最終話 姫様の帰還
何度か深呼吸をして、落ち着いたヒナタはユキさんを見つめる。手も肩も震えているその立ち姿には、確かに王族らしい威厳があった。
「この世界の文明は確かに優れているわ。でもね、私は、あの世界が好きなの………」
ヒナタがそう言った後、女王様はユキさんの側にいき、抱きしめた。
「ごめんなさいユキ………私があなたの気持ちにもっとはやく気付けていれば良かったのに」
「そう………ですか。申し訳ございません………。ただ私は………いえ、姫様の気持ちを………踏みにじってしまいました………」
ユキさんはへたり込み、放心している。きっと彼女にとって今回の行動は百パーセント姫様と女王様のためにしたことだったのだろう。
「ミルク、迎えにきてくれてありがとう。さ、もう帰りましょ。私達の世界に」
姫様は私の手を取り、「それとも、ミルクはこっちの世界の方が好き?」と耳打ちした。私は姫様の手を取り返し反対の手で胸を叩いた。
「そんなことありませんよ姫様。早く私達の世界に帰って、一緒に魔法の訓練をしたいです………………といっても、姫様」
そういえば行きは水晶を通ってきたけれど。
「どうやって夢世界へ帰りましょう?」
そう………忘れていたが、帰る手段が無いのだ。姫様も困惑している。うう、そんな後先考えずに行動した間抜けを見るような目で見ないでください姫様ぁ………,
「それなら心配ございません。こちらの夢世界の水晶を使えば、行きと同じように帰れますよ」
ユキさんは水晶を女王様に渡した。しかし、すぐに女王様は姫様にそれを渡す。
「私は、もう少しユキと共に過ごします。老い先短いユキの最期を見届けたいのです。親友として」
女王様の言葉にユキさんは泣いて喜んでいた。
私と姫様は、2人に見送られながら夢世界を映し出した水晶へ入っていった。その途中で「またね母様!」という姫様の声が聞こえた気がした。
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「わあああああ!」
「姫様が戻ってきたぞ!!」
夢世界の到着と同時に歓声が上がる。そういえば、ヒナタはいつのまにか姫様の記憶を取り戻していた。皆の泣きじゃくる顔と、それに囲まれる姫様を見て、皆姫様が大好きだと伝わってきた。良かったね姫様!と私も嬉しくなる。
こうして皆に喜ばれながら、私の夢世界では三十分の姫様探しの旅は終わったのだった。
完結です!読んでいただきありがとうございました!




