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第1289話、わたくし、究極の『地球環境主義者』をご紹介いたしますの♡

 ──完全主権国家『シン・ニッポン』、国防省特務局秘密研究所、『人間兵器』開発部。




「……最近、国際的肉食拒絶組織『豆癌ビーンガン』の、日本人に対する誹謗中傷が目に余るな」


「これまで散々肉を食らってきた白豚どもが、数百年にわたる江戸時代において宗教及び産業構造の都合上、肉食を排してきた高邁なる大和民族に対して、不届き千万にもほどがあろう」


「まるで八十年間も不戦を維持してきたと言うのに、周辺諸国の軍拡路線に対応せざるを得なくなって、最低限の『反撃能力』を保有しただけで、非難囂々となった2020年代を思い出すよ」


「もはやあいつらの暴挙──特に、我々大和民族に対するアンチ行為は、捨て置けぬ!」


「そうだ、今こそ『最終手段』を講じるべきだ!」


「生物としての本能を忘れて、綺麗事ばかり抜かしている慮外者どもに、究極の『肉食主義』と言うものを、思い知らせてやろうぞ!」


「──同意! 『人間兵器第666号』の出動を許可する!」




   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑




「…………げひひひひひ、まさか俺たちが、生きている間にお天道様を拝める日が来るとはなあ」


「これは、『豆癌ビーンガン』とか言う頭の狂ったやつらに、大感謝だな」


「その身にたっぷりと、『肉食』の素晴らしさを思い知らせてやるぜえ」




「──ああ、この『人でなし』どもめが! 思う存分『喰らう』がいい!………………もちろんいくらでも、『おかわりもいいぞ』!」




   ☀     ◑     ☀     ◑     ☀     ◑




 ──シン・ニッポンの皇都トウキョウ有数の繁華街、ネオ・イケブクロ。


 その中心部に所在する、とあるフライドチキン系ファストフードの店先は、今この時異様な空気に包まれていた。


 店の周囲を取り囲んで「肉食反対!」などとシュピレヒコールを挙げている、国際的肉食拒絶組織『豆癌ビーンガン』のメンバーたち。


 更にその目と鼻の先まで迫りつつ、各々フライドチキンを手にしてさも美味そうにかぶりつき、『豆癌ビーンガン』どもの愚行をあざ笑いながら煽り立てている、多数の日本人の皆様。


 これには自他共に認める『偽善者』どももトサカにきたようで、むしろ自ら人種差別的な台詞を交えて怒鳴り始めるのであった………………やはり、カルシウムが足りていないのであろうか?


「──日本人は、肉を食うなよ⁉」


「気持ち悪いんだよ、てめえらは!」


「米や芋だけ食ってろ、劣等種族が!」


「……上等種である我々白人は、すでに肉食を捨てたというのに、おまえらときたら」


「ゲスが! 高邁なる我々の行動を、少しも理解できないとは、低脳の極みだな!」


「いいか! これまで他の動物の命を奪ってきた、罪深き人類の贖罪を、こうして我々が率先して担ってるんだぞ⁉」


「このままでは、人間の愚かな行為こそが、この地球を滅ぼしかねないのだ!」


「なぜ日本人だけは、悔い改めようとしないのだ⁉」




 それを受けて、真に自由で平和で豊かな、真の最高人種である日本人の皆様のほうは──




「「「ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ(モグモグモグモグモグモグモグ)」」」




 相変わらずただ美味そうに肉を頬張り、無言で微笑みながら、真の劣等種たちを煽り続けるのであったw




「「「──畜生おおおおおお!!!(※何て美味そうなんだ! 俺たちもホントは、肉食いてえええええ!!!」」」




 そうなのである。




 実は現在の『豆癌ビーンガン』のメンバーたちも、親が『肉食拒絶者』だったために、無理やり『豆癌ビーンガン』に仕立て上げられたと言う、哀れなる『二世』たちなのであって、(どっかの国の自称『宗教二世』ども同様に)あくまでも『被害者』であったのだ!(本作第1283話〜第1284話参照)




 そのように、この場の緊張が最高潮に達して、一触即発の危機かと思われた、


 まさに、その刹那であった。




『──こちらは国防省特務局です、付近の善良なる日本人の方は、今すぐ退去してください! ただ今より、「実力行使」を開始いたします!』




 突然の拡声器の大音声と共に、数台の装甲輸送車が突進してきて、蜘蛛の子を散らすように逃げ出す日本人たちをよそに、『豆癌ビーンガン』どもを包囲するように展開したのであった。




 そして、分厚い金属製の扉が開くと同時に、次々に降車してくる、異形の者ども。




 全身無惨に痩せ細っているのみならず、いかにもごっつい手枷で完全に自由を奪われており、更には口元も武骨な口輪で塞がれていて、飲食することはもちろん、言葉一つ発すことも封じられていた。




