第一話 姫様の失踪
第一話です!よろしくお願いします!
暗闇の中、夢世界の姫であるヒナは水晶に手をかざしていた。とある人物を探すためだ。はぁ、はぁ、と息が荒くなる。集中と魔力の使いすぎで呼吸が止まっていたのだろう。水晶がうっすらとひかり、街の風景が映る。
「………!うそ、でしょ」
信じがたいものをみたかのように、呟く言葉と共に汗がつたう。映った街並みは夢世界のものではなく、四角く無機質なものばかり並ぶ人間界のものだった。
姫が背後に現れた黒い影に気づいたのは頭につけた羽根を二枚奪われたときだった。彼女は前方に突き飛ばされ、水晶に映った街、人間界に落とされてしまったのである。
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「緊急事態だ!」
早朝、兵士の声が街中に響き渡る。ベッドから飛び起きた私、ミルクは声のする方へ向かった。もちろん服は着替えている。寝巻きで外に出るほど私は間抜けではない。いつものようにサイドテールの髪に羽を二枚、ちゃんと着いている。
私が兵士のところに到着したときには、すでに早起きなおばさま達が「こんな朝早くに何事だろうか」と不安の声を漏らしていた。不安を感じるのも最近の出来事を思い返せば当たり前だ。だから皆兵士がこれから何を言葉にするか注目していた。
「姫様が失踪された」
ざわめきが大きくなる。
姫様は私の友人だ。いつも一緒に魔法の訓練をしていた彼女が何も言わずに去るわけがない。おそらく何かが起こったのだ。
驚きを隠せないでいる私達の前に、兵士は水晶を差し出す。ワープの魔法がかかっているそれには見慣れない景色が映っている。黒い地面に四角い建物が沢山並んでいる。教科書でみた、人間界と同じ景色だった。
兵士は水晶を覗く私達に二枚の羽根を見せた。
「昨晩、姫様は寝所にいました。私達は眠っているのだと思っていたので、ドアの前で警備していました。しかしいつもなら起きるはずの時間になっても姫様は起きず、仕方なく使用人が入室すると、そこには誰もいなかったのです。そして机の上にあったこの水晶の隣に、これが落ちていました」
そう言う兵士の顔は青い。羽根は私達夢世界の住民が生きるために必要不可欠な存在だ。それがなく、水晶には人間界が映っている。これは姫様が魔法を使えない状態で人間界に行ってしまったことを表していた。
どうしよう、と人々から不安の声が出る。皆状況を把握しているようだ。姫を助けに行く。簡単に出来れば良いが、水晶を無事に通れる保証がない現段階では難しい。それに向こうとこちらは時間の流れが違い、帰ってこれるかも怪しい。
でも、誰かが行かないと姫様を助けられない。それならば、
「私が姫様を連れ戻しに行きます!」
そう言って私は水晶を潜った。




