間を襲わせるわけですか⁉」
「そんな、国際問題になりますよ!」
「今更構うものか! 既におまえら同様に能無しの駐日大使が、予告済みだしな! しかもこれと同時にタイヴァーン侵攻を発動すれば、『K印半島』においても『キタ』が『ミナミ』へと攻め込み、ロスケが北海道へ侵攻してくれることになっている! そうすれば日本の自衛隊はおろか、在日在韓の米軍すらも、手も足も出まい!」
「し、しかし、日本国内には、旧来のガソリンエンジン型自動車擬人化少女『オートマタ・リリス』が、ごまんと存在しており、わずか少数の残存EV自動車擬人化少女では、太刀打ちできないのでは?」
「その辺のところは、大丈夫だ! 既に国際的取り決めによって、何よりも地球環境を守るために、自動車擬人化少女は、一定以上の二酸化炭素を排出した時点で、自動的に『活動停止』してしまう機能が付加されており、バトル等においては、我が国のEV自動車擬人化少女が、圧倒的に有利となっているのだからな!」
そのように、三流技術国家の元首が、国際機関に金をばらまくことによって無理やり創り上げた『優位な状況』を笠に着て、自信満々に言い放った、
まさに、その刹那であった。
「──会議中のところ、失礼いたします! 緊急報告です! 現時刻をもって、日本国内における我が国のEV自動車擬人化少女が、『全滅』したとのこと!」
「「「は?」」」
突然もたらされた予想外の報せに、呆気にとられる幹部たち。
「そ、そんな、馬鹿な⁉」
「たとえ出来損ないの電気自動車型とはいえ、人間の兵士よりも数十倍の戦闘力を誇る自動車擬人化少女が、みすみす全滅させられるなんて!」
「たとえ相手が同じ自動車擬人化少女であろうが、有り得るものか!」
「……もしや、我々の知り得ない、極秘の新型でも、隠し持っていたのか⁉」
「そうです、以前より開発情報が漏れ聞こえてきていた、新造の『FRタイプの小型スポーツカー』擬人化少女が、投入されたのことです!」
「……『FRスポーツ』、って」
「純然たる、ガソリン車じゃ無いか⁉」
「しかもそのタイプは、当然ターボ仕様車で、二酸化炭素排出量がシャレにならないやつだろうが⁉」
「そんなのすぐさま『活動停止』するはずで、我が国の電気自動車型とは、勝負にならないはずでは?」
「カーボンニュートラルです! FRタイプは全車とも、精製時に二酸化炭素を原料としているカーボンニュートラル燃料を使用しているので、いくら二酸化炭素を排出しても、いわゆる『プラスマイナスゼロ』と言うことで、環境汚染していることにならず、我が国の電気自動車型と同等以上の活動時間を誇り、その基本的性能差故に圧倒的に優位に立ち、電気自動車型をアッと言う間に叩き伏せたとのことです!」
「なっ⁉」
「カーボンニュートラル燃料だと⁉」
「……既に、実用化していたのか?」
「恐るべし、日本の技術力!」
「やはり我らのような、技術的後進国風情が、太刀打ちできるはずがなかったのだッ!」
こうして中つ国によるEV自動車擬人化少女を使った、『極東アジア地区侵略計画』は完全に失敗に終わり、世界の平和は守られたのであった!(※そしてある意味極秘の軍事計画を事前にバラしたも等しい某駐日大使は、めでたく粛正されましたとさ♡)
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メリーさん太「……何だ、これ?」
ちょい悪令嬢「実はこれも、『捨てる神あれば拾う神あり』シリーズだったりします」
メリーさん太「はあ?」
ちょい悪令嬢「例の自動車メーカーのダイ○ツ様の『認証試験不正問題』のために、全社的に生産体制を見直さなければならなくなり、車種の縮小を余儀なくされたとあっては、先の『ジ○パンモビリティショー』に参考出品された、『ビジョン・コ○ン』の商業化は絶望的かと思われましたが、思わぬ援軍が登場したのですよ!」
メリーさん太「……『援軍』、て?」
ちょい悪令嬢「それが何と世界に冠たる『ト○タ』様でして、やはり数年前の東○モーターショウにて参考出品された、『エ○ーFR』なる小型スポーツカーを、実際に量産化すると言う、超特ダネが飛び込んできたのです!」
メリーさん太「……ちょっと待て、名前に『FR』が入っているってことは、」
ちょい悪令嬢「そうです、ス○キ様のス○スポ並みのコンパクトカーでありながら、本格的な『FRスポーツ』仕様であるわけですよ!」
メリーさん太「──‼」
ちょい悪令嬢「しかも、エンジンが『13リットル直列3気筒ターボ』と来た日には、すべての走り屋大歓喜ですわ!」
メリーさん太「『13リットル直3ターボ』って、まさか──」
ちょい悪令嬢「うふふふふ、実はこれって、ト○タ様とダイ○ツ様と、おまけにス○キ様との、三社合同の開発事業となっており、ト○タ様は『エ○ーFR』として、ダイ○ツ様は『ビジョン・コ○ン』として、ス○キ様は『新型カプチ○ノ』として、それぞれ同じエンジンで外観だけ変えて、市場投入するものと思われるのです」
メリーさん太「つまり、ビジョン・コ○ンが、晴れて実用化されるわけかよ⁉」
ちょい悪令嬢「たとえそれが叶わずとも、間違いなくト○タ様からは、性能もレトロな外観も、ビジョン・コ○ンにけして引けをとらない、エ○ーFRがリリースされることになっておりますので、こちらに鞍替えしても構いませんしね」
メリーさん太「しかもそれに加えて『新型カプチ○ノ』と言う、非常に魅力的な『選択肢』も増えるわけだしな」
ちょい悪令嬢「──と言うことで、本作の作者の新車購入については、俄然現実味が帯び始めましたので、何か続報がございましたら、そのつどお知らせしたいかと存じます♡」
ちょい悪令嬢「……実は何と今回のエピソードにおける、【突発短編】冒頭のEV自動車擬人化少女の爆発炎上シーンは、あくまでも中国製の不良品EVが失火しやすいことを揶揄しただけだったのですが、奇しくも某クソ駐日中国大使の『日本の民衆を燃やし尽くしてやるぞッ!』発言とシンクロすることになるとは、本作の作者自身びっくり仰天でした★」
メリーさん太「……ホント、うちの作者ってば、そう言う意味では『持っている』よな?」