第1617話、わたくし、軍人や暗殺者や殺人鬼すらも凌駕する、真の『人殺しのプロ』をご紹介しますの☆【解説編】
「……良いか、皆の者、我が皇位の継承者は、孫娘のマリアとする」
「「「──ッ⁉」」」
広大なる魔法大陸全土を支配する、絶大なる科学技術力と経済力と軍事力を誇る、大帝国『イズファーン』。
その統治者であり、偉大なる人間族の指導者たる、皇帝ドゥジィールが、今にも息を引き取ろうとしていた。
豪奢なベッドを取り囲むようにして集いしは、この国の重鎮たる皇族や寵臣の者たち。
しかしそんな帝国指折りのお歴々であっても、皇帝の思わぬ『遺言』には、驚きを隠すことなぞできなかった。
「──そ、そんな、父上!」
「マリア様はいまだ、御年7歳であられるのですよ⁉」
「……あの子にこれからの、帝国の重責を担わせるるなんて」
「陛下、どうかご再考ください!」
──そんな無様な騒ぎようを、一瞬にして制する、文字通りの『鶴の一声』。
「──ならぬ! 皇帝の命は、絶対だ! これまでも、そしてこれからも! おまえらはただ未来永劫、我の言葉に従えばいいのだ!」
「「「──は、ははあ──!!!」」」
とても臨終間近の老人のものとは思えない、裂帛の一喝に、恐れおののきたちまちのうちにその場に傅く、帝国の重鎮たち。
「……さあ、マリア、こちらにおいで」
「──はい、お祖父様」
いまだ幼いゆえに、最愛の祖父が臨終の間際であることも理解できていないのか、笑顔で枕元へと駆け寄っていく少女。
「喜べマリア、おまえには私のすべてをやろう。この城もこの国もこの大陸も、すべての金銀財宝もろとも、これからはおまえのものだ。ここに雁首を並べているおまえの父や母を始めとする、皇族の者たちも重臣たちも、皆おまえの臣下となるのだ」
「そんな、お祖父様! 私はただ、お祖父様がいつまでも、一緒にいてくれれば、それでいいの!」
そんなあまりにも健気な言葉に、思わず涙をこぼす、彼女の母親を始めとする、皇族や寵臣たち。
──彼女に待ち受ける、あまりにも過酷なる人生を、慮って。
「ははは、もちろんだとも。わしとマリアは、これからもずっと一緒だよ」
「まあ、嬉しい、お祖父様!」
「だって、わしはこれから身も心もマリアに捧げて、文字通り一心同体になるのだからな」
「え?」
「──皆の者、『儀式』の準備に取りかかれ! 我が死ぬと同時に、その肉体を食材として調理し、すべてマリアに喰らわせるのだ! そして我が血液で七日間沐浴をさせることで、『皇位継承』の証しとせよ!」
「「「ははあ───! 仰せのままに!!!」」」
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メリーさん太「……おいおい、今回と前回の二回にわたって、随分と『ヤバいネタ』がきたものだな?」
ちょい悪令嬢「ふふふふふ、本作の作者にとっての実質上Webデビュー作にして、『21世紀のドグラマ○ラ』とも自負する、『人魚の声が聞こえない』当時から、『カニバリズム』に基づいた猟奇趣味には定評が有りますからね♫ (現在『ア○マTV』様において第二期が絶賛無料公開中の)『メイドインア○ス』には負けられませんよ!」
メリーさん太「よりによって、競う相手が悪過ぎる⁉ ──いやいや、『カニバリズムや猟奇趣味に定評が有る』って、前回のやつはともかく、今回のやつは、『進○の巨人』や『英○王、武を極めるため転生す 』の影響のほうが強いんじゃ無いのか?」
ちょい悪令嬢「ああ確かに、『巨人の継承の儀式』とか、『始祖○巨人の継承者は、前任者の思想に乗っ取られる』とか言ったところは、『進○の巨人』を、『偉大なる王様が可憐な美少女に転生して人生をやり直す』ところなんかは、『英○王』そっくりでございますね☆」
メリーさん太「──こいつ、あっさりとゲロりやがった⁉ おいおい、『二次創作』や『パ○リ』は御法度だぞ⁉」
ちょい悪令嬢「いえいえ、確かにその二作品──特に、『進○の巨人』の影響は否定できませんが、そもそもの発想はあくまでも、作者自身の『日常的作業』から生じたのです」
メリーさん太「……『日常的作業』って、毎度お馴染みの、作者の父親の介護のことか?」
ちょい悪令嬢「そうです、日々の介護に疲れ果てた作者がふと思ったのですよ、『………ああ、もしも父親が「ハムスター」なら、どんなに楽なものか』──と」
メリーさん太「──すでに重症だな⁉ いや、『父親がハムスターになる』ことと、『カニバリズム』や『巨人継承の儀式』が、どう関わってくるって言うんだよ?」
ちょい悪令嬢「普通に考えて、人間がハムスターになったりしませんよね?」
メリーさん太「話が終わってしまった⁉……………いやいや、この作品はあくまでも『異世界ファンタジー』でもあるんだから、そこは『魔法』とかでやればいいじゃないか?」
ちょい悪令嬢「お忘れになっては困ります、本作はむしろ『SF』の側面が強いのであって、魔法だろうが何だろうが、人間が突然ハムスターになるなんて、『質量保存の法則』的にも、絶対に有り得ないのです!」
