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魔王様の溜息  作者: 黒筆猫
第1章 ここってどこ?
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 目が覚めたら夜空が見えました。これはどう言う事でしょう?


 視界のはしには、木の枝らしきものが見えます。


 どこかの森の中で寝ていたようです。


 よく見ると月に違和感があります。何かが違うような気がします。


 判りました。模様が違います。兎の餅つきに見えません。何と言うか鳥が飛んでいる所を真上から見たような感じに見えます。


 確か月は世界のどこから見ても、違いはないはずです。


 私は病院で死んだはずです。死後の世界のいうやつでしょうか?


 起きて周囲を確認しようとして、手をつこうとしたときです。手の位置がおかしいです。この辺りという感覚よりも、ずっと近い位置に手がきたような気がします。


 気になったので手を見てみました。


「・・・・・・あれ?」


 びっくりしました。


 子供の手です。かわいらしい、つるつるとした、小さな手がありました。しかも、声も子供の声でした。あわてて上半身を起こし、体を見てみます。


「え?」


 子供の体です。しかも裸です・・・


「うそっうそっうそっ!やだ!何か隠す物ないのっ?」


 びっくりです。シーツのような布がいきなり出てきて、体を隠しましたのです。隠す物として、イメージした物そのものでした。


「もしかして私が出したのかな?」


 試しにいつも使っていた手鏡をイメージしてみます。


「手鏡出ろ」


 出ました!


 またもやびっくりです!死後の世界は何でも有りなんでしょうか?


 せっかく出したので、手鏡で顔を確認してみました。


 なんと言うのでしょうか?小さな頃の私の顔、大体5歳くらいの頃なのは間違いないのですが、ちょっと違いました。各パーツは私の物なのに、どことなく違ってすごく可愛いのです。髪の毛は腰の辺りまであって、さらさらとしてすごい光沢があります。しかも肌が健康的なんだけど、透けるような白さで、自分で見てもうっとりしそうです。


「うわ~、可愛い」


 美幼女ですね。


 ついつい、自分の顔だというのに見とれてしまいました。


「いけない、いけない」


 それにしても、ここはいったい何処なのでしょうか?


 見回してみると、歪にねじれた木が沢山あるだけです。


 私は、サンダルを出して履き、木に近づいてさわって見ました。


 木にさわると、自分の体の中から何かが流れ出していくような感覚に襲われました。それと一緒に木がまっすぐになり、瑞々しくなっていきました。


「これって・・・私がやったのかな?」


 隣の木にもさわってみます。やっぱり同じようになりました。


「やっぱり私みたい」


 私の体はどうなってしまったんでしょう?


 何本かの木にさわって行くうちに、なんとなく感覚がわかってきました。試しに、体の中の何かをたくさん外に出してみました。


 さわってもいなかった木が、同じようにまっすぐに瑞々しくなっていきます。しばらく変わった木々を見ながら、ぼーっとしていたみたいです。


 遠くから何かが近づいてくるのが判りました。どうしてそんな事が判るんでしょう?


 すごいスピードで近づいてきます。こんな知らない場所で、何が来るかもわからないのに、全然怖くありません。不思議です。


 そのうち、何かが近くまで来ました。オオカミです!10頭もいます。それなのに怖いというよりも可愛く感じます。一番大きなのは、今の私の背よりも高いのにです。


「お願いします。魔力の放出を抑えてはいただけませんか?」


 今日一番のびっくりです!!


 オオカミが喋りました!!そういえば何か言っていましたね、魔力でしたか。


「魔力?」


「はい、そのように強い魔力では、我々は近づけません」


 近づいて何をしようというのでしょうか?


「近づいて、何をするの?」


「お運びするのに、近づけなくてはどうしようもありません」


 何故でしょうか、運ぶといわれて怖いとは感じませんでした。多分さっき木を変化させるのに放出した何かを、抑えればいいのだと思いました。


「んっ」


 ちょっと前までは全然出ていなかったのに、抑えるのにすごく苦労しました。


「ありがとうございます陛下。それでは城までお運びさせていただきますので、私の背にお乗りください」


 ん?今何か言っていませんでしたか?


「あの、陛下って?」


「はい。魔王陛下、お乗りください」


 ま・お・う・へ・い・か・?


 私を指差し聞いてみます。


「魔王陛下?」


「はい」


どうやらここは、あの世とはちょっと違うようです。

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