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魔王様の溜息  作者: 黒筆猫
第5章 魔王領の経済と使者
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 お金を稼ぐのって、大変ですね。


 魔王になって7年が経ちました。ちなみに私の体は、一切成長していないそうです・・・・・・服のサイズが変わってないんですよ。あぅ~


 アヴァにお金になるようなものを探してもらったんですが、中々見つかりません。


 魔晶石ですか? 先代の欠片は無くなってしまいまして、私が満タンにしたものは、危険すぎて売れないそうです。どう危険なのか? 始めはドワーフさんに給金として渡したんですよ。それをみるなりドワーフさんが『(松田○作風に)なんじゃこりゃぁ!!』と叫んだそうで、詳しく聞くと、私の魔晶石では強力すぎて、使いこなせないそうです。無理に使おうとすると、魔力が供給され過ぎてて受け止めきれずに、最善で死亡、最悪で辺り一帯巻き込んで自爆だそうで・・・売れませんよね?


 とんだ落とし穴です。しばらく悩んだんですが、これもアヴァがいい案を出してくれました。私の魔晶石を満タンになる前に取っちゃえばいいんですよっ! 試しにそれで外して砕いた物を見てもらった所、ドワーフさんにOKを貰いました。そんなわけで、魔晶石は何とかなったんですが、それに頼りすぎてはいけないと思うので、何とかこう魔王領の特産品を作って、魔晶石はあくまでも補助になる様にしたいと思っています。


 始めは魔王領にある特有の果物とかどうかと思ったんですが、食料にしている魔族が意外に多くて売るほどには無いそうです。植樹をしたとしても、実がなるには10年とか、長いものは100年はかかるそうで・・・つまりすぐにはお金にならないそうです。一応は種を植えたりもして、成長を待っていますけどね。


 やっと最近、宝石や鉱石の鉱山は見つかりましたが、魔族に採掘の技術が有ると思いますか? 有るわけないですよね。と言う事で、ドワーフに掘ってもらって、採掘料だけ貰う方法はどうかな? ってアヴァに聞いてみました。


 採掘料という考えがこの世界には無かったそうで、驚かれましたが、有りなんじゃないかということで、魔大公のお抱えドワーフに交渉相手を探してもらっています。


 最近の人間の村では、乳牛の飼育と乳製品の製造販売だけになりました。アヴァが言ったんですよ、『多種の作物を育てながら、牛を飼いその乳を加工するのは効率が悪すぎます。それなら、魔王領にしかない牛の乳の加工品だけを作って、販売し、その収益で食糧を買った方がいいのではないですか?』


 そう言われればそうですよね?


 ちなみに労働形態は、月の休みが9日で最低必要人数が確保出来ているなら10日前までに登録しておけば休めます。最大3連休まで取ってもいい事にしました。別に長期休暇を年末年始の15日間を休みにしました。この世界って週の概念が無いから日曜日が休みとか決めにくかったんですよね。


 販売も人間たちが行商人に偽装して行い、何処で作っているのかは秘密にしています。


 そんな人間の村ですが、例の女性で釣って三男以下の男を釣ろう作戦が上手くいって、男女比が1:1になりました。人口が約150人です。


 え? 元々残ったのは50人位だったんだから、100人じゃないか? はい、それで間違いないですよ。子供が産まれてるんですよ。あと、クルーが実家の家族を呼んで移住したり、アヴァが幼馴染にプロポーズして連れて来たりしたんですよ。


 クルーは魔界の果物とかを見せたら、ここは食材の宝庫じゃねえかーっ!って言って、料理の研究のために休みでも、魔王領に居たいらしくて、でも実家の両親が心配で、なら、両親もここに呼べばいいじゃねえかっ! と言う結論に至ったそうです。それでこっちに来る両親も凄いと思いませんか?


 アヴァは、昔からその幼馴染が好きで、養っていける収入のために役人になったそうです。でも、罪を着せられたり、魔族にさらわれたりして、半分諦めてたそうですけど、その幼馴染の彼女がまだ結婚していないと言うのを知ったら我慢できなくなって、私から強引に休暇を取ってプロポーズをしに帰ったんですよ。


 結婚したあと、彼女に会わせて貰ったんですが、魔族にさらわれてきた人と比べれば普通の顔立ちですが、ほんわりとした、一緒にいると和めそうな雰囲気の人でした。お名前はマリシアと言うそうです。


 そんなわけで、結婚をして子供がいる人も増えてきたので、託児所と学校をどうにかして作りたいと思っている所です。





「と言うわけで、託児所と学校を作りたいのよ」


「何が『と言うわけ』なのかは判りませんが、託児所と言うのは聞いたことがありませんね。それと学校はどの段階まで教えるのですか?」


 執務室にいるアヴァが答えた(補佐官にした時、執務室の私の机の右側にアヴァ用の机を用意しました)。残念、以心伝心には程遠いようです。


「託児所は、集団で子守をする施設で、学校って段階あるの?」


 アヴァは眼鏡(視力矯正用じゃなくて、私が時々押さえ忘れる魅了避けの魔法具なんですよ)の縁を持って位置を調整している。これは彼の最近よくやるようになった、考え事をする時の癖みたい。


「託児所の意味はわかりました、それと学校は、読み書きと単純な計算程度を教えるものから歴史や各国の税や商法を教えるものまで様々ですね」


「ん~っとね、今の魔王領でお金を一番稼いでるのが乳製品なんだけど、女の人が子供を背負いながら働いてるでしょ? 作業中に子供が泣いて、あやすのに手が止まったりして加工に失敗することもあるわけで、もったいないじゃない? だから、まだ手の離せない母親は休ませるか、子供をどこかに預けさせたいのよ。で、学校はアヴァが中々使えるし忙しそうだから、その補佐や引退後の跡継ぎを教育出来る位がいいな」


「そうですか・・・託児所を作るとして、その子守の担当が必要でしょう。役人が出来る程の者を教育するには、人間のそれぞれの国で1ヵ所づつ有る程度ですので、1から作るのはかなり厳しいですね」


 ん~、大陸で4校位の学校ですかアヴァって、実は優秀だったんですね。それはともかく、そう言う学校なら、それぞれ専門の先生が学科を担当するでしょうし、スカウトしても了承してもらえる可能性は無いも同然でょうね。


「学校は無理かな~?」


「読み書きと、簡単な計算ならマリシアが教えることが出来ますよ」


 なんとっ!


「どういうこと?」


 アヴァが眼鏡の中央の繋ぎ目辺りを指で押し上げている。これは、自慢したい時の仕草なんですよ。


「ええ、家内は故郷で子供達に教える仕事をしていたのですよ」


 あー、来ましたよ。奥さん自慢がっ! アヴァの悪い癖が出ましたよ。これが始まるともう、長いったらないんですよ。今日の料理はクルーの作る物より美味しかったとか、昨日は仕事が遅かったのに寝ないで待ってくれていたとか、もうね、この世界はバカップルしか居ないのかとっ!?


「しかもですねっ! 家内は・・・」


 強引に止めますよっ!


 魔力をじわじわと放出して行きます。ついでに魅了も開放しちゃいます。


「・・・・・・」


 ほ~ら、黙りました。




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