第1524話、【祝『ド○フターズ』新刊発売!】わたくし、『なろうに剣心』ですの⁉
その異世界の村は、人里離れた深い森の中と言う、この上なき辺境の地にあった。
ただし、周囲はぐるりと大陸指折りの列強諸国に取り囲まれており、『交易』するにしても『交戦』するにしても、是非とも手中に収めておくべき『要衝』とも言えた。
──だがしかし、どんな軍事大国であろうと、その村に手出しをする勢力は皆無であった。
他国と交易をするにしても、戦争をするにしても、けしてその村を通過することは無く、いくら時間やコストを浪費しようと、大幅に迂回していたのだ。
まるでその村の周囲にだけ、見えない『結界』でも有るかのように。
……とはいえ、もちろんその村が、外界とまったくの『没交渉』と言うわけでも無かった。
そもそも『深い森の中』という立地で、人間の生活に必要なものがすべて自給自足できるわけが無く、文化的かつ経済的発展も望めないであろう。
よって、食糧等の生活必需品は、森の直近の街道筋の小さな村と交易をすることによって賄っているのを始めとして、結構外界とのやり取りを少なからず行っていたのだ。
と言うか、けして当の村人たちは『排他主義』などでは無く、むしろ『来る者拒まず』こそをモットーとしており、その構成員は今や『多種族』にわたっており、ドワーフ族を中心にして様々な独特の工芸品や武具等を製作していて、結構高値で売れており、村の重要な資金源となっていた。
また、様々な武芸を取り入れて独自の発展を遂げた戦闘技術も有しており、『傭兵』として周辺諸国から引く手あまたの有り様だったりして、ある意味『武装中立』状態とも言えて、これも村の独立の維持に貢献していた。
このように放っておいてもいろいろと実益を生み出してくれるこの村のことは、周囲の列強諸国もあえて手出しすること無く、長きにわたって一定の平和が保たれていた。
──しかし、実際に本格的な戦争が始まってしまえば、そんな仮初めの平穏なぞ、一挙に瓦解してしまうのは当然の仕儀であったのだ。
それと言うのも、大陸屈指の武勇を誇る帝国軍が、ついに以前より遺恨のある王国領への、本格的な武力侵攻を開始したのであった。
ただし、あえて『寝た子を起こす』必要なぞ無いので、先遣隊の侵攻経路の途上にある、例の多種族の村は迂回することにしていた。
とはいえ、その村の交易相手である、街道筋の村に関しては、標的である王国に属していることもあり、何の遠慮も無く蹂躙していくことにした。
──実はそれこそが、帝国にとっての命取りであったのだ。
確かに、森の中の村にとって街道筋の村は、唯一の交易相手と言うわけでも無かった。
しかし彼らは、この異世界にあって異質なまでに、『義理堅かった』のだ。
自分たちのような『偏屈な武士根性の持ち主』──更に正確に申せば、『異邦人』に対して、心から親切にあれこれと便宜を図ってくれた『隣人』に、もはや『絶対的な恩義』を抱いていたのである。
仮にも『日の本の武士』たる者が、与えられた『恩義』を返さずにいるなんて、男(&TS女)が廃ると言うものだ!
そうなのである、
この村の住人すべてが、老いも若きも男も女も、途中から移住してきた他種族の者たちをも含めて、この世界にとって『異世界』である、日本の『戦国時代』から転生してきた、侍や忍者ばかりであったのだ!
中世ヨーロッパ基調のこの異世界においては、日本刀と言う刀剣の最高傑作を主兵器として、弓矢や槍を巧みに駆使した大規模白兵戦や、人馬一体となった騎馬戦は、文字通りに『向かうところ敵なし』と言っても過言で無いほど猛威をふるった。
更には、主にドワーフ族によって生み出された、火縄銃や大砲は、もはや『未来兵器』と言っていいほどの、革命的威力をもたらした。
──しかし、何よりも脅威だったのは、けして我が身を省みない武士道による、悪鬼羅刹のごとき闘いぶりに、それを巧みにサポートする、忍者部隊の神出鬼没の謀略の数々であった。
交易相手の村を滅ぼすことで、まさにこの『サムライの村』の逆鱗に触れてしまった帝国軍は、大軍を擁した先遣隊をアッと言う間に撃破され、それに呼応するかのように参戦した王国軍の追撃によって、帝国本土まで攻め込まれてしまい、いまだ本格的な軍備が整っていなかった主力部隊が手痛い一撃を食らい、継戦能力を奪われることで、圧倒的に不利な条件で和睦を結ばざるを得なくなったのだ。
もちろんこの大勝利をもたらしてくれた『サムライの村』に対して、王国側が諸手を挙げて感謝をして、是非とも王国とこれからも友好関係を継続するように申し出たのは、当然の仕儀であったが、『サムライの村』としてはこれまで通りの(武装)中立を守る所存であり、丁重にお断りしたのであった。
とはいえ、王国との平和的な交易活動に関しては、ますます盛んとなり、『傭兵』としての需要も全大陸的に更に『引く手あまた』となって、主に経済的に大幅に発展を遂げることとなった。
もちろんそれ以降も、この『サムライの村』に対して武力で従わせようなどと言う、命知らずの勢力なぞ現れなかったが、村のほうもその絶大な兵力を使って、周囲に攻め込むことも無かった。
