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おーかみさんとあたし  作者: あさかわ
2:ログハウスと新生活
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-15-

 

「これが食べられる草でこっちは…見たことないけど……おーかみさーん!」


 自分の事は自分でやる、そんな森での生活が板についてきた今日この頃。文明の利器の有無の差があるとはいえ、毎日家事に仕事にあたしや弟の世話にと目まぐるしく働いていたお母さんの有難みと偉大さをひしひしと感じつつ、野草を探して森の中。

 今回でもう三回目の野草ハンティングとなるわけだけれど、まだまだ知識が追いつかない。食用になるか判断がつかないものに関しては狼にその都度尋ねて確認するという作業が続いている。


「この草食べられる?なんかいい匂いするんだよね、生臭さとかとる香辛料になるんじゃないかと推理してるんだけど」


 尻尾を三度振る。

 一振りが肯定で二振りが否定なら、三振りは二択では答えられないという意思表示。


「んと、じゃあまずはこの草食べられる?………ということは臭い消しにはならないんだ。………もしかして火を通さないと食べちゃいけないヤツ…おお!正解!」


 こんな調子で確認しているものだから時間が経つのが結構早い。今回も結局籠いっぱいに野草を収穫することは出来なかった。知識が増えたと思えば、まぁ良いだろう。


「日が傾いてきたしそろそろ帰ろうか。今日の夕飯は鳥らしきものでダシをとったスープとパン、サラダにそれから干し肉だよ」


 狼に今日の献立を伝えると顔は澄ましたままなのに尻尾はちぎれんばかりにブンブンと反応する。どうやら狼は鳥ダシのスープがお気に入りのようだった。それに、しても。


「自分で言ってて切なくなるけど献立も飽きてきちゃったなぁ…………」


 食材といえば狼が狩ってきた鳥、豚、兎、たまに馬や牛のような生物。それから釣れた魚のようなものとこうして摘んできた野草。調味料も砂糖、塩、醤油、みりん等基本的なものが揃っていて助かっている。

 助かってはいるけれど。


「おこめたべたい」


 小麦粉も沢山ストックがあるからパン類、麺類だって作れる。

 けれどもやっぱり日本人としては、白米が食べたくなってしまうのが性である。しかも森に住む前から、城での数日間もパン食だったからもう一ヶ月近く米を口に入れていないのだ。


「おこめ…それにたまご……たまごかけごはん………」


 誰の持ち物か分からないログハウスに勝手に住まい、そのうえ食料やら何やら勝手に拝借して生活している身分でありながら我儘を言っているのは分かっているけれど。


「もうこの際見た目が違うとかどうでもいい、お米食べたい切実に。卵だって食べたいし牛乳も飲みたい!!それから野草だけじゃなくてニンジンとかゴボウとか大根とか、根菜だって食べたぁあい!!!!」

「ウォウンッ!?」


 突然叫んだことにより前を歩いていた狼が驚いてこちらを振り向く。


「おーかみさん!」

「グル」

「この世界には白米ないの?米っていうのはね、まって地面に書くから―――こういう水が張られた田んぼっていう畑のような場所で育てられる植物でね――」


 手近にあった木の棒を使い地面にガリガリと絵を描いて説明していく。すると狼は心当たりがあるのか低いうなり声をあげた。


「よし、米は存在していると。それってこの森にもある?………よっしゃぁあ!なら明日はそこに連れて行って!そうだよ、最初から目当ての野菜が存在してるかどうかおーかみさんに聞けば良かったんじゃん」


 知識が増えることに越したことはないが、なんとも面倒くさいことをしていたのだろう。ともあれもしかしたら明日は白米にありつけるかもしれない。

 そう考えれば足の疲れも少し軽くなったような気がした。

 

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