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感覚

作者: セキセイ

3人の友達で怪談話をしていました。

私たち2人が話終えても残り1人の彼は

「話が苦手だから。」

などと言い、話したがりませんでした。

仕方なく私たちはそれぞれ何度か話しましたが

次第に話も尽きてきて、あまり乗り気でない彼に

「作り話でいいから」

と執拗に頼むと彼は話出しました。


「僕は特に何か見えたりはしないんですけど

何かを感じる時はあるんですよ。」


「いつからか自分の見えない所、例えば背後に

何かがあるような気がしてならないんです。」


滑らかに話ました。


「ずっと何かあるんですよ。

例えで『背後』と言っただけで

実際には見えない所に何かを感じるので鏡で見ようが

其処にはなくて、ずっと見えない所にあるんです。」


少しくどい話し口でしたが、

とても滑らかに話ました。


「どうですか感覚は分かったでしょうか?

まだ分かりませんか?」


「まぁ、体験しないことには分からないですかね。」


「どうです?」


彼は返答を待った。

私たちは分からないと言った。


「僕はその感覚にひどく悩まされました、

見えない所にずっと何かがあって、

目を瞑ったら自分を覆い包むような感覚に。」


「何より辛いのは誰とも共感できないことでした。」


彼は淡々と滑らかに話ました。


「だから僕は有名な専門家に相談しました。」


そこで彼は唐突に聞いた


「僕の言った、感覚、分かりましたか?」


返答に数秒を要したけれど

私たちは分からないと言いました。

彼は、ほんの一瞬、不快そうな表情になりましたが、

すぐにさっきまでの無表情に戻りました。


「その頃の私は

その感覚に自分を埋め尽くされていました。

それは、とても辛く、悲しい時間でした。」


彼は空々しく言いました。

彼は本当に辛く、

悲しいのでしょうか。

疑問でした。

私はいつの間にか作り話には感じなくなっていました。


「僕は専門家に

それは治るようなものではないと言われました。」


「だけどその感覚の薄め方、対処法を教えてもらいました。」


私たちは続きを待ちました。

そこから彼は20秒ほど喋らず、

よく分からない表情をしていました。

笑顔に見えなくもありません。

それで私たちは話終えたことを理解しました。

雰囲気が有り途中までは

楽しく、不快に聞いていましたが、

作り話にしては

ひどい終わり方に私は少し不満で不快でした。

もう1人の聞き手も

少し恐怖を覚えたようですが不快そうです。


?、何だか、何か説明しがたい

違和感と不快感を感じました。


「僕の感覚分かったでしょう。」


彼が一言、言いました。

あぁ、話は終わっていなかったのだと、

私は不快感に胸を膨らませて耳をそばだてました。


?、何だか不快でした。


不快でした。


見えない何かが不快でした。


不快でした。

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