──なぜなら、彼らが『サムライ』であったのは、あくまでも『前世の話』に過ぎないのだから。
せっかくこうして、新たなる世界で生まれ変わったのだ。
今度こそは、極力戦なぞせず、平和に暮らしたいと言うのが、彼らの心からの望みであった。
──そう、彼らが再び立ち上がるのは、この尊き平和を脅かしたり、恩義のある相手を害しようとしたりする者が、現れた時のみであったのだ。
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メリーさん太「……何だよ、今回のサブタイトルの、『なろうに剣心』て? まさかとは思うが、ついにうちの作者が、警察に捕まってしまったのか?」
ちょい悪令嬢「──貴様あああああああ! 言うに事欠いて、何たることを⁉」
メリーさん太「いや、だってさあ、何と言っても『剣心』だし、それにうちの作者って、自他共に認める重度の『ロリコ──」
ちょい悪令嬢「……それ以上は、やめてもらおうか⁉」
メリーさん太「じゃあ、一体何だったんだよ、今回の【突発短編】て」
ちょい悪令嬢「ああほら、例の『異世界自衛隊の新アイディア』の、【試作版】ですよ」
メリーさん太「『異世界自衛隊』? あれのどこが『自衛隊』なんだ? むしろ『異○界サムライ』って感じだったじゃんか?」
ちょい悪令嬢「と言うか、サブタイトルにも書いてますが、『ド○フターズ』なんですけどねw」
メリーさん太「同じことでは?」
ちょい悪令嬢「──だから、滅多なことを言うなよ⁉」
メリーさん太「いや、どっちにしろ、あれって完全に『サムライが異世界転生する』パターンだし、『自衛隊』まったく関係無いじゃん?」
ちょい悪令嬢「ですから、ストーリーラインはそのままで、急遽転生するのを、『自衛隊』から『サムライ』に換えたのですよ」
メリーさん太「どうして?」
ちょい悪令嬢「どっちでもストーリーが成り立つし、いっそサムライにしたほうが、インパクトが有りそうでしたからね」
メリーさん太「……ていうか、『ド○フターズ』や『異○界サムライ』と言う『お手本』が有るから、やりやすかっただけじゃないのか?」
ちょい悪令嬢「まあ、それも無いことも無いですけどねw」
メリーさん太「──ぶっちゃけやがった⁉ それでその肝心の『ストーリーライン』と言うのは、どう言ったものなんだ?」
ちょい悪令嬢「基本的に本作の作者の別作品の、『ヴァルプルギスの心臓』の(ラスボスの)魔女みたいなものですよ」
メリーさん太「はあ?」
ちょい悪令嬢「『なろう系』に良く有るように、小さな村等の共同体の中に一人だけ、元の世界でサムライや自衛隊員だった者が転生してきて、その卓越した戦闘スキルや知識で無双する──のでは無くて、村人全員がサムライや自衛隊員の転生者であるのを始めとして、村の外にも同様な転生者がいて、どんどんと村へと集まってきて、一国の軍隊に匹敵するような『戦闘集団』化していくのですよ」
メリーさん太「もはやワンパターンの『クラス丸ごと転生』の逆パターン的に、異世界の村が丸ごと一つ転生者ばかりになるのかよ⁉ しかもそれだけでは飽き足らずに、村の外にも大勢転生者がいて、そいつらまでも集まってくるってのは、どういう理由なんだ?」
ちょい悪令嬢「一つは、外界の知識を得るためで有り、一つは、外界に『忍者』等をそのまま配置して、情報収集や諜報活動や謀略活動を行うためであり、更には構成員を『多種族』にするためです」
メリーさん太「あ、そうか、『精神的な転生』なんだから、種族は何だっていいんだ」
ちょい悪令嬢「そこら辺も、『ヴァルプルギスの心臓』に準拠しております」
メリーさん太「なるほどねえ、戦国時代の知識を有するドワーフ等がいるからこそ、異世界の文明レベルよりも進んだ、火縄銃や大砲なんかを造ることができるのか」
ちょい悪令嬢「それに何よりも、サムライのほうがいかにも『戦闘狂』って感じがして、その正体を現して実際に戦闘行為に及んだ時に、インパクトが大きいですからね」
メリーさん太「そこら辺はモロ、『ド○フターズ』や『異○界サムライ』の影響大だな」
ちょい悪令嬢「しかもこれを『自衛隊』に置き換えても、基本的なストーリー構成はそれ程変わりませんしね」
メリーさん太「その場合ドワーフに造らせるのは、『現代兵器』になるわけか」
ちょい悪令嬢「まさかそっくりそのままとはいきませんが、一般兵士用の銃火器程度なら、魔法の力で補助すれば、何とかいけるでしょう」
メリーさん太「……うう〜ん、若干苦しいかなあ」
ちょい悪令嬢「と言うわけで、今回【試作版】として、転生するのを自衛隊からサムライに換えてみたわけなのです」
メリーさん太「──なるほど、戦国時代の武具なら、かなり実現可能性が高くなるからな!」
ちょい悪令嬢「もちろん、本格的に作品化する場合には、サムライのままで行くにしろ、自衛隊に変更するにしろ、更に細部を詰める必要がございますが、今回実際に【突発短編】を作成することによって、いろいろと問題点を洗い出すことができましたので、これを踏まえて一日も早くの作品化を目指したいかと存じます♡」




