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クルー・ウィック(最近はクルーと呼んでいます)が来てから、もう2年半も経ちました。
私がここに生まれて、3年になるって事ですね。
生クリームとバターの作り方をクルーに説明したら、嬉々としていろいろな料理に試していました。
アイスクリームやパフェ(食べ物を冷やすのは生活魔法で簡単に出来るそうです)、クッキーとか、美味しいものが増えて嬉しいですよ。
私も、乳製品を使った食品に何が使われているかは知っていましたが、手順や分量はわからなかったので、初めは失敗もありましたが、最近ではクリームチーズも安定して作れるようになりました。
普通はレンネットを取るのに牛を殺さなければいけないのですが、さすがは魔法がある世界です。動けなくしてから、お腹を切り開き、胃液を取ったら魔法で治療をすると、すぐに歩き出すんですよ。
最近はお金儲けの為に、バターの販売もしています。おかげで最近人手が足りません。ついでに、ここにいる人間は女性の方が多いので結婚相手がいなくて、何とかなりませんか? と相談されています。
私の補佐官をしているアヴァ(アヴァンドの事です。最近こう呼んでます)に相談した所、婿入り先の無い農家の三男辺りをスカウトしてはどうかと言われました。
農家の三男以降(次男は予備としてキープされるらしいです)は、女の子供しかいない農家の婿になるか兵士になるか、料理人になるかで結構大変らしいです。魔族にさらわれるように女性は綺麗な人が多いので、女性で釣ってしまいましょうなんて言って、実際に何人か成功しているようです。
アヴァ、おぬしも悪よのう、と冗談で言ったら、『魔王様の訓示のおかげです』と返されてしまいました。意外と冗談も好きなようです。
そんな感じで、私の食事事情は充実しているんですが、最近、私の真似をして食事をする魔族が増えています。クルーに料理を教わる魔族までいて、人間たちの農場だけでは、食料が足りなくなってきました。
その分を、人間の国から買うんですけど、魔王領には今の所、魔晶石とバターくらいしか売れるものが無いので、なにか無いかアヴァに探させています。
せっかく充実してきた食事ですが、お金を稼ぐ手段が必要になりました。
国って難しいです。
「はぁ」
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