表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女児型なると製造機 なるみ [ 試作型 ]  作者: しおまめさん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/2

自家製なるとは失敗の連続!

「 「 ごくり 」 」


 机に腰掛けて、生魚を握り締める、女児。

 それを、固唾を飲んで見守っている、僕。

 そんな構図になっている。

 試作型なると製造機は、体形(?)が調理器具ではない。

「それでは、()()()にするのれす!」

「まずは、魚を投入……どっから?」



 が ぶ り っ !

 もぐもぐ んっぐ もぐもぐ んぐぐ!



「やっぱり、そうなるのかぁ」


 咀嚼だ、かなりきつそうだ。

 生魚をそのまま咀嚼してる。



「大丈夫?」

「だいじょ、うっ、げろげろげぇ~」

「あ~ぁあ……言わんこっちゃない」


 ちょっと調べてみる。


 [ 下処理 ]

 ① 三枚おろしの身を水洗い

 ② 水気を切る

 ③ ミンチにする


 先代なると製造器と同じだ。

 どこを開いても書いてある。

 ここは変わらない気がする。



「なるみ2026。まずは下処理から!」

「したしょり?」

「こっ、こら! たくし上げるのはやめなさい。なると作りにアッチの処理は必要ない。魚の下処理だよ、きちんと戻して台所に来て?」



 逃げるように台所に走った。


 毎回やっていた下処理、もう手馴れた作業。

 まな板に新しい魚をのせる。頭を落としてワタを取り、背骨にそって包丁を入れていくと三枚おろしになる。スッと腹骨を薄く落としたら、まな板に押し付けて、皮を引く。小骨の多いところを切り落とすと……



「ほら、骨が無くなったでしょ? この身を水洗いして、ポンポン、ほい」

「したしょり、すごい!」

「モグモグできるかな?」

「にゃらわきゃいのれす」

「飲みこんでから話して」



 なるみ2026はゴクンと飲み込み「おいしい!」と驚いてから、腕組みをして「うむむっ」と険しい顔をして、まな板に残った骨や皮をつついた。



「したしょり。これ覚えます」

「え?!」


 そこを全自動?

 いや、待てよ?


 AI搭載で学習機能がある。

 練習次第で三枚おろし可能。

 それなら……人型も納得だ。


 すごいぞ鳴海工機製作所ッ!



「では、練るのれす!!」


 練ってる?

 お尻を振ってウネウネ踊ってるけど。


 逆なのか!

 お腹の中の魚を回そうとしてるんだ。

 だから、主にお尻を振っちゃってる?

 踊りかたで違う仕上がりになるとか。

 大昔、『フラフープで腸捻転(ちょうねんてん)』って話が拡散したことあったなぁ。

 今も健康グッズとして販売されている、あれはウソだったのかな?



「うぅ、ふ、こ、こっれくらいで」

「あ、うん」

「お、おっ、おゆるしてください」

「これ僕がストップする工程?!」

「も……むり、なの……れ……す」

「ごめん、ぼんやり考え事してたっ! でも先に言っといて?!」



 なるみ2026はグッタリしたまま途切れ途切れで「っか、かねつぅ、おしだすんれすぅ」と説明した。今、この状態からの加熱・押し出し。そんな無茶ができる体調には、到底見えなかった。


 なると製造機の……体調?



「しばらく座って、休んでから」

「いえいえ、がんばるのれす!」


 グッと踏ん張った、直後。


「出そうれすぅ」

「えっ……え?」

「  っう  」



「 そ こ か ら ?! 」



 オ ヘ ソ から。

 なんか、でてきた。


「なっなるみ待て待てストップ聞いてない先に言って?!」

「  ぅ ぁぁ」


 ストップもなにも、そこで力尽きた。


「魚肉のペーストだなぁ」

「べっちゃり生なのれす」

「それより。おヘソが出口、知らなかったよ?」

「また失敗なのれす……」



 う~む。

 押し出し成形で『の』の字を入れる、鳴海工機の特許製法。先代なると製造器ができたのは、そこまで。つい先日までは、それを鍋で茹でていた。

 なるみ2026の腹筋で可能かどうかは、一種の賭けだ。さらに茹でてくれる、手間いらずなんかじゃない、なるみ2026は確実に進化してる。



「激しく踊ってから、加熱・押し出し。踊る時間はタイマーで調節するにしても、膝はガクガクになっちゃってて、押し出しは……う~ん、どうしたもんか」



 楽な姿勢かぁ。

 先代の箱をヒョイと持ち上げると、なるみ2026が「びっくぅ!!」と怯えて「ささささんぱいしょぶん」とガタガタ震えだした。「続きはコッチの部屋で」と移動して棚の上に先代を置くと、おずおずと覗き込み「べっど?」と呟いた。



「下処理れすか?」

「加熱・押し出し」


 なんてこと言うんだ!!

 当然、全年齢対象だよ。


「横になったら踏ん張りやすい、でしょ?」

「はい、やります!」

「今度はどうかな?」

「ん~んっあ、ぅまく、ぃ、いけそうれす」

「あ。ほんとだ、なんかちょっと出てきた」

「み、見ちゃらめ……らめれす……ぅあ!」

挿絵(By みてみん)


 出 て き た ?!


「て、てっ」

「え、て?」

「て、てを……おててを」

「こう? これでいい?」



 ぎゅっと手を握ると、安心したように目を細めて、大きく頷きながらギューッと眉間に力を込めた。最後の力を振り絞り、最後の数ミリを絞り出す!!!


 と。


 できたてホッカホカのなると。

 ポテンと、お腹の上に倒れた。


「なると、きれいにできたよ?」


 汗ばんだ表情で、コクリと1度頷いた。



「その、おへそ。元に戻るの?」

「おへそ、おへそ、洗わないと」

「洗う? あっ、洗って乾燥?」



 使い終わった調理器具は、清潔にする。

 そこは、なるみ2026も同じだろう。

 違うのはサイズ。子供くらい大きい。キッチンシンクでジャブジャブ洗うような大きさじゃないから、洗浄するとしたら、この家の――



「風呂場?」

「おふろ!」



 なんてこった。

 なると製造機と入浴する日が来るとは。

 パンチラで逃げてる場合じゃなかった。


 服もベタベタだなぁ。

 子供服売り場って、どこにあるんだろ?

 なると作りに洗い替えが必要とは考えもしなかった。


 まだまだ準備不足、前途多難だ……。

「おぉおお?! おいしいれす~☆」


 なるとだもんなぁ。

 食べるんだよなぁ。


「このラーメンって、どこいくの?」

「燃料になるのれす」

「そっか。残りかすとか出ないの?」

「恥ずかしいのれナイショなのれす」


 袋めんだけどなぁ。


 ん?


「出るのかぁ」

「お尻から、こっそり、おトイレに」

「それじゃ全人類が恥ずかしがるよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
僕は腹を抱えて笑いましたけど、しおまめさんが消されないか心配でなりませんねぇ…。 このイラストは勢いに任せて描いた落書きなので、「なんで俺この子をベッドに寝かせたんだろう?」と不思議に思いながら描いた…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