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バカップルは周りに気を使うべきだと思います!!
あっ、すいません。
もうね聞いてくださいよ。例の、エダさんとバーフェルドさんの事ですけどね。バーフェルドさんが到着してから、謁見の間に来て貰ったんですよ。ほら、人間には私の魔力が威圧を感じるものになるって話も、有ったじゃないですか。でもね、私だって詳しい話を聞きたかったんですよ。
乙女に恋バナは栄養なんですよ?
幼女が言うな?
大丈夫です。17歳までの記憶があるので十分乙女です!
話がずれました。
コホンッ
エダさんにはきついかも知れないと思って、シャーナンとサーナの2人に私の魔力を抑える、結界みたいな物を張ってもらいました。それでも人間にはきついらしいですけどね。でも逆に考えたら、魔族の実力者が3人もいるって事なんですよ。話を聞こうとした時に気が付いたんですよ。
いやぁ、恋する乙女は強いですね。20代は乙女じゃない?
大丈夫です。エダさんって実は16歳なのでした~。うう、あんなに大人っぽくて16歳、昔の私よりも大人っぽくて、その、あのっ、つまりですね、そうあれっ!いたしちゃってるわけですよ!!
すいません、少し取り乱しました。こう言う話題には慣れません。話がまたずれましたね。
まあとにかく、2人にどうしたいのか聞いたわけですよ。
バーフェルドさんは
「叶うならば、この者を手元に置くことをお許しいただきたく・・・」
と、緊張気味に言うわけです。魔族にとっては魔王と言うのは絶対ですから、人間を帰すという私の言う事に、逆らうのはかなり勇気のいることらしいです。
私としては2人同意の事なら、別にどうこう言うこともないので、許すことで何か問題がないか、ちょっと考えていたわけですよ。ほら、帰す人間の生活費の事とかあったじゃないですか。簡単に許可して、何か問題が起きて慌てたくなかったんですよ。それが良くなかったみたいで、こう、『私のの決めたことに逆らうとは、許せん!!』という感じに見えたそうです。
そうしたらいきなりですよ。
「バーフェルド様は悪くありません!私が勝手にお慕いしているだけなんです!!」
とか、エダさんがいきなり、言い出したわけですよ。いや、どう見ても両思いでしょ?
そんな感じで、こっちもびっくりと言うか、口を挟む隙もないと言う感じで、告白をした時の事とか、『初めてのキスは』どうとか、その、えっと、『初めての夜が』どうとか、止まらないわけです。
正直、途中から聞いてるこっちが恥ずかしいの何の。
しかも、それを聞いた、バーフェルドさんも負けじと、『実は初めて見た時から』とか、『徐々に大人になっていく君を見て』どうとか、『もう少し大人になるまで待つ気が』どうたらとか、えっと、あの、それで、『夜の恥らう君は』どうしたらと、止まらないったら止まらないわけです。
はっきり言って、途中から惚気になっていました。最後の方は、このバカップルめっ!そう思っても仕方ないですよね?
怒りで私の魔力が放出されて、シャーナンとサーナの2人でも抑えきれなくなって、その魔力に当てられたバカップルが正気に戻るまで惚気は続きました。
どう見ても、この2人を引き離す方が悪役にしか見えないので、許すとして、どうにも気になったことがあるんですよ。
「もういい、2人が好き合ってるのは良くわかりました。でも人間と魔族とじゃ寿命がちがうのよ。それはどうするの?」
そう、バーフェルドさんはサーナの従弟だけあって魔力が高い。魔族の寿命は魔力の高さによって決まります。つまり、長生きなんですね。やっぱり女としては、自分が老いて行くのに相手は若いままと言うのは、かなり、かなーりの問題なわけです。そこの所を聞いたわけです。
そりたら、バーフェルドさん、固い意志を感じさせる表情でこう言いました。
「決めました、エダが望むなら契約します」
あとで詳しく聞いた所によると、この『契約』って言うのは、『命の契約』と言って、お互いの命と魔力を共有するんだそうです。寿命の短い種族と結婚して、相手が先に死んでしまうのが耐えられない、竜族や魔族が開発した儀式だそうです。当然ですが、自分の寿命や魔力を分け与えることになるので、魔力至上主義の魔族にとっては、かなりの重大決心です。
当然、従兄であるサーナは、その魔力を人間に与えるなど正気か?とか、私そっちのけで、説得しようとしています。
そんなことを言ってもバカップルが言うことを聞くはずもなく。『そんな、バーフェルド様の寿命をいただくなんて』とか、『君を失うことに耐えられない』とか、『バーフェルド様と何時までも一緒にいたい』とか、『フェルと呼んでくれ』とか、『フェル様・・・』とか、『様はいらない』とか、またもや、バカップル空間が出来てしまいました。
もう、怒りを通り越して、飽きれてしまいました。
もう勝手にしてください。と言うことで、2人を残して解散にしました。末永くお幸せに。
昔の偉い人は言いました。
『恋はどんな薬草でも癒せない』