『 先端恐怖症 』
田舎の山の、奥の奥。
様々な発明や発見をし、人類の希望とまで呼ばれた畑山博士は、あの日からずっとそんな場所で暮らしていた。
「博士、貴方の体は病に蝕まれ深刻な状態にあるのです。早く都市部の病院に行きましょう」
説得し続けて何ヶ月が経っただろう。
頑固な博士は頑なに小屋を出ようとはせず、その間にも彼の体調は悪くなっていくばかり。
「都市部になど行かん。あんな苦しみ、二度と味わいたくないわい」
今日もダメ、か。
重度の先端恐怖症とは聞いていたけれど、これほどまでとは思わなかった。
「……ところでお前。都市部から十数時間はかかるはずのこの小屋に、毎日定時に来ているな?近くに泊まれる場所などない。一体どうやって」
「私が最新式のロボットだからです。太陽光さえあれば食事なんて要りませんし、夜中は庭先で休ませて貰ってます」
不思議そうに聞いてきた博士に、私はにっこりと笑いながら返した。
自分の失敗に気付くまで1.54秒。
博士が泡を吹いて倒れるまで、3秒。
最新式のロボットと知った瞬間に発作が起きるなんて、やっぱり『最先端技術恐怖症』は恐ろしいなぁ。