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Bitter Orange, in the Blaze.  作者: 紅崎ナヤ
四.あたたかな雨
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049.午前の不安



 結局、一同が宿にたどり着いたのは太陽が顔をだす直前のことだった。

 ピュラは部屋についた途端、文字通りベットに倒れこむ。

 服も着替えていなかったが、今は何も考えずに寝ていたかった。

 エディルは猶予が6日といっていた。

 だからきっと、まだ手はだしてこない筈だ。少しだけ気を抜くことは出来る……。

 スイッチが切れるようにして眠ってしまったピュラの横で、セルピは窓の外に視線を向けた。


 朝日が差し込む時間のことだ。

 夕方も朝方も、同じように太陽が地平線にあるのに橙色の濃さが違うのは、夕方の方が空気中の埃が多いからと聞いたことがあった。

 確かにそうだと思う。夕日よりもその光は淡く、そして爽やかだ。

 濃厚な色もなく、全てが鮮やかに照らされる。

 そういえば、こんな時間だったか。


 イシュトが、自分を起こしにきていたのは――。


 そうだ。まだ終わったわけではない。

 むしろこれがはじまりなのだ。

 だが、立ち向かっていけるはず。

(ピュラもスイも、クリュウもいるもんね)

 自分の力でこの世のシステムに抗えるかどうかの自信はない。

 むしろそれは無理と言った方が正しいかもしれない。それは言葉で表せぬほど大きなものなのだから……。

 しかし、今は彼らがいるのだから……。


 ひとつ、気がかりなことがあった。

 それはエスペシア家がナチャルアを狙っているということだ。

 自分が家にいたときから、その話は聞いたことがあった。

 家長であるエディルさえが動き出している故に、その話はかなりの規模をもっている。

 そして北に勢力をもつエスペシア家が、南に勢力をもつサドロワ家の範囲までに進行してきているということは……。

(貴族の家同士の関係が前以上に不安定になってるんだ……。戦争に発展しなければいいけど……)

 ただでさえ自分がいない状態で、エスペシア家内は混乱しているだろう。

 そこをサドロワ家がつけこまない筈がない。いつだって貴族は他の貴族の権力を奪って、高い地位につこうとするものなのだ。

(それにしても、そこまでしてナチャルアを狙うなんて。お父様は一体何を――)

 ナチャルアには古代から守られたものが存在するという。

 ミラースの古代。それは高度な文明に固められた、幻の時代だ。

 人は乗り物で空を飛び、海深くに潜り、夜でも煌々と明るい光が照らしていたという――。

 確かにその文明に携わるものが眠っていたとしたら――、それはとてつもない力の発見となるかもしれない。

 そしてその発掘を決定したということは、おそらくそれがなんであるかをエスペシア家が知ったからであろう。

 あの地下水路で出会った男、ネルナドはエスペシア家の侵略を阻止する為にピュラたちに言付を頼んだ。

 しかし、本当にナチャルアの者たちが貴族に勝てるのだろうか……。

 こちらもナチャルアに行くのだから、彼らと遭遇してしまうのは避けられない。

 だからといってここから逃げるわけにもいかない。仮にもピュラの命がかかっているのだ。


 ――ふと、ピュラは強いと、思う。

 どんな目の前の出来事にも物怖じせずに立ち向かっていける。

 この強さは一体何処からきているのだろうか。


(……眠いや)


