表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

第3話 対価

第3話です!

「……はぁ、……はぁ……っ」


 古代守衛ガーディアンたちが沈黙し、静寂が戻った祭壇で、私はその場に膝をついた。

 立っていられない。全身の筋肉から芯が抜け、鉛を流し込まれたような凄まじい倦怠感が襲う。視界がチカチカと火花を散らし、指先一つ動かすのにも、激痛に近い疲労が走った。


「おっと、大丈夫? ……あはっ、やっぱり『今の人間』には、俺を実体化させるのは少し荷が重かったかな」


 目の前で、実体化したカリウスがケラケラと笑いながら、私の顔を覗き込む。

 ウィッチハットの影から覗く黄金の瞳は、私の魔力を吸い取ってさらに艶やかに輝いていた。


「……あんた、……何を……」


「俺の魔法は、あんたの『魔力エネルギー』を燃料にしてるんだよ。俺の身体は封印されてて魔法使えないからね。……あんなガラクタをお掃除するだけで、お嬢ちゃんの貯蔵庫はもう空っぽみたいだね。……可愛いなぁ、そんなにボロボロになって」


「……ひどい、じゃない……っ! 勝手に私の魔力使わないで、よねっ……!?」


 絞り出した声は、自分でも驚くほど掠れていた。

 カリウスは私の頬を冷たい指先で撫でると、耳元で悪魔のように囁く。


「あはは、ごめんごめん。でもさ、お嬢ちゃんが俺を抜いたんだろう? 俺を抜いた時点でもう、お嬢ちゃんの魔力は俺のものになったってことだ。……俺を握るってのは、そういうことだよ?」


「……なっ」


 言い返そうとした私の視界の中で、彼の輪郭がふわりと滲み始めた。

 指先の先から、光の粒子となって風に溶けていく。魔力の供給が途絶え、実体を維持する「枷」が外れようとしていた。


「おっと、もう実体化解けちゃうのか。……名残惜しいね。 ……あはは、またこの姿で会おうね、お嬢ちゃん」


 陽炎のように揺らめき、透き通っていった彼の身体が、最後の一粒まで空間に溶け落ちる。


───ガシャンッ!


 後に残されたのは、祭壇の石床に無機質に転がった、一振りの輝く「剣」だけだった。


 私は震える手でそれを掴み、無理やり背負い袋に押し込んだ。


「これだけの、大物……。せっかく手に入れたんだ……絶対に、高く、売ってやる……!」


 意識が遠のく中、私は這うようにして遺跡を後にした。

 背中のバッグから、小さく、けれど愉しそうな笑い声が、私の意識を繋ぎ止めるように鳴った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