漆、オーキャンの朝
前回のあらすじ
東●大のオープンキャンパスに行くことにした。
オープンキャンパス当日、朝、車で新幹線の駅まで送ってもらう。 この世界に来てずっと引きこもってたノアにとっては初めてのお出かけになるのか。…検査を除いて。
「もっと早く出発すれば長くあっちにいれたと思うんだけどな〜」
「しょうがないよ。新幹線は6時以降しか運行出来ない決まりがあるし」
もしそんな決まりがなくて4時とかから新幹線が走っていたとしても、ノアの朝の準備が遅くてもいいように、多分この時間に出発する計画を立てていた。異世界では魔法を使って一瞬で朝の準備を済ませていたというので、魔法を失った今は、相当時間がかかるだろうと思っていた。ところが、一瞬。まさかのすっぴん。うーん、もしかして異世界でもノーメイクか。あの伝統を守っていたくらいだし。
そんなこんなで駅に着いた。
「気をつけていってらっしゃ~い」
というわけで、ここからは俺とノアの二人で行動。まずはN●wDaysで朝ご飯を買う。ちなみに新幹線の切符は既に買ってある。
「東●行き、間もなく上りホームに参ります。危ないですから黄色い線の内側にお下がりください」
というわけで、新幹線に乗車。ノアは窓側、俺は通路側。二人席に座り、さっき買ったサラダチキンとおにぎり、他食料を食べる。ゴミを捨てるついでにトイレを済ませる。程なくして初めての新幹線に興奮していたノアは寝てしまった。
「さて、」
俺は物理の勉強を始める。学校の授業は進みが遅いので自力でどうにかするしかない。
疲れた。共通テストの波の問題を解いたが、何をさせたいのかよくわからない。自分でも解いていて何をしているかわからない。眠い。眠い…。
気がついたら、俺は窓側に傾いて寝ていて、肩にはノアの頭が乗っていた。そこに車掌が通りかかって少し気まずい。
「まもなく、終点、東●」
とにかく人が多い。
「まずは改札を出て…ノア?」
はぐれてしまった。ノアは一応通信機器を持ってはいるから多分どうにかなる。出場したら戻れないので、改札の手前のちょっとした広めのスペースで電話してみる。
「もしもし」
電話にはでた。
「ノア、今どこ?」
「わかんない」
「改札は?」
「出たよ。日●橋口ってところから」
これは悪手だ。●ノ内線に乗り換えることを考えると、そっちは遠回りになる。
「遠回りになるけど自由通路を通って●の内の方まで来て。俺は先に●の…」
「ゆーいち」
「ん?」
「迎えに来て」
遠回りになるじゃないか。ノアのためだ。行く以外の選択肢などない。
二人が住んでいる場所はどこにしましょうか。函館周辺を除く北海道、関東近郊、紀伊半島、山陰、四国、九州、沖縄など、首都に行くのに新幹線を使わないようなところは除外されますね。