 結局昨日は徹夜だった。

 既に思考もあまり回らなくなってきてしまっている。

 セルピは念の為にと窓の鍵を確認してから、ベットに入った。

 今はいい。なんだか緊張がとけて、とても疲れた――。

 また起きてから色々と考えよう。これからどうするのか、なにがおきるのか――。

 瞳を閉じれば、すぐに意識は眠りによって断たれる。

 滑るように意識は沈んでいった。

 今は、何も考えずに寝よう――。



 ***



 ざあっ、といささか強い風が草原を揺らす。

 山肌はほぼ草の若々しい緑に埋もれ、あちこちに岩が露出しているのが見えていた。

 その中には彫刻がされたり柱のようになっているものあったりして、古の文化を思わせる。

 様々な形をしたそれが、古い時代に何の意味をもつものだったのか、今の人々に知るすべはない。

 いつかそこにあって、そして夢のように消えてしまった時代……。

 何故、そんな高度な文明は幻のように消えてしまったのだろうか。

 その日の昼過ぎに出発してから、一同はこれからのことを話しながら進路を北西にとって進んでいた。


「きっと逃げてるだけじゃいつか捕まっちゃうよ。やっぱり家の人に納得してもらわなきゃいけないと思う」

「でも次に行ったらどうなるかわからないわ。あなたがそのまま無理矢理連れていかれる可能性もあるじゃない」

「ううん、そういうことはないと思うよ」

 上り坂を歩きながら、セルピは空を仰ぐ。

 驚くほどの青に澄んだ空……。

「ボクの封印魔法がやっかいだから。ボクが自分の意思で戻ることにならなきゃいけないと思うんだ」

 宙を飛んでいたクリュウは首を傾げた。

「セルピの意志で戻る?」

「うん。ボクを説得するか、それともボクが戻らなきゃいけなくなる状況を作るか……」

「戻らなきゃいけなくなる状況って……」

「例えば俺たちの誰かが人質になって脅迫されるとかだな」

「うん、そういうこと」

 セルピの態度にはどこか吹っ切れたものがあった。

 仲間を信用しているからこそ、物怖じすることがない。

 幼さに垣間見える、底知れぬ強さ……。

「それに、他にも色々と策を考えてると思う。だからボクとお父様、あと、イシュトと三人だけで話せる機会があればいいんだけど」

「イシュトも?」

 ふい、とセルピの瞳に僅かな影がさして、笑顔がわずかに歪んだ。

「イシュトは……すごく大切な人だから」

 ピュラの顔も少し沈んで静かな顔になる。

「……セルピ」

「……ん?」

「その……イシュトって人……」

 極めて低い音に威圧を感じて、セルピは少し身構える。

 ピュラは、真面目に聞いていた。

「恋人なの?」


 ――ごちんっっ!!


 セルピは、こけて頭を盛大に大地に打ちつけた。

「ちっ、ちがうよ~!」

「もしそうだったとしたらイシュトは結構趣味が危ないんじゃないか」

「ええ、私もてっきりそう思って」

「ちがうったら~!! ボクのお世話してくれたひとだよ~」

「はいはい、そういうことにしといてあげる。ならどうしましょうか。あなた一人で行かせるのは心もとないし、そもそも説得だけで動じるような人でもなさそうだったし……」

 ピュラは頬に手をあてて考え込む。

 仮にもエスペシア家の家長とその娘の専属使用人だけをおびきよせることなどは無理も同然だ。

 だからといってこちらから乗り込んだとしても、たった4人では貴族相手にかなうはずがないだろう。

「向こうからの追っ手を利用するとかは? ほら、刺客とかを捕まえてなんとかするとか……」

「相手はどんなことをしてくるかもわからないでしょ? ちょっとそれは危ないと思うわ」

「でもだからって妙案もないし……」

 よくよく考えなくとも、八方塞りであった。

 相手は普通では考えられないものなのだ。

 やはり巨大な組織の前で、彼らは袋のネズミでしかないのか――。

「――――うん」

 不意に頷いたピュラに、全員が視線を向けた。

「なにか思いついた?」

 ――ピュラはにこっと笑って、言った。


「ま、なるようになるわよ」


 クリュウは思わずバランスを失って地に落っこちた。

 しかし全く動じることなく、ピュラは人差し指を立ててみせる。

「敵がきたら返り討ち。あとは自分の命は自分で責任もって守ること! その他はその場その場で最良のことをすればいいのよ」

「そんな無茶な……」

 潰されたカエルのような声でクリュウが虚しい抗議を試みたが、ピュラが屈するはずもなかった。

「きっと待ってればチャンスは来るわ。それまで持ちこたえればいいのよ。スイ、グリムリーズの町まではあと何日?」

「4日もあればつくと思うが」

「よし。なら早めに通ってとっととナチャルアに行くわよ」

 ぱちん、と手を鳴らしてピュラは足を速める。

「ほらなにやってるの! 早く行くわよー!」

 クリュウは完全に脱力しながら宙に浮き沈みしていた。

「なんか緊張感がないよ……」

「でもでも、ピュラが正しいかもしれないよ? 今はそうするしかなさそうだし」

「確かにそうだな」

 よくよく考えなくとも、このメンバーに緊張感は似合わないかもしれなかった。

 クリュウは改めてそう思う。

 いや、むしろここで緊張があれば、不安に押しつぶされてしまっていたのかもしれないのだが――。

「大丈夫だよ。皆強いもん」

 セルピは、言った。

 その言葉には、微塵の揺らぎもなかった。



 ***



 この地方の空は、青い。

 空が青いというのは当たり前だと思っていたが、その地には本物の青が広がっていた。

 汚れのない、澄み渡った青。

 澄み渡りすぎた、青……。

 今どこかで、あの人もこの空を仰いでいるのだろうか?