 ただしそれも、装甲車があたかも『逃げ出すようにして』その場を離れるまでの話で、別に鍵がかけられていたわけでも無かったのか、あっさりと手枷や口輪を自ら取り去る、正体不明の闖入者たち。




「……な、何だ、おまえたちは? 一体何者だ⁉」




 当然のように身構える『豆癌ビーンガン』どもであったが、意外にも気安く声をかけてくる、謎の男たち。


「──いやあ、あんたらの有り難いスピーチ、心から感激したぜえ?」


「「「はあ?」」」




「人間こそ罪深き存在てえのは、まったく同意するぜ! 人間ごときに、他の動物の命を奪う権利なんて無いよな? いや、人間以外の動物を食べる必要なんて無いのさ! 人間は植物等の自然食を食べていればいいんだ! そのほうがよっぽど健康に良くて、『肉体の質』も良くなるからな!」




「「「──おお!」」」


「素晴らしい!」


「もしやあなた方も、我らの同志でしたか⁉」


「その痩せ細ったお身体は、肉食を拒絶されているからですか?」


「自ら『真に正しい食生活』を実行なされるとは、我々『豆癌ビーンガン』の鑑ではありませんか!」




「うんにゃ、俺たちはみんな、『肉食主義者』だよ。それも、『究極』のな?」




「「「ヘ?」」」




「しかも、こう見えても特殊部隊所属の、『軍人』だったりしてな」


「「「……軍人? しかも特殊部隊? そんな痩せ細った身体でですか?」」」


「おまえら、軍隊にとって、最も重要なものって、何だと思うか?」


「「「またいきなり、突拍子も無い質問だな⁉…………うんまあ、いろいろ意見はあるも知れませんが、やはり『兵站』でしょうか?」」」


「まあな、兵隊と言っても人間だ、特に『食糧』が無くなったら、戦争どころじゃ無いからな」


「「「場合によっては、『現地調達』も辞さないってわけですか? それなら確かに、『肉食を拒絶』したりはできませんね。──しかし、戦争のために肉食を是とするなんて、やはり人間ほど罪深き存在はありませんな」」」


「……うん、実は俺たちこそが、『究極の現地調達部隊』なんだけど、そりゃあ『ジャングル戦』なんかだといいだろうが、砂漠とか氷雪地帯での戦闘においては、現地調達もままならなくなるけど、そう言った場合は、どうしたらいいと思う?」


「「「え、それはその…………もしも旧日本軍のように、ちゃんと『兵站ルート』を確保できていないのなら、早めに降伏したほうがいいのでは?」」」


「は? そんな『敗北主義者』そのまんまのことが、俺たちのような最前線の兵士に許されるとでも思っているの?」


「「「──うっ⁉」」」




「それに、たとえ砂漠や氷雪地帯であろうとも、そこが戦場であればこそ、『現地調達』に事欠かないじゃねえか?………………特に、『食肉』に関してはね」




「「「……………え?」」」




「実は俺たちの一族って、同じ日本人にさえほとんど知られていない、深い山の中で細々と生きてきた『秘境の民』なんだけど、タンパク源がまったく足りなくて、『特殊な肉』のみを口にしていたんだ」


「「「あ、あの?」」」


「それはほとんどは、同じ村の『故人』のものだったけど、運の悪い『遭難者』なんかは、年に一度有るか無いかの『ごちそう』だったな」


「「「──ッ」」」


「明治の御維新によって、俺たちの存在は新政府の知るところになったものの、『富国強兵』を押し進めていたお偉いさん方は、俺たちに『軍事的価値』を見いだして、密かに『飼い続けて』いたんだよ」


「「「な、何だってえ⁉」」」


「その正しさは、第二次大戦時の『兵站面の圧倒的な劣勢』を目の当たりにして、確信に至り、戦後も秘密裏に『戦場における自給自足を可能とする特殊部隊』の実現を目指して、『人体実験』を繰り返していたんだ」




「「「人体実験、って……」」」




「ただ単に、『食人』するだけでは無く、強靱な肉体と精神とを有する、あたかも『吸血鬼の軍隊』並みの『不撓不屈の軍団』を目指していたんだ。──例えば、今目の前にいる、『高貴なる日本民族に対する不敬罪現行犯』のクソ外人どもを、素手でなぶり殺しにして、この場で喰らい尽くすことが可能なくらいにねw」




「「「──ひいッ」」」




「──さあ、『贖罪の時間』だ。一人でも不浄なる罪深き人間をこの世から消し去って、地球環境の役に立とうじゃ無いかあwww」




 ……そして文字通りの『地獄絵図』が、繰り広げられたのであった。

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