メリーさん太「──むちゃくちゃ面倒くさいな、うちの作者って⁉ だったらどうすればいいんだよ⁉」
ちょい悪令嬢「ですから、あえて自分の身体を相手に食べさせて『乗っ取ってしまう』と言う、『なろう系』ならではの、一種の『転生』方式を採用したのでございます」
メリーさん太「──なっ⁉ 自分を食べさせることでむしろ、相手を乗っ取ってしまうだと⁉」
ちょい悪令嬢「『進○の巨人』で言えば、『巨人の継承の儀式』と言うよりもズバリ、例の『寄生虫』方式のほうが近いかもですね」
メリーさん太「……そこら辺の理屈はよくわからないけど、あえてこじつけるとしたら、自分の『脳みそ』を喰わせることで、相手の『脳みそ』を乗っ取るようなものか?」
ちょい悪令嬢「──おっ、そのパターン(これからの自作づくりのために)いただき! 本作のお得意のモットー的には、実は古より無限に『意識』を繋いできた『自分の肉体を喰わせるほう』は、『集合的無意識』とのアクセス能力を持っていて、自分の脳みそを食べさせることで、その相手に『集合的無意識とのアクセス権』を与えて、すぐさま自分のこれまでの膨大なる記憶と知識をダウンロードして、相手の脳みそを完全に乗っ取ってしまう(=書き換えてしまう)──と言うのはどうでしょうか?」
メリーさん太「……結局、そうやって実質上『一人の皇帝』が、永遠に帝国を支配し続けるわけか? そう言うのって、いわゆる『個人の能力の限界』として、破綻しかねないのじゃ無いのか?」
ちょい悪令嬢「──ところがどっこい! これって世間(つうか『なろう系』)に良く有る、『魔物等を食べることでその力を奪っていく』やつの逆パターンでして、これまでの長き年月において皇帝は、これはといった秀でた才能の持ち主や、優秀な魔法使いや、下手すると強大な魔力を誇る魔族や魔物に、あえて我が身を喰わせて、その知識や魔力を我が物にしてきており、常に『世界最高の知略と魔力の持ち主』として、アップデートし続けているのです!」
メリーさん太「ああ、そうか⁉ 極端な例で言えば、ドラゴンに自分を喰わせれば、そのドラゴンの巨体や物理的力や魔力等を、すべて自分のものにできるわけか⁉」
ちょい悪令嬢「ねえ、『介護の不満』からふと思いついた設定にしては、結構『使いで』が有るでしょう?」
メリーさん太「……確かに、長編作品一本分の、アイデアが有りそうだな」
ちょい悪令嬢「これについては、実は前回の【突発短編】も同様で、こっちのほうは以前より抱いていた『疑問』を、本作においてたびたび発表してきた『独自のネタ』によって、見事に解決を果たした次第であります」
メリーさん太「……以前から疑問に思っていたこと。って?」
ちょい悪令嬢「『暗殺者』や『殺人鬼』と言った、『人殺し』キャラのうち、一体どのタイプが『最強(かつ最凶)』なのか?──についてです」
メリーさん太「……それを、本作においてたびたび使ってきた『ネタ』とやらで、解明したわけか?」
ちょい悪令嬢「そうです、以前精強なる『犬の魔族』が、見た目は幼く可憐な少女に、『生物としての格の違い』を見せつけられて、あっさりと『餌食』になってしまうと言った、エピソードを公開したでしょう?」
メリーさん太「ああ、某半島の『犬食い文化』こそ、『食物連鎖』的に、すべての『犬系の魔物』を凌駕する──って、やつか?」
ちょい悪令嬢「でしたら、同じ理由で、プロの『暗殺者』や本能的な『殺人鬼』よりも、そいつらすら単なる『獲物』と見なしている、『食人鬼』のほうが、『生物として格上』ってわけなのですよ☆」
メリーさん太「ええっ、『人喰い』が、『暗殺者』や『殺人鬼』よりも強いって、その根拠は何だよ⁉ むちゃくちゃ訓練を受けた『プロの暗殺者』や、何度も猟奇的事件を起こしている『シリアル殺人鬼』とかもいるんだから、絶対に『食人鬼』が勝てるとは限らないだろうが⁉」
ちょい悪令嬢「そうなのです、知恵があり、虚言を弄する、『人間』なるものは、他の動物よりも非常に厄介な存在であり、彼らをターゲットにした『狩り』は、非常に困難を極めるでしょう。──だからこそ、己の生命を繋ぐために、先祖代々長年にわたって人間を狩ってきた、『人喰い』たちは、『殺人鬼』や『暗殺者』なんか比べ物にならないほど、人間の弱点を知り尽くし、非常に効率的かつ効果的な『狩り』の技術を会得しているのです!」
メリーさん太「──ッ」
ちょい悪令嬢「それに何よりも、自分たちにとって大切なる『食糧』である『人間』を、ただ殺すだけで放置している『殺人鬼』や『暗殺者』なんて、絶対に許せない存在ですからね。もしも相まみえることがあれば、徹底的に殺し尽くして、『格の違い』を見せつけるとともに、その肉体を美味しく平らげてしまうことでしょう♡」
メリーさん太「……おい、今回までの二回にわたっての内容って、本当に大丈夫なのか? かなりヤバいんじゃないのか?」
ちょい悪令嬢「これくらいのことでビビってどうするのです? 今回の【試作版】を十分吟味することで、各Webコンテスト用の『新作』を作成する予定だと言うのに」
メリーさん太「──マジかよ⁉ うちの作者ってば、ここに来ていきなり勝負に出たな⁉」