 また、溜め息が零れる。

「イシュトさま」

 窓から空を仰いでいたイシュトは振り向いた。

 ふわりと揺れる茶がかった銀の髪。こざっぱりとした出で立ちに、やわらかな雰囲気が滲む。

 一瞬その姿にメイドはみとれてしまったのだが、我に返ると顔を赤くして言葉を続けた。

「あの、え、エディル様がお呼びでございます」

「ああ……わかりました、すぐに行きます」

 メイドは深々と一礼してその場を去った。

 後姿を見送って、イシュトはもう一度だけ窓の外に目をむける。

 この地方にしては随分立派な屋敷だと思ったが、エディルからこの辺りには大きな貴族の屋敷が多いのだと最近聞かされた。

 確かによく考えてみればそうだと思う。この地は宝石採掘で有名な地域であり、貿易で儲けようとする貴族も多いのだろう。


 軽く目を閉じて、夢想した。

 記憶の断片を探ればすぐにでてくる、情景の数々。

 張り詰めた冷たい空気の中で踊っていた雪の精。

 透き通るような白い肌。それによく映える艶やかな黒髪。朝の泉の煌きを宿した瞳。

 いつだって穏やかに微笑んでいた幼子。愛しい、いとしい……。


 この命にかえて護ると、誓った少女。


 そう思った瞬間、体中が毒に侵されたような痛みを感じた。

 突然消えてしまった雪の精。何もいわずにまるで手の平にのせた雪のように儚く消えた少女。

 血眼になって探した日々……。

 彼女を失ったという喪失感、それは自分の責任だという自己嫌悪。ただひとつできたことは、その子の無事を、祈るだけ……。

 少女と共に毎日のように礼拝に通っていた彼にとって、そのときほど祈るということが辛く歯痒いものだと思い知ったことはなかった。

 しかし驚いたのは、少女を自分に託したエディル自身がそのことを全く咎めなかったことだ。

 きっと解雇はまぬがれないと思った。極刑でもおかしくはなかったかもしれない。

 だがエディルは過去よりも未来を重んじる人間だった。

 必ず少女を取り戻すと。元あった場所に少女を戻すと。

 そしてそうするには、自分の力が必要なのだと――。

 彼を責める数多の人の反対をおしのけて、エディルはイシュトを自分の配下にした。

 それからはエディルの付き人をしながら、命をすり減らすような日々を送って、そして巡ってきた運命の時。

 まさかあんな場所で会うとは夢にも思っていなくて。

 彼女を見た瞬間は、本当に夢に迷い込んだかと思った。

 しかし――。

 現実は残酷なものとして、そこにあった。

 激しい拒絶。自らの意志を突き通す少女。

 そうだ、生まれてはじめて見た、親に逆らう彼女……。


 ――その名前でわたくしを呼ばないで!!


