第1729話、わたくし、『サラリーマン公務員』最強伝説ですの⁉【解説編】
メリーさん太「……何だよ、前回の【突発短編】は? 元々『死神の力』を持っているやつが異世界転移して、たとえ相手が最強勢力の魔族であろうとも、『絶対的な死』を与えることで無双するって、『即○チート』のパ○リかよ?」
ちょい悪令嬢「『パ○リ』って…………いや、必ずしもそう言うわけでは無く、むしろ本作の作者の『いつものパターン』ってやつなのですよ」
メリーさん太「『いつものパターン』、って?」
ちょい悪令嬢「異世界側で『最強』の存在を、現代日本その他から召喚しようとするのですが、現れたのが一見とても最強には見えなくて、一度は失望するものの、実は非常にイレギュラーな形とはいえ、確かとんでもない『最強キャラ』だったと言う」
メリーさん太「……ああ、本作の作者の別作品である、『なろうの女神が支配する』内の連作エピソードの『デストロイヤー転生』の冒頭部で、『最強』の存在を召喚したはずが、現れたのが幼い女の子でガッカリしたものの、実はファンタジー異世界においても最強クラスの『物理的破壊力』を有する、『軍艦擬人化少女』だったとか言ったパターンか」
ちょい悪令嬢「実はある作品の影響も有って、私って『死神』のことを、『公務員』や普通の『勤め人』のようなものだと思うようになったのですよ」
メリーさん太「はあ?」
ちょい悪令嬢「『死神』を、『神様』──と言うよりも、我々のような一般の人間に対する、ある程度特殊な地位にいる『公務員』みたいなものと見なせばいいのですよ。普通の人間にとって『死』とは、一大事であり、悲しみであり、絶望であり、何としても逃れたいものであって、それを絶対的に強制してくる『死神』は、全人類的に『忌むべき』存在ですが、ここで立場を変えてようく考えてみると、『死神』はただ単に、すでに死ぬ運命にある人間を選択して、その者に事務的に死を与えているだけで、自分に与えられた『公的な職務』と言うか『役場の住民係』と言うかの、まさしく『市役所職員』みたいな仕事をしているだけと言えるのでは無いでしょうか?」
メリーさん太「──し、死神が、『市役所職員』みたいなものだとお⁉」
ちょい悪令嬢「だって、死神の世界には当然のごとく、死神がたくさんいて、彼らにとってはそれは『普通の世界』であり、そもそも『死神』をやっているのも、単なる『お仕事』のはずでしょう?」
メリーさん太「……なるほど、【突発短編】でも述べていたが、確かに死神は『神様』の一種であり、普通の人間や魔族に比べて『上級種族』で、自分の管轄下の『下級種族』に対して、その生死すらもコントロールできるけど、当然自分の属する『上級種族の世界』においては、単なる公務員やサラリーマンみたいなものに過ぎないってわけか?」
ちょい悪令嬢「現代日本における、『市役所職員』や『警察官』や『自衛隊員』や『税務職員』みたいなものですよ」
メリーさん太「更にわかりやすくなったな⁉ その人たちも下手すると、他人の人生を左右するような権限を有しているけど、本人たちはただ単に、公務員として自分の職務を粛々とこなしているだけだしな」
ちょい悪令嬢「それに、大昔の『王様』や『貴族』の属性を加味したのが、【突発短編】における死神さんだと言えるのでは無いでしょうか」
メリーさん太「……ふむ、庶民から見たらいかにも『殿上人』そのものであっても、むしろ『特権階級』だからこそ、庶民をどう治めるかに四苦八苦していると言う、単なる『苦労人』に過ぎないと見なすのは、結構斬新な見方だな? どうしてそんな見解に至ったんだ?」
ちょい悪令嬢「あくまでも『発想のヒント』レベルに過ぎませんが、それを与えてくれたのが冒頭で申しました『ある作品』でして、まさに『死神』が普通の勤労者として描かれていたのですよ」
メリーさん太「ほう?」
ちょい悪令嬢「紺○キタ先生の『ひ○つの階段』で有名な、『コミックfant○sy』という季刊誌に掲載されていた、ひすいろ○かん先生著作の『アルデ○テ幻想』と言うファンタジー作品なのですが、『魔女』とか『しゃべる壺』とかが普通に暮らしている世界で、そこには死神もちゃんと存在していて、魔女とかしゃべる壺とかの死後の魂を収集するのを生業としているのですが、周りの人たちもそれが『お仕事』とちゃんと認識していて、魔女が魔法の水晶を売っていたら、普通に死神が買いに来て、魔女としてもちょっとは身構えるものの、ちゃんとお客さんとして対応すると言った世界観だったのです」
メリーさん太「考えてみれば、死神が人間を殺すのでは無くて、あくまでも死んだ人間の魂を集めているだけだからな。健康でピンピンしている日常生活の中で、別に害意を持っていない死神と出会ったところで、恐れる必要は無いわけだ」
