表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王様の溜息  作者: 黒筆猫
第5章 魔王領の経済と使者
19/26

 2人でそんなやり取りをしていたら、シャーナンがやって来ました。


 ちょっと焦ってるのかな? 珍しくドアをノックした後、返事も聞かないで入って来て、足早に私の前に立ちます。


「ミナ様、南の海岸、神の背骨付近に人間の船が来ています」


 えっ?


 人間の・・・船?


 船だから・・・えーと・・・・・・あれ?


「海って、海洋にすむ魔族がいて、人間は来ないんじゃなかった?」


「ミナ様が、前に仰ったでしょう。人間に手を出すなと」


 あれ?


 そかそか、むやみに人間に手を出すなって、言いましたね。じゃなくて、それよりも!


「まさか、攻撃されてるとかないよねっ?!」


「はい、それは有りません」


 よかった~。じゃあ、何で人間が来たのかな?


「それで、その船の人間たちの様子は?」


「それが、2人が小船に乗り、妙な旗を振っては戻るそうで」


「なにそれ?」


 旗を振る?


「その旗の色は、緑ですか?」


 いつの間にか立ち上がっていたアヴァが、眼鏡をいじりながら聞いてきました。


「いえ、それは聞いていませんね。緑だと何か意味が?」


 何か意味があるんでしょうか?


「人間の国で、武器を持たず緑の旗を振るのは、『戦闘の意思無し、面談を請う』という意味があります」


「人間から交渉?」


 そんな事が有り得るんでしょうか?







 結論から言います。大陸の南西にある群島のシーリン国、つまり海洋と商業の国と言われている所ですが、そこからの外交特使が来ました。


 私はまだ会ってませんけどね。


 どうも、シーリンの人間達は、魔族に運ばれるのは怖いそうで、自分たちで用意した馬車に乗って移動したいそうです。馬まで船に乗せるって、普通じゃないと思うんですけどね。先導役は、こちらの魔族がしています。


 そんな状況でして、ただ今、私と四魔大公に補佐官のアヴァで会議をする所です。


「それで使者は、なんて言って来たの?」


 人間を相手にするのに慣れていて、怖がらせる事がない様に魔人族に現地での対応は任せました。


「評議会と言う所の書状を持ってきているので、ミナ様へお目通り願いたいということです」


 人型のおさであるイルが答えてくれました。


「アヴァ、評議会って言うのはなんなの?」


「シーリン国では、五島の領主である、ハーゼント家、ボルドン家、ケンメルス家、ジェルキスタ家、エスメンタ家の合議制で、それを評議会と呼んでいます」


 つまり、国会や内閣みたいなものかな?


「人間達の様子は?」


 監視と報告は飛ぶのが速い、翼持ちの魔族が担当しているので、サーナが報告してくれます。


「使者の者は、馬車から顔を出しませんので、判りません。外にいる護衛が6名、馬に乗って同行していますが、かなり警戒しているようです」


 う~ん。護衛と先導役大丈夫かな?


「先導役と護衛とで、何か争いとか起きたりしない?」


「温和なものを選びましたので、相手が何かしない限り大丈夫でしょう」


 ガリアがそう言うので、多分大丈夫でしょう。


「後、人間達が到着するまでにやっておく事って有るかな?」


「すぐに追い返すと言うわけにも行かないでしょうから部屋の準備、それと何が起きるか判りません。監視のものも必要でしょう」


 さすがシャーナンです。相手は馬車で移動しているので、ここに到着するまで三日は掛かるそうなので、準備をしておきましょう。


「じゃあ、部屋の準備はシャーナンお願いね。それと、対応するのは出来るだけ人間の方がいいでしょうから、その手配をやっておいてね。アヴァ」


「畏まりました」「承りました」


 アハーナンとアヴァが返事をする。そう言えば、一回くらい食事に招待した方がいいのかな? それとも客人なら居る間はずっと一緒に食事をしないといけないのかな?


「ねえアヴァ」


「ない、何でしょう」


「こう言う時って人間の国では、客人との食事ってどうなるの?」


「そうですね、普通は初日の夕食には招待するのが常識で、その後は滞在期間にもよりますが、親しい者なら毎日、それ以外は相手の地位によりますね、今回は特使と言う事なので、そうですね・・・出来れば3日に1回はお呼びした方がいいですね」


「「「「3日に1回だとっ!(ですってっ!)」」」」


 私が答えるより早く、魔大公達が叫びました。何か驚くような所って有りましたか?


 それにしても、1人で特使と食事と言うのも緊張しそうですね。


「特使と食事の時は、みんなも一緒に居てくれない?」


 首をかしげながらお願いしました。


「「「「喜んでっ!!」」」」


 4人とも身を乗り出して、答えてくれました。領内の人間はともかく、外の人間と言うのが心配なのかな?


 私がまだまだ魔力に振り回されて、生活魔法くらいしか使えないから心配なんでしょうね。


 人間が来るまでの準備はこんなものでしょうか?


 無い様なので解散します。


 今日の仕事はこれで終わりですね。


 シャーナンに抱っこしてもらいながら考えます。早く魔法が上手く使えるようになって、みんなを心配させないようにしたいですね。


 ついでに、早く体も成長したいです。


「はぁ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