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第六話 行動の理由

 女王様に向かってユキミさんは微笑みを浮かべながら話しかける。

「やっと気付いてくださったのですね。はい、そうです。あなた様の使用人の ユキ でございます。ずっと心配しておりました。この30年間、私はずっと親友という立場で側にいたというのに。全く気付く素振りもないのですから」

 ユキミさん、もといユキさんは悪びれるどころか喜んだ。女王様は青ざめた顔で、震えた声で、しかし威厳を保ちながら言った。

「夢世界で私を死んだことにしたのもあなたなのでしょう?何故、何故このようなことをしたのですか」

「わかりませんか女王様。あなた方が居るべき場所は人間界だからですよ。夢世界より明らかに進んだ文明や、時間の差が生み出した魔法なんかを必要としないこの世界。どうしてわかっていただけないのでしょうか。病死ということにしたのは、女王様を探しにくる人が現れないようにするためです。あなた様は記憶が残ってしまったためにこの世界に戸惑っておられたので、姫様をお連れする際には記憶も消させていただきました」

 そう言いながらユキさんはヒナタの方を見る。俯き震えるヒナタの髪は、恐怖の影響か白くなっている。彼女の背に手を添えると体温も感じられないほど冷えていた。

「ねえ、ミルクさん!姫様の友人であるミルクさんならわかるはずです!あなたならたったの一週間過ごしただけでもわかってくれるでしょう?この世界の素晴らしさを!あんな魔法だらけの遅れた世界は捨ててしまいましょう。白髪が気になる?でしたらこの私のように二枚の羽根を黒く染めましょう!寿命も人間界の住民と同じ長さになります!染めると魔法が使えなくなってしまいますが、この世界では些末な問題です!さあ!もう何の問題も残っていません!さあ、さあ!」

 息継ぎをさせないような早口で話すユキさんは私達の目を真剣に見つめ、笑顔を絶やさない。笑顔で見つめているはずなのに、それが恐ろしくて鳥肌が止まらない。

「やめて!」

 声がした方を見ると、涙を流しているヒナタが耳を押さえて俯いている。

「お願い………あなたの正しさを私達に押し付けないで………」

 捻り出すようなか細い声だった。


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