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第五話 黒い影の正体

「待っていたわ。ようこそ」

 聞き馴染みのある声と共に扉が開く。そこには玉座のような大きく豪華な椅子に座る女性がいる。私や姫様と同じ慣れ親しんだ白い髪と頭には羽根をつけている。その女性の姿を見て、私は目を疑ってしまった。

 何故なら、彼女は夢世界の女王であり、姫様の母親だったからだ。しかし驚いたのは「女王という高貴な方だから」でも「姫様の母親だから」のどちらでもない。夢世界での一ヶ月前に「女王様は病死なされた」からだ。少なくとも、私達夢世界の住民はそう聞かされていた。


「まさか、あなたにふたたび会えるなんて」

 女王様はヒナタのことを姫様の名前であるヒナと呼び、再会を喜んでいる。私は女王様が夢世界で死んだことになっていると伝えた。

「そう………。少し私がここに来る前の話をさせてちょうだいね」

 手元の水晶に当時の映像を映し出しながら女王様は話を続ける。

「私がまだ夢世界にいた頃に、恐ろしく怖い夢を見たわ。それは娘が暗闇で人間界に落とされる夢。夢について調べようと、水晶を覗いたの。そんな時に黒い影が現れ、私は水晶に映った人間界に落とされて、ここにきてしまったわ。30年の間で水晶を用意できたから娘のことを見守って、気づいたわ」

 水晶には黒い影が姫様を突き落とす場面が映る。

「私も娘も、人間界に落ちたのは黒い影の仕業だと………」

 姫様の身に起こったことを理解し、手が震えだす。もっと知らなければならない、姫様を助けるために。女王様と水晶から目を逸らし、隣のヒナタに目を向ける。

 俯いていてヒナタの顔はよく見えなかった。

「これまではわからなかったわ、黒い影が何者か。でもわかったの。娘が落とされたからわかってしまったの」

 ユキミさんは真剣な顔で女王を見つめていた。

「黒い影の正体は………」


 女王様が持っていた水晶に人影が映る。

「あなただったのね。ユキミ………いいえ、ユキ………」

 ユキミさんの鞄には黒染めをした二枚の羽根がついていた。色は違えど私達の羽根と同じ形をした羽根を持っていた。

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