 胸が引きちぎられるかと思うほどに、悲鳴をあげる。

 何故このような事態になったか、わからない。

 彼女にあそこまで自分を拒絶させたものが何なのか、わからない。

 優しく微笑んでいた少女が、何故突然姿を消したのか、わからない。

 なにもわからない自分が、なんと腹立たしいことか……。

「……フィープ様」

 たった一人、護るべき少女の名を呟いて、目を開いた。

 相変わらずそこにあったのは、窓の外の晴れ晴れとした空。

 一つのかすみも汚れもない、青。

 美しすぎる、世界……。


「イシュトさま?」

「え?」

 ふと振り向けば、通りかかった自分の従者が首を傾げていた。

「どうなされたんですか、こんな場所で一人でいらっしゃって」

「ああ……窓の景色が綺麗だと思ってね」

 嘘だ。

 あの北の屋敷から見た景色の方がずっと美しい。

 従者の青年は心配そうにイシュトを見つめる。

「あまり気をもまないでください。あなたがそんな顔をしておられたら――」

 そこで、従者は切った。

 イシュトは笑う。いつだってかわらない、とろけるような微笑みを――。

「わかっているよ」

「申し訳ありません、出すぎた言葉を」

「気にしなくていい。じゃ、私はエディル様に呼ばれているから」

「はい、お待ちしております」

 従者はゆっくりと頭をさげた。

 イシュトも軽く会釈して、背をむける。

 胸に溜まるものを吐き出すように、溜め息をついた。

 それで痛みが消えることなどありえないと、知っていならがも――。

 足を、踏み出した。

 緋色の美しい絨毯。北にあった屋敷と同じ。

 雪の精が住んでいた場所と、同じ――。

 ただ、ここにはあの冷たい空気がない。

 張り詰めた氷のように美しく冷たい空気。


 ――いつか、またあの地で。


 ――小さな少女の付き人として。


 ――朝は一番に庭園で花を摘んで。


 ――礼拝堂で神に祈りを捧げて。


 ――その日の用事を刻むようにこなせられる時が、くるなら――。



 虚しさだけが、錆びついて残った。



「イシュト様は、お優しすぎるのです……」


 後ろで聞こえた呟きをイシュトは聞いただろうか。

 彼はそのまま歩き去る。

 せりあがる何かを抑えて、階段に向かった。

 すれ違う者たちに軽く会釈しながら、歩く。

 一つ一つの段差を上って、二階の廊下をまた歩く。

 瞳を伏せがちにして、客室に向かった。

 この屋敷はエスペシア家の所有物だと聞いた。エディルの親戚が住んでいるらしい。

 だからエディルは今、来客室にいる。

 イシュトは見上げるような大きな扉を軽くノックした。

「イシュトです」

「ああ」

 中から返事が聞こえたのを確認してから、扉を開く。

 視界に広がる広々とした部屋。エディルはその机に向かって書類の整理をしていた。

 横では使用人が何人かで身の回りのものを片付けている。もうすぐ出発せねばならないからだ。

 エディルの視線があがって、自分に向けられた。

 フィープと同じ、吸い込まれそうになる水色の瞳だ。

 彼は書類を脇によけると、周りのものに声をかける。

「はずしてくれるか」

「はい、ただいま」

 すぐに数人の使用人はエディルに一礼してから、部屋を去っていった。

 エスペシア家の家長といえばその権限は絶大なるものだ。少しでも粗相があれば首が飛びかねない。

 彼の言葉が彼らにとっての絶対なのだ。

 イシュトは扉が閉まったのを確認してから、静かに机の前まで歩いていって、深々と頭をさげた。

「座っていいぞ」

「ありがとうございます」

 もう一度頭をさげてから、エディルとは反対側の椅子に腰掛ける。

 背筋をぴんとはったまま、イシュトはエディルの瞳を見据えた。

 エディルは気だるげな溜め息を一つついてから、話をきりだす。

「フィープのことだ」

「……はい」

 フィープがこの地に来たということは極秘情報として扱われ、数人を除いて誰にも知らされていなかった。

 広い部屋には静かな緊張が漂う。

 エディルはふと書類の一枚を手にとって、眺めた。

「今日、密告がきてな。やはりサドロワ家もナチャルアを狙っている」

 すい、とイシュトの目が細くなる。わずかに空気が重くなっていた。

「やはり……。では、一度北に撤退して態勢を立て直した方がよろしいのでは? 予想外の難所が続く長旅で、皆にも疲れが見えます」

「ああ、確かに一度そうする必要があるかもしれん。しかし、今ここでフィープを見失えば次はいつ捕まえられるかもわからない。この不安定な時期だ、フィープはすぐにでも戻ってもらわねばならない」

「……フィープ様には」

「もちろん数名の配下に尾行させている。しかし頭のいい奴のことだ、そのことにもきっと気付いているだろうし、どこでまかれるかわかんだろう」

「……」

 イシュトは一度眼を伏せて、次の言葉を捜した。

「しかも、悪い知らせがまた重なっている。今さっき、届いた情報なんだが……」

 エディルの瞳に浮かぶのは闇。

 どこまで続いているのか、そしてそこになにがあるのかもわからない、暗闇……。

 イシュトはその言葉を片時も聞き逃さぬように耳をそばだてて、言葉を待った。


「フィープの失踪が、ウッドカーツ家に悟られたようだ」


 ぐん、と何かが体を圧縮するかのように押し付ける。

 その言葉を理解するのに数秒かかり、そして思考を再開するまでにまた数秒かかった。

「ウッドカーツ家に……!?」

「奴らに知られたということは、サドロワ家に、いや、全貴族にも筒抜けだろうな」

 冗談抜きで、一族の滅亡にも繋がる危機だった。

 一族の跡継ぎの失踪。それについての責任を問われ、次の跡継ぎ争いに口をだされ、そしてエスペシアの力がみるみる吸い取られていく。

 想像は、容易だった。

「緊急事態だ」

 絶句しているイシュトに、エディルは言った。

「フィープには数日以内に、確実に戻ってもらわねばならない」

 確実に。

 強調された言葉が、力を持っているかのように心を威圧する。

「猶予は6日といった。だが、それでは遅すぎる」

「では――」

 イシュトは言いかけて、その言葉を飲み込んだ。


 ――フィープを、裏切る気なのかと。


 もちろんエディルはそれを察知していた。静かにかぶりをふってみせる。

「一つ、やつを裏切らずに連れ戻せるかもしれない策がある。――お前に、それをしてもらいたい」

「…………?」

 怪訝な顔をするイシュトにエディルは軽く目配せをして、席を立った。

 窓辺まで歩いていって、窓を開け放つ。

 そこから見えるのは青。強くのびやかに広がる、青。


「さすがは私の子だ。旅の理由を伝えるが為に、自らこの地に飛び込んでくるとは――」


 イシュトはその後姿を見つめていた。

 一族の栄光も陰謀も、全てを背負ってきた、男の背中。

 たくましくも見え、それと同時に痛々しさも覚える――。


 エディルは、言った。


「……そしてどうしようもなく愚かな子だ」


 小さな戦慄が胸を駆け抜けて、ぴりっとかすかな電流が走った。



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