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おーかみさんとあたし  作者: あさかわ
2:ログハウスと新生活
12/15

-12- 残酷描写有?

※動物(化物)が死んでいる描写があります※

 

 チュンチュチュチュンとスズメの囀りが聞こえてくる。

 スズメの声が聞こえるということは朝か。あれ、今日って何曜日だっけ?もしかして遅刻?目覚ましセットするの忘れてた!!!


「あ……っ」


 慌ててベッドから飛び起きればそこは見慣れない部屋。

 そうだ、何が遅刻だ。

 懐かしい鳥の囀りに久しぶりだったふかふかベッドでの睡眠。この二つの要素で元の世界にいるんだと錯覚してしまった。


「おーかみさんが居ない」


 ベッドと反対の壁際を陣取っていた狼が見当たらない。あたしが昨日倒れていたダイニングと勝手に使った風呂場、それから物置部屋らしき場所にお手洗いとログハウスの隅々を探索してみたけれど、狼の姿は見つからない。


「まさか誰かに見つかって」


 最悪の想像に居てもたってもいられなくなって、玄関を少しだけ開き外の様子を窺ってみる。


「うわぁ……!!!!」


 外は、一面豊かな緑に囲まれた森だった。

 勿論ログハウスには窓があって、そこから外を見ることが出来る。けれど昨日は外の景色を見る余裕なんてなくて、狼に導かれるままご飯を食べてお風呂に入って寝る、という行動をとっていた為にここまで草木が生い茂る森であると分からなかった。


「普通の鳥だ」


 近くの木の枝には鳩が羽を休めている。よく見ると鳩だけじゃない、スズメやカラス。カッコウ、ホトトギス、ツバメといった鳥たちが季節感や縄張り意識を無視して空を飛んだり木に止まっていた。


「おーい、鳥さん達や。おーかみさんが何処に行ったか―――っとおーかみさん」


 狼と意思疎通が出来ているような感じがするから、鳥とも出来るんじゃあないかと木に向かって手を振って声を掛けてみる。と、横からツンツンと探していた狼に鼻でつつかれた。


「おはようおーかみさん」


 挨拶代わりに鼻をこすりつけてくる。


「こんな朝っぱら……いや、時計無いから朝か分かんないけど。一体何処に行ってきたの?」

「ウォッ」

「こっち来いって?」


 昨日と同じように服を引っ張られる形で誘導された先には。


「ひぎゃっ!!?ここここれって城にいた豚みたいな怪物じゃんか……死んでるみたいだけど、これがどうし―――まさか」


 狼が狩った?


「俺の功績を称えよって?」


 よくよく狼を見てみるとお座りの状態で若干胸を張っているようにも見えなくない。

 確かに肉食だし、野生…?おそらく野生だし、狩りなんて日常茶飯事なんだろうけれど。


「というか何故それをあたしに見せる必要が……って待って!ちょちょちょこっちに持ってこないでまだ心の準備ってもんが!!」

「ワゥ?」


 やるよ、といった風に豚みたいな怪物の死骸を引きずりながらあたしの方へと寄ってくる狼。獲物を近くでみて称えろって事なのか。でもこれ解釈間違えたら獲物を分け与えてやるって意味に…意味に……?


「もしかしてその豚のようなもの、あたしの為に?」


 死骸とあたしを交互に指差し往復して狼に確認をとってみると、狼はこくりと頷いた。

 昨日の行動といい、今のことといい。


「おーかみさん、あたしの世話してくれてるの」


 その言葉の意味は狼には分からなかったのか答えてはくれなかったけれど、代わりに再度死骸を引きずって近づいてきた。


「ううう……豚じゃないとはいえ生きてたものだし、それに禍々しい見た目からしてとても食用には思えないから食べるの気が引けるんだけど………折角おーかみさんが狩ってきてくれたんだもんね」


 それに命は粗末にするものじゃないって言うし。

 この命を食べる為に奪ったというのなら、食べずにいるのは命への冒涜だ。


「と、いっても豚を……動物解体したことないから自信ないなぁ」


 狼を探すついでにログハウスには生活する為に必要なものが最低限揃っていることを確認してある。

 鉈と大きな包丁でどうにかなれば良いんだけれど。


「解体サポート宜しくね」


 任せろと言わんばかりに尻尾が大きく揺れたのが視界の隅に入った。

 

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