第1503話、わたくし、今期夏アニメスタートダッシュ絶好調ですの♡【その5】
メリーさん太「……おい、前回のやつ、ホントに大丈夫なのか?」
ちょい悪令嬢「大丈夫って、何のことでございましょう?」
メリーさん太「──他人様の作品のキャラを使って、勝手なことばかり言わせやがって、下手しなくても各方面からお叱りを受けてしまうぞ⁉」
ちょい悪令嬢「──いえいえ、あれはあくまでも当【座談会】のモットーに則った、『検証』を行っただけですわ」
メリーさん太「……検証、だと?」
ちょい悪令嬢「こうして本作において、あえて他人様の作品を取り上げて詳細に内容を分析しているのも、ひとえに自作の作品づくりに役立てるためじゃないですか?」
メリーさん太「あんな他人様の作品のキャラを勝手に使って、妄想そのまんまの『人形劇』をさせることが、『作品づくりのための分析』だと?」
ちょい悪令嬢「作品世界観がまったく異なるものの、キャラ配置が異様に似通っているなんて、そのまんま『異世界転生』のモチーフに応用できるでは無いですか?」
メリーさん太「──なっ⁉」
ちょい悪令嬢「しかも片やリアルな現代OL物語であるのに対して、片や明治や大正期の日本をモチーフにした、異能の旧家の複雑極まる恋愛模様であるのですが、そのギャップゆえに、実際にお互いに『スワッピング転生』させるとなると、いろいろと妄想がはかどるでは無いですかあ♡」
メリーさん太「おい、『異能の旧家の転生』モノって──」
ちょい悪令嬢「ええ、本作品の【現代日本ヴァージョン】そのものですよ」
メリーさん太「──ッ」
ちょい悪令嬢「ねえ、いろいろと参考になるのも、頷けるでしょう?」
メリーさん太「……参考になるって、具体的にはどういうところだよ?」
ちょい悪令嬢「それこそ前回事細かにご説明したように、『異能持ちの大正時代の人間が、現代日本の企業で通用するか?』と、それとは逆に『現代のエリートサラリーマンが、大正浪漫異能バトルの世界で通用するか』でございます」
メリーさん太「──完全に『無理ゲー』じゃねえか⁉」
ちょい悪令嬢「いえいえ、それだと困るのです。──他でも無く、この私が」
メリーさん太「な、何で?」
ちょい悪令嬢「ですから、この二作を『異世界転生モノ』として一つにまとめると、丁度本作みたいになるのであって、それがうまく行かなくなると、私の立場が無くなってしまうのですよ」
メリーさん太「……いや、確かにあんたの【現代日本サイド】の転生元の明石月詠嬢は、異能の旧家の跡取り娘だけど、あんただって異能の巫女姫なんだから、問題無いじゃないか?」
ちょい悪令嬢「あら、忘れたのですか? 詠嬢は自分の過失で亡くしてしまった、異能持ちの双子の姉の『フリ』をしているだけで、自分自身には異能は無いのですよ?」
メリーさん太「あ、そういえば、そうでした!」
ちょい悪令嬢「それでは、異能を持たない現代日本人が、明治大正風幻想譚や剣と魔法のファンタジーの世界の中で、どう立ち回っていけばいいかと言うと、」
メリーさん太「言うと?」
ちょい悪令嬢「──毎度お馴染み、『現代知識で無双』すればいいのです!」
メリーさん太「はあ?」
ちょい悪令嬢「ほら、最近の『なろう系』ってもはや、現代日本人の主人公が『ファンタジー異世界に転生するなろう系パターン』を熟知していると言った、『メタ的路線』が平気で行われているではありませんか? それと同様に、現代日本側の『デ○る猫は今日も憂鬱』のキャラたちも、『和風異能ファンタジー系』の作品についてあらかた熟知していて、突然そのような世界に放り込まれてもすんなりと順応できて、それどころか現代日本の最新の科学的知識等で無双すると言うw」
メリーさん太「──『メタ』だけでも酷いのに、とことん『御都合主義』的展開だな⁉ さすがは『なろう系』!」
ちょい悪令嬢「逆に前時代的な異能の一族の人間たちが、現代日本の最先端企業で活躍していくためには、当然のごとく『異能』を活用していくことになります」
メリーさん太「……ああ、前回もそんなことを言っていたよな、サキュバスみたいな力を持っている女の子が、取引先のお偉いさんの夢の中に入り込んで、自社に有利になるように洗脳するって。そんな『力業』と言うかガチの『反則技』が、本当に現代社会で通用すると思っているのか? 特に『なろう系』でお馴染みの『現代知識による無双』が不可能な、明治大正の知識止まりの人間に」
ちょい悪令嬢「──大丈夫です! 何せこの両作品の最高にして最大の共通点は、ヒロインを支える『理解のある彼くん』が、まさしく『抜群のリーダーシップの持ち主』なのですから!」
メリーさん太「は? それってつまり、『抜群のリーダーシップの持ち主』なら、まったく時代の異なる世界でも、うまくやっていけるってことか?」