ちょい悪令嬢「まったく犯罪を起こしていないのなら、警察官に出くわしても、恐れる必要は無いようにね☆」
メリーさん太「だけど、ちょっとは『身構えてしまう』と言うw」
ちょい悪令嬢「そこら辺も同じですねw」
メリーさん太「まあ、そんな『死神=市役所の住民係』説も、ある程度納得したけど、それを何で『最強の存在』として、異世界転移させようと思ったんだ? 『死神も自分の世界では一般庶民に過ぎない』と言う考え方と、矛盾しているのでは?」
ちょい悪令嬢「そこは一ひねり加えて、『異世界転移している』のが、ミソなのですよ。──特に、死神のような『神様』がね☆」
メリーさん太「へ? それって、どういう……」
ちょい悪令嬢「本作の作者の作品におけるポリシーとして、『全知全能の神様』が、文字通り『全知全能』であるためには、神様自身が世界の法則内に存在していると何かと矛盾するので、神様が自分の力を行使できる世界に対しては、『外側に存在』していなければならないと言うのが、有るでは無いですか?」
メリーさん太「ああ、『外なる神』論か?」
ちょい悪令嬢「それに対して、あくまでも他のキャラと同様に、世界の中に存在している神様は、実は(本物の神様から)『神様と言う役割を与えられたキャラ』に過ぎず、その神様としての力は、世界そのものの法則との矛盾が許されず、どうしても限定的なものとなり、『全知全能』とは言えなくなるのです」
メリーさん太「……そっちはいわゆる、『内なる神』と言うことか」
ちょい悪令嬢「それで今回は、この二つの『神様』を、ミックスしたわけなのです」
メリーさん太「えっ、神様を『ミックス』だとお?」
ちょい悪令嬢「本来神様の『真の力』と言うものは、自分の管轄する世界の外側にいないと行使できないはずなのですが、『異世界召喚』と言うイレギュラーな現象が起こってしまったために、自分の管轄外の世界に無理やり引きずり込まれて、不完全ながらも『神様としての力』を使ってチート無双することになったのです」
メリーさん太「……それって、『内なる神』とは、どう違うわけなの?
ちょい悪令嬢「先ほども申しましたが、『内なる神』はあくまでも、『神様としての役割を与えられただけ』の【レギュラー的存在】ですが、【突発短編】の死神氏は、他の世界の本物の神様が、『異世界召喚』というイレギュラーな状況下に置かれた、自分自身もイレギュラーな存在なので、その世界の法則に囚われない、まさしくイレギュラーな『本物の神様としての力』を行使できるのです」
メリーさん太「そうか、元々自分の(管轄下の)世界じゃ無いから、生物がすべて死に絶えようが、世界そのものが滅びようが、知ったこっちゃ無いってわけか」
ちょい悪令嬢「実際【突発短編】においても、世界の因果律そのものを完全に狂わせてしまい、『死神である自分を殺そうとした時点で、もはやその者は死の運命から逃れられないのだ。よって死神である自分の目には、そいつの命数が尽きるのは決定事項なので、絶対無敵に相手の命を刈り取ることのできる、死神としてのチートスキルが実行できるようになった』とか、まさに『鶏が先か、卵が先か』そのままのことが実現していますからね」
メリーさん太「……ホント、わかりにくかったよな、『ここにいる多数の存在の中で、死神である私の目で見て死ぬ運命にあるのはおまえだけだから、おまえがどんなに強大な魔族だろうが、ここにいるただの人間たちに指一本触れることはできないし、ただ単に私に殺されるだけなのだ』とか、一体何を言っているんだって感じだったぜ!」
ちょい悪令嬢「まさしく『本物の神様』だからこそ、世界の『因果律』すらもねじ曲げられるってことですよ。もしもあの場に死神さんがいなければ、死んでしまうのは人間たちのほうだったのであり、あの魔族は不幸にも、死神さんがいただけで、自分のほうが為す術も無く死んでしまったんですからね」
メリーさん太「まさにその、『因果律すらもねじ曲げ得る神様』が、自分の世界においてはあくまでも、ただのサラリーマン公務員に過ぎないってことか?」
ちょい悪令嬢「ねえ、斬新でしょう?」
メリーさん太「まあな、本作における『神様の定義』が、更に深まったのは確かだよな」
ちょい悪令嬢「──と言うわけですので、『最強』や『神様』についての設定は、作品それぞれに違っているかと思われますが、本作における『世界の外側にいる神様こそ最強!』論こそ、真理をついているものと自負しているところであります♡」
メリーさん太「……だったら、『即○チート』はどうなんだよ?」
ちょい悪令嬢「元の世界で『○かくしさま』とも呼ばれていた夜○君は、作品のメインステージである異世界においては、『外の世界から召喚された神様──しかも、紛う方なき死神』と言えるのでは?」
メリーさん太「た、確かに……」