ちょい悪令嬢「これについては、やはり『なろう系』の有名ジャンルである、【架空戦記】を例に挙げるとわかりやすいでしょう」
メリーさん太「……ああ、現代知識でもって、日本軍やドイツ軍の指導者になって、歴史を覆すってやつか?」
ちょい悪令嬢「むしろそのパターンばかりですよねw ──それでは、『ヒトラーに転生して歴史を覆してやる!』とか言ってイキっているやつらに、伺いたいのですけど、あんたらって、例えば『ルーズベルト』や『チャーチル』に転生して、歴史通りにアメリカやイギリスを勝利に導くことができるのですかあ?」
メリーさん太「──そ、それって⁉」
ちょい悪令嬢「そうなんですよ、『考えなしの馬鹿』ほど、『自分はドイツがどうして敗戦したのか知っているし、現代知識も持っているし、ヒトラーに転生すれば、ドイツを勝利に導ける!』と思い上がっていますけど、だったら『史実としても勝利した』アメリカやイギリスの指導者に転生した場合なら、歴史通りに完璧に連合軍を勝利に導けますよねえ? ──例えば、メリーさん御自身なら、どうです?」
メリーさん太「そ、そりゃあ、理屈の上ではそうなんだろうけど、実際にやってみろと言われると、何か自信が無くなるよなあ……」
ちょい悪令嬢「おや、どうしてです? 今や落ち目となった【架空戦記】モノって、現代日本人がヒトラーに転生するだけで、必ずドイツが戦争に勝っているじゃ無いですか?」
メリーさん太「い、いや、そのように歴史を大胆に改変するとなると、いかにも不可能を可能にできる感じがするんだけど、元々歴史上勝っているほうを勝たせるとなると、わかりやすく言えば、『ルーズベルトが史実上行ったことを寸分違わず再現』しなくてはならないような感じがするじゃん? それって当時のことを具体的に知る由の無い現代日本人では、文字通りに『無理ゲー』じゃ無いの?」
ちょい悪令嬢「でしたら、そんな日本人がいるかどうかはさておき、転生者がルーズベルト同様の才覚の持ち主ならどうです?」
メリーさん太「いやいや、第二次世界大戦において一国を率い勝利に導くなんて、もはや『個人の才覚』の問題じゃ無いのでは?」
ちょい悪令嬢「──その通り! かの戦争で連合軍が勝利したのは、先程も申した通り、米英の指導者が文字通り『抜群のリーダーシップの持ち主』だったからですよ!」
メリーさん太「『リーダーシップ』って…………ああ、自分の才能だけでは無く、優秀な部下をうまく使いこなせるってことか⁉」
ちょい悪令嬢「そうです、まさかあれ程の大戦争が、カリスマ的な個人の資質のみで勝敗が決まるわけが無く、たとえ個人的には凡庸であっても、自分よりも優秀な部下たちをうまく使いこなせる指導者こそが、最もあの時代に適合していたと申せましょう」
メリーさん太「……なるほど、いかにも『なろう系の主人公』のステレオタイプである『俺TUEEE!』系の主人公が、『ヒトラー』や『ルーズベルト』に転生したところで、自国を勝利に導くことなんて、どだい無理な話だよな」
ちょい悪令嬢「現代日本において『コミュ障の駄目人間』だったやつが、過去の世界や異世界に転生して突然、『偉人級のリーダーシップ』を発揮できるわけがありませんからねw」
メリーさん太「──そうか、逆に言えば『なろう系』ならではの『チートスキル』や『御都合主義的知識』が無くても、『わたしの幸せ○結婚』の久○隊長さんや『デ○る猫は今日も憂鬱』の織○部長さんのような『リーダーシップ』が有れば、転生した先の世界の優秀な部下たちを使いこなすことによって、万事スムーズに運ぶこともけして不可能では無いわけか⁉」
ちょい悪令嬢「あのお二方って、いかにも部下から心酔されそうなタイプですしね」
メリーさん太「たとえ『異能の部隊』の指揮官だからって、己自身が異能を使う必要は無く、現場の部下たちをうまく使って事件を解決できれば、それで十分だしな」
ちょい悪令嬢「異能の特殊部隊でリーダーが『無能』なんてのは、むしろ良く有るパターンですし」
メリーさん太「──て言うか、メインヒロインの美○さんが、ズバリそのパターンじゃ無いか?」
ちょい悪令嬢「それで実はそのリーダーだかメインヒロインだかが、最強の異能を隠し持っていたりしてね」
メリーさん太「一方の『デ○猫』世界のほうも、大正時代の人間には最先端の企業経営なんてちんぷんかんぷんだと思われがちだけど、実際に仕事を行うのはあくまでも現場の人間であり、『部長』のような上級管理職ともなると、人心掌握さえできていれば、仕事は適切に回っていくしな」
ちょい悪令嬢「その点、久○隊長さんのリーダーシップは問題無いし、特に『人心掌握』に関しては、美○さんのサキュバスの力が大いに役立つでしょう!」
メリーさん太「……なるほど、前回の他人様の作品の勝手な『スワッピング実験』は、『異世界転生』作品を創る上で、確かに大いに勉強になるわ」
(※次回に続きます)